【ダリオ氏、世界は「一生に一度」の経済・政治秩序の大崩壊に直面】
上記は今年4月のニュースになりますが、世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」創設者で、ヘッジファンドの帝王と呼ばれるレイ・ダリオ氏が、投資家は「関税という狭いテーマ」に目を奪われていて、金融、政治、地政学的な秩序で起こっている「一生に一度あるかないか」の大崩壊に十分な注意を払っていないと指摘しました。
実際、レイ・ダリオ氏の言う通り、最近の株価は「関税」のニュースによって「急騰」や「急落」を繰り返していますので、投資家が「一生に一度あるかないか」の大崩壊に十分な注意を払っていないという指摘は、その通りなのかもしれません。
また、レイ・ダリオ氏によると、現在は、教育・機会・所得・富などにおける「格差」が、民主主義体制の崩壊と独裁的指導者の台頭という形で現れているとのことでした。
ここで、このようなレイ・ダリオ氏の発言も踏まえて、個人的に思っていることでもありますが、現在は「新自由主義の終わりに差し掛かっているのではないか?」ということです。
ちなみに、そんな「新自由主義」をごく簡単に説明すると以下のようなものです。
・ルールや制限を無くして、企業が自由に動けるようにする
・国がやっていたことを、民間の会社に任せる
・お金を、国境を超えて自由に動かせるようにする
一方で、新自由主義によって、問題になっていることに以下のようなことがあります。
・格差拡大(金持ちはさらに金持ちに、中間層は衰退し、貧しい人はさらに貧しくなる)
・大企業が強くなり過ぎた(政治に大きな影響を与えるほどに)
ところで、例えば、日本では昔は賑やかだった商店街が、今では「シャッター街」になっているケースが多々あります。
その背景には「自由競争を優先したため、弱い店が生き残れなくなった」ということがあり、結果として、今ではイオンなどの大型ショッピングセンターが全国の至る所に出店しているわけです。
そのような中、前述のように、新自由主義によって、格差は拡大(金持ちはさらに金持ちに、中間層は衰退し、貧しい人はさらに貧しくなる)したわけで、今では世界各地で強烈な反発が巻き起こっています。
ですので、トランプ米大統領が誕生したのも、ブレグジット(Brexit、イギリスのEU離脱)も、このような背景で考えることができます。
では、いったい誰(どこ)が、このような「新自由主義」を考え、推進したのでしょうか?
実は、ここで名前が挙がってくるのが「シティ・オブ・ロンドン」です。
「シティ・オブ・ロンドン」については、例えば昨年、【天皇陛下 国賓としてシティ・オブ・ロンドンなどが主催の晩さん会に出席 およそ600人が手をならす伝統的な慣習で迎えられる】といったニュースや、【東京を国際金融都市へ 小池知事とシティ・オブ・ロンドン首長会談】といったニュースが報じられましたが、いずれにせよ「特別な地位を持つ地域」になります。
そして、そんな「シティ・オブ・ロンドン」が「特別な地位を持つ地域」と言われるのは、以下のような理由からです。
・普通のイギリス・ロンドン市長とは別に、ロード・メイヤー(シティ・オブ・ロンドンの市長)がおり、独自の選挙制度で選ばれている。(独自の自治体である)
・イギリス議会ですら、シティ・オブ・ロンドンに立ち入る際には儀礼的な許可を得る必要があるという慣例が残っている。
・イギリス王室さえ自由に立ち入れない特別区である。
・世界的金融機関の拠点が集中しており、莫大なマネーが日々動く場所である。
・「シティ・オブ・ロンドン」の入り口には「ゴグとマゴグ(神に敵対する勢力、悪魔)」の像が、「守護像」として飾られている。
さて、このような「シティ・オブ・ロンドン」が、「新自由主義」を考え、推進したと言われているわけです。
実際、「新自由主義」の恩恵を最大限受けたのも「シティ・オブ・ロンドン」だと言われています。
しかし、ここで重要なのが、そんな「シティ・オブ・ロンドン」が、「新自由主義」を考え、推進したと言われている中で、結局のところ「誰が?」という点です。
そのような中、そんな「誰が?」にメスが入るかもしれないというのが、先週も言及した「エプスタイン事件」です。
例えば、これまでに以下のようなニュースが報じられています。
【米富豪による少女性的虐待の被害者、JPモルガンとドイツ銀行を提訴】
【元バークレイズCEOジェス・ステイリー氏、エプスタイン不正行為判決をめぐる控訴で敗訴】
【クリントン元大統領夫妻ら召喚 エプスタイン氏事件で証言要求―米下院委】
【教皇から王族、元大統領、あのロックスターまで・・・エプスタインの自宅で「写真」が見つかった著名人たち】
要するに、「シティ・オブ・ロンドン」が、「新自由主義」を考え、推進したと言われている中で、「シティ・オブ・ロンドン ⇒ 各国政府 ⇒ 世界」という影響ルートがあったことは確実で、その中において「エプスタイン事件」が無視できなくなってきているのです。
そして、このようなことも踏まえますと、冒頭の、レイ・ダリオ氏の、投資家が「一生に一度あるかないか」の大崩壊に十分な注意を払っていないという指摘が重要だと言えるのです。
なぜなら、「新自由主義の終わり」=「世の中の大転換」が想定されつつあるからです。
したがって、相場目線では、これから何度も「乱高下」がやってくる可能性が考えられるのです。
相場は引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。