【海外、サッチャー目指す高市総裁の「トラス化」警戒 金利に上昇圧力】
【元英首相の二の舞い懸念 高市政権誕生で株好調も―ロンドン市場】
【アベノミクス回帰ならトラス危機】
【この物価高のなか、なぜ日本銀行は追加利上げを先送りし続けるのか? アベノミクス復活で待ち受ける“日本版トラス・ショック”とは】
上記の報道のように、同じ女性首相ということで、高市首相はイギリスのリズ・トラス元首相とよく比較されています。
ただし、リズ・トラス元首相の在任期間は2022年9月6日 ~ 2022年10月25日の49日間で、イギリス史上最短でした。
そんなリズ・トラス元首相は、「ディープステート(隠れた権力、国民が選挙で選んでもいない官僚や民間人、既得権益)の腐敗に立ち向かい、自由世界をリードできる人物が必要だ」と繰り返し訴えていました。
さらに、「イーロン・マスク(世界一の大富豪、実業家)のDOGE(政府効率化省)に、英国のディープステートの捜査も行ってほしい」と発言したこともありました。
このように、リズ・トラス元首相はディープステートを敵視しており、実際に首相退任後も「財務省を変えようとしたら、激しい抵抗があった」「官僚機構のやり方は硬直的で、英国の成長を妨げている」「本当の改革は、政治家だけではできない」と語っており、英国のディープステートと戦ったからこそ、49日間で潰されたとも言われています。
また、そんなリズ・トラス元首相は、ロシアや中国に対する強硬発言でも物議を醸してきました。
そして、そういう意味でも、高市首相はリズ・トラス元首相と比較されています。
【高市早苗首相、中国とのいさかい収まらず ロシアも参戦し入国禁止第5弾を発表】
報道にもあるように、高市首相は「中国とは舌禍でこじれ、ウクライナ侵攻に起因する経済制裁でロシアからは入国禁止措置を食らった」ようです。
したがって、このような両者の共通点からも、今後懸念されるのが「日本版トラス・ショック」なのです。
ちなみに、「トラス・ショック」とは、リズ・トラス元首相が突如、大型減税を宣言し、それによって引き起こされたショック(危機)のことで、当時の相場は以下のようになりました。
・ポンド暴落: 1ポンド=1.1738ドル ⇒ 1ポンド=1.0319ドル (12%安)
・英国債暴落: わずか数日で、長期金利が3.45%から4.50%に
・英国株下落: わずか数日で、3%の下落
これは、日本の場合(高市首相就任時)に置き換えると、以下のようなインパクトに相当します。
・1ドル=149円 ⇒ 1ドル=167円
・長期金利が1.66%から2.16%に
・日経平均株価が45769円 ⇒ 44395円
さて、周知のように、高市首相就任時よりも日経平均株価は上がり、5万円の大台も突破しました。
しかし、先週は以下の通りです。
【円安進み一時1ドル=157円台に 約10カ月ぶり、財政悪化に懸念】
【長期金利、一時1.835%に上昇 17年半ぶりの高水準】
【21日大引けの日経平均株価=1198円06銭安の4万8625円88銭と大幅反落】
なんと、冒頭で伝えた報道にもあるように、「日本版トラス・ショック」が懸念されるような展開が見られたのです。
ちなみに、長期金利が上昇すると、なぜ「マズイ」のかを簡潔にと言うと、次のようなことが挙げられます。
・国が毎年払う利息が爆増し、国家財政が苦しくなる
・「この国、大丈夫?」と海外投資家が疑念を抱き、円安が進む
・企業の資金調達コストや家計の住宅ローン(変動金利)の負担が上がる
・「株より国債の方が安全で利回りがいい」ということで、株価下落につながる
そのような中、今年の7月には【40年債入札、落札利回りが過去最高 日米交渉合意で需要弱く】という報道もありましたが、40年物国債の利回りに至っては、2016年に0.5%だったものが、先週の時点で、なんと3.7%まで上昇しています。
これは、確実に「マズイ」兆候だと思います。
したがって、報道では、「サナエノミクス相場はアベノミクスを超える!」といった論調のものもありますが、「日本版トラス・ショック」が懸念される今、「楽観しているのは株式投資家だけだ」と語る、専門家の意見の方こそ参考にすべきだと思います。
しかも株式相場に至っては、先日の米国FOXニュースで、「米連邦議会議員は、平均して株式取引で600%のリターンを得ています。ナンシー・ペロシ元米下院議長は、在職期間中に株式投資で17,000%のリターンを上げました。これは腐敗です。これを止めなければなりません」と報じられたところです。
当然、FOXニュースは「裏付け」があって報じたものと思いますが、これが事実であるならば、株式相場は完全に「インチキの世界」だと言えるでしょう。
さらに、そんな米国では、今年の大規模破産(数億~数十億ドル規模)件数が655件に達し、15年ぶりの最多となっています。
このような全体像を踏まえますと、今の相場全般については疑念を持つ方が「賢明」だと思います。
引き続き、相場は慎重に取り組んでいきましょう。
