【経済不安60%、変化への敵対的行為容認は40%に=世界世論調査】
先日、ダボス会議が開催されました。
ちなみに、ダボス会議とはスイスのダボス(雪山に囲まれたアルプスの小さな街)で毎年行われるWEF(世界経済フォーラム)の年次総会のことを指します。
ただし、そんなダボス会議は欧米のスーパーエリートを中心とした「金持ちクラブ」とも揶揄(やゆ)されており、この会議で「世界の方針」が決められていくことから、しばしば「反対デモ」も起こっており、一部で悪評も立っています。
2年前には、ダボス会議期間中に現地の空港を発着したプライベートジェットが1040機で、これらの運航に伴うCO2(二酸化炭素)排出量が自動車35万台の排出量に相当すると報じられました。
この時は、「温暖化問題を議題にのせる一方で、参加者の多くが温室効果ガス(CO2)排出量の多いプライベートジェット機でダボス入りするのはつじつまが合わない」として、多くの批判の声が上がりました。
さて、冒頭で紹介したのは、そんなダボス会議に合わせ、PR会社エデルマンが公表した世界での世論調査に関するニュースです。
世論調査には28カ国の3万3000人が回答し、経済に対して不安を抱いている割合が約60%に達したことが明らかになりました。
また、そんな世界に変化をもたらすには「敵対的行為(暴力等)も辞さない」とする回答が約40%に達したことも明らかになりました。
具体的には、現在、政府や企業に対する不信感が深刻なレベルにまで達しており、ごく一部の富裕層の利益のために奉仕させられている一方で、一般の人々は苦労しているとの見方が示され、「敵対的行為(暴力等)も辞さない」とは、彼らに対してということのようです。
さらに、欧米の回答では、自国がより良くなるとの見方が、フランスが9%、英国が17%、米国が30%と深刻な低水準まで落ち込んだことも明らかになりました。
一方で、米国のトランプ大統領は今回、そんなダボス会議にオンラインで参加しました。
そして、これまでダボス会議によって進められてきた多くの政策について明確に「反対の意」を表明しました。
実際、トランプ大統領はパリ協定(温暖化対策の国際的枠組み)を離脱すると国連に通告しましたし、WHO(世界保健機関)から脱退する大統領令にも署名しました。
したがって、前述の世論調査の結果やトランプ大統領の「反対の意」を受けて、ダボス会議の場では、「人々は怒っている」「我々は負けた。我々を象徴しているのがEU(欧州連合)だ」といった発言も出たそうです。
そのような中、トランプ大統領の言動を見ていれば分かるように、トランプ政権が目指す姿は「反エリート・反グローバル化・反メディア(反フェイクニュース)」だと言われています。
そして、前述のPR会社エデルマンの世論調査では、「政府・企業・メディアは意図的に嘘をついている」との回答が約67%もあったそうですが、そんな「反エリート・反グローバル化・反メディア(反フェイクニュース)」の中で、今、日本で批判がやまなくなっているのが「フジテレビの天皇」と呼ばれる日枝久氏です。
実際、日枝久氏は昨年11月20日、「第35回高松宮殿下記念世界文化賞」で、天皇、皇后両陛下に招かれてヒラリー・クリントン元米国務長官らが出席する中、日本美術協会の会長として出席し、天皇、皇后両陛下と並んで歩いている姿が写真に収められています。
そして、そんな日枝久氏は「森喜朗、安倍晋三の両元首相とは特に親しく、安倍氏とはゴルフ仲間だった」とも報じられており、フジサンケイグループの「絶対権力者」としても知られています。
今回の前代未聞の10時間超に渡る「フジテレビ会見(性加害報道)」でも、日枝久氏は出席せず、辞任もせずということで、「トカゲの尻尾切りにしか見えない」「この会社は多分生まれ変われない」「CMキャンセルも止まらない」といった意見が出ました。
いずれにせよ、今回、米国でトランプ政権が誕生したことによって、前述の「反エリート・反グローバル化・反メディア(反フェイクニュース)」は世界的な流れになってきていると思います。
ところが、それでも「この流れに逆行してないか?」「ずれてないか?」と思われるのが、我が国・日本です。
【石破茂総理が掲げた新キーワード・・・「楽しい日本」とは? 狙いは?】
先日、石破総理が掲げた新たなキーワードが「楽しい日本」でした。
「総理の左腕」を自認する側近の赤澤経済再生担当大臣によると、これは「国民の1人1人が楽しい、日本に生まれて良かったと。あるいは地方で言えば、楽しいからお前戻ってこいと子や孫に言えるような地方を作りたい」との意味だそうです。
しかし、この「楽しい日本」発言には、多くの批判が出ました。
「いったい、誰が、日本人から楽しみを奪っているのか?」ということです。
「エリート・グローバル化・メディア(フェイクニュース)こそが元凶ではないか?」というわけです。
すると、その後、出てきたのが以下のニュースです。
【石破の次の総理は「俺だ」・・・! 岸田文雄前総理と小泉進次郎議員が自民党内で「急接近」の異常事態】
「もはや、何と言ったらいいのか・・・」といった感じがします。
そのような中、先日は【29歳以下の自民党支持、最低の3.4% 時事通信1月世論調査】といった報道もありましたが、これには納得できると思いました。
ちなみに、相場ですが、キーマンとなるトランプ大統領については、とにかく「予測不能」との声が上がっています。
実際、【日本政府、就任前から秘密裏にトランプ対策会議 「予測困難な相手」】との報道もあったように、予測不能な4年間が幕をあけ、日本政府内でも緊張感が高まっているようです。
そして、為替相場においては、「プラザ合意2.0」で円安是正との見方もあります。
トランプ大統領は第一次政権時に、「1ドル=130円の相場は長期均衡水準より3割も円安になっている」と指摘したことがあり、今のドル円相場は、その時よりも大幅に円安です。
このようなことも意識しながら、相場は引き続き慎重に取り組んでいきましょう。