K字型経済(2025/11/17)

 

 

 

最近、しばしば言われるようになっているのが「K字型経済」という言葉です。

 

 

 

これは、経済の一部の層・セクターだけが上向き、他の層・セクターは下向きになるという、二極化した構造が同時に存在する状態を表現したもので、上向きと下向きの線を併せ持つ「K」の字体になぞらえた言葉です。

実際、次のような報道が続いています。

 

 

 

 

 

【米経済に浮かぶ「K字」、株価最高値が広げる分断】

 

 

 

【米経済のK字型」化に市場が警鐘 知っておくべきこと】

 

 

 

K字型経済に直面する米国、労働指標は下振れ圧力の強まり示す】

 

 

 

 

 

要するに、上向きと下向きという二極化が問題となっており、米国ではFRB(米連邦準備理事会)の統計によると、富裕層の上位10%が株式の90%近くを保有しているようです。

そして、今は止まらない株高が続いていますから、高所得層の支出は前年同月比2%増とのことで好調ですが、株高の恩恵がない低所得層の支出は落ち込んだままだそうです。

 

 

 

しかし、このような状態が「健全か?」と言えば、明らかに「不健全」でしょう。

そして、以下の二つの報道も、まさに「K字」を表しています。

 

 

 

 

 

NYダウ続伸、終値で初の48千ドル突破・・・米政府機関の一部閉鎖解除に期待感】

 

 

 

【米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶり低水準】

 

 

 

 

 

つまり、株式市場は最高値更新となっているものの、その一方で、米ミシガン大学消費者信頼感指数(ミシガン大学の調査研究センターがアンケート調査を実施、消費者の経済の先行きへの心理)は3年半ぶりの低水準に落ち込んでいるのです。

まさに「K字」です。

 

 

 

そのような中、問題は「雇用」です。

10月に発表された米国の企業と公的機関の人員削減数は153074人で、前月比で183%増え、前年同月比では175%増えています。

これは過去20年以上で最大の月間削減数です。

 

 

 

しかも、先日は【米国、年初来の人員削減が100万人超える AI導入で進む「破壊」、数十年で最悪級の喪失】という報道もあって、米国の年初来の人員削減数は「1099500人」にも達しているそうです。

そして、そんな米国では、現在「副業」の検索数が過去最高を更新しているといいます。

 

 

 

結局のところ、「K字型」と言っても、上向きになっているのは「一握り」であり、それ以外については「下向き」になっていると考えられるのです。

 

 

 

そして、今の株高は人員削減あっての株高でもあり、日米ともに、例えば、日産自動車が1万人超の人員削減で株価急騰、オリンパスが2000人の人員削減で株価急騰、ネスレが16000人の人員削減で株価急騰・・・といった展開が続いています。

 

 

 

まるで「人は邪魔だ」と言わんばかりの株高だと感じますが、他にも、帝国データバンクによると、2025年上半期の飲食店倒産が過去最多で、その背景として、経費削減による企業の接待需要縮小が響いているといいます。

また、東京商工リサーチによると、介護事業者の倒産件数も過去最多を更新しているそうです。

 

 

 

その上、日本においては、実質賃金が9カ月連続のマイナスとなっています。

 

 

 

したがって、いくらメディアが「株高」を叫ぼうとも、現在は、特に投資などやっていない普通の人々でも「おかしい」と感じるような状況ではないでしょうか。

そのため、現在の株高に警鐘を鳴らす報道もあって、以下のような報道もありました。

 

 

 

 

 

【バフェット指標は語る、米株過熱を警戒せよ-バークレイズ指標も共鳴】

 

 

 

 

 

先週もお伝えしたように、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイでは、現金保有額が3817億ドル(約59兆円)に急増し、過去最高を記録しています。

しかも、12四半期連続で株式の純売却を続けており、記録上最も長い連続期間です。

 

 

 

特に、警戒水準を「100%」とするバフェット指数(指標)が、2025101日に「200%を超えた」ということで、「この数値が100%を超え、特に200%に達したときに投資を続けるのは、火遊びをしているようなものだ」と、バフェット氏は語っています。

 

 

 

それに加え、上記の記事では、英銀大手バークレイズが採用している指標、いわゆる「株式熱狂指標」でも「株式が過大評価されていることが示唆されており、バブル的な状況」とのことでした。

 

 

 

さらに、もう一人の著名投資家ジム・ロジャーズ氏についても、【ジム・ロジャーズ氏、株価急騰「疑問持つべき時」 米国株空売りも】という報道があり、「米国株は2009年以来、史上最長の上昇を続けている。これほど長く好調が続くともう限界に近づいている」とのことでした。

 

 

 

さて、このような全体像を踏まえますと、今後の相場については、株高にせよ、円安にせよ、「おかしいものは、おかしい」という感性を持って取り組むことが賢明だと思います。

 

 

 

特に、先週のドル円相場は「1ドル=155円台」を付けましたが、片山財務相は「円安のマイナス面が目立ってきた」との認識を示し、「投機的な動向も含め為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて、高い緊張感を持って見極めている」と強調しました。

 

 

 

そして、そんな片山財務相は、今年3月のロイターのインタビューで「1ドル=120円ぐらいが妥当」と語っています。

 

 

 

そのため、市場では「為替介入」が意識され始めており、実際に【東京為替:1ドル=155円超で為替介入に対する警戒感高まる】との報道もありました。

 

 

 

ちなみに、「世紀の空売り」で知られ、映画『マネーショート』のモデルにもなった、著名投資家のマイケル・バーリ氏が、近年の株高を牽引してきた「米AI関連株」に空売りを仕掛けたと、最近報じられたところです。

 

 

 

 

いずれにせよ、今後の相場も十分に注意して取り組んでいきましょう。