「隠れ債務」1.4京円(2025/7/7)

 

 

 

【米ドル「隠れ債務」が1.4京円、BISが警鐘 金融危機の火種に】

 

 

 

 

 

先日、日経新聞で上記のニュースが報じられました。

1.4京円の隠れた借金」が、世界の金融にとって危険な火種になっているということで、BIS(国際決済銀行)が警鐘を鳴らしています。

 

 

 

記事によると、隠れた借金(隠れ債務)は「為替スワップ」を使って調達した米ドルのことを指しています。

ちなみに、為替スワップとは、ごく簡単に説明すると以下のようなものです。

 

 

 

 

 

Aさん:「1ドル=144円として、144万円をBさんに渡すから、1万ドルをちょうだい。ただし、1か月後にはこの1万ドルを返すから、そのときまた144万円を返してね」

 

 

 

Bさん:「了解!」

 

 

 

 

 

さて、上記のような「やり取り」において、「ドル」に着目すると、「1万ドルを借りて ⇒ 1万ドルを返す」ということで、ある意味「借金」とも言えますが、このようなケースでは、帳簿には書かないケースが多いので、「隠れた借金」になります。

 

 

 

ただし、BIS(国際決済銀行)が警鐘を鳴らすのは、その金額の大きさ(1.4京円)なのです。

1.4京円といえば、日本の家計の金融資産の6.3倍もの金額で、日本の税収(2024年度)の186倍もの金額だからです。

 

 

 

そして、その1.4京円の中心を占めているのがノンバンクです。

つまり、銀行以外の金融を動かしている存在ということで、投資ファンド、保険会社、年金基金、証券会社、消費者金融、信販会社、クレジットカード会社、フィンテック(キャッシュレス決済、仮想通貨など)・・・が該当します。

 

 

 

これらノンバンクは、様々な局面でドルを必要としていますが、同時に、世界の貿易や金融も未だに「米ドル」が中心でドルを必要としており、ドルの流れが止まると、信用不安(銀行や企業が支払い不能に)、株・債券・通貨市場の暴落、世界の貿易・投資がストップ・・・といった事態になりかねないのです。

 

 

 

ところが、そんなノンバンクは、銀行に比べて、実態がつかみにくい存在です。

なぜなら、銀行ほどの厳格な規制は受けておらず、前述のように、「隠れた借金」=「為替スワップ」などが、帳簿に載らないケースも多いからです。

 

 

 

ちなみに、「1.4京円の隠れた借金」は、リーマン・ショック直後の2008年末時点では「5857兆円の隠れた借金」でした。

つまり、当時の「2.39倍」に膨らんでいるわけです。

ですので、BIS(国際決済銀行)は、「リーマン・ショックの二の舞にならないか?」「リーマン・ショックの時よりも危険ではないか?」ということで、警鐘を鳴らしているのです。

 

 

 

では、いざリーマン・ショックの二の舞となったら、どうなるのでしょうか?

 

 

 

実際、リーマン・ショックの時は、米国は大量のお札(=ドル)を刷って、危機の対処に当たりました。

これはいわゆる「QE(量的緩和)」という政策で、事実上の「紙幣の大量発行」と言えます。

 

 

 

ですので、仮にリーマン・ショックの二の舞となっても、やはり同様の対応が予想されるでしょう。

 

 

 

ところが、ここで無視できないのが、米国の債務問題です。

例えば、以下のようなニュースがあります。

 

 

 

 

 

【焦点:トランプ税制法、当面の債務危機回避でも将来的な問題一層深刻化】

 

 

 

【コラム:米国債のデフォルト、決して「あり得ない」と言うべきでない】

 

 

 

【ダリオ氏、米国が債務危機による「心臓発作」に見舞われるリスク警告】

 

 

 

【ブラックロック、米国債務が国債とドルの魅力を弱める可能性を警告】

 

 

 

【利子と国家債務の悪循環に陥った米国】

 

 

 

 

 

このように、米国の債務問題は「深刻」なのです。

実際、イーロン・マスク氏(世界一の大富豪、実業家)は「米国債の利払いが国防省の年間支出を超えている」と発言し、「これが続けば、米国は事実上破産だ」と強い警告も発しています。

 

 

 

結局、歴史が示すには、政府が国の経済をインフレ状況(お金の価値を下げ、物価上昇を招く)にし、借金の実質価値を減らすことになります。

 

 

 

だからこそ、多くの識者は「金(Gold)を買うべきだ」と言っています。

そのような中、リーマン・ショックやトランプ米大統領誕生(トランプ1.0)を予言して的中させた副島隆彦氏は、先日発売された新刊『新・ドル覇権の崩壊 金はまだまだ上がる』(徳間書店)で、以下のようなことを述べていました。

 

 

 

 

 

・金はもっともっと上がります。なぜなら、たった一言で書く。中国、ロシアが買い続けるから。

 

 

 

・金は5000ドル/オンスを目指す。

 

 

 

・金を絶対に暴落させてやる、と500倍のレバレッジをかけて担保も出さずに、金を売り崩してきた。ところが、金が逆流してがーっと上がってしまったので、ボロ負けに負けた。(中略)FRB自身が、ゴールドマンサックスと示し合わせて、長年、「金を殺してやる」で、金の売り崩しを実行してきた。そのために、この20年間金の上昇はずっと抑え込まれて来た。

 

 

 

・お金はお札だからいくらでも刷れる。(中略)政府は、金(かね)が足りなくて困りはてたら、この通貨発行権と国債に手を付ける。そしてそれが、今、世界中で限界に来た。だから金が上がるのだ。

 

 

 

 

 

さて、このように、国家の借金問題(債務問題)を考えたら金(Gold)は有望で、リーマン・ショックの教訓で言えば、金融危機の際には円高に動く可能性が高いと考えられます。

いずれにせよ、このようなイメージを持って、引き続き相場は慎重に取り組んでいきましょう。