「第二次トランプ政権」のことを「トランプ2.0」とも言いますが、今後の相場においてはボラティリティー(価格変動の度合い)拡大が予想されています。
ちなみに、【「ドル安推し」のトランプ復帰でドル高の不思議 公約断行でインフレ、利上げ再燃の連想ゲーム】といった報道もあるように、今、再びインフレ(物価上昇)が注目を集めています。
特に、トランプ氏は「高関税」を約束していますが、「関税を引き上げながら、いかにしてインフレを終わらせると言うのか?」ということで、インフレ再燃への不安が強まっています。
しかも「トランプ2.0」では、上下両院を共和党が過半数を握るオールレッド(共和党が大統領も議会も制覇)で、これは「第一次トランプ政権」とは大違い(上下両院が民主党だった)ですから、一気に新政策を実現できると同時に、「関税を引き上げながら、いかにしてインフレを終わらせると言うのか?」ということで、インフレ再燃への不安が強まっているというわけです。
さらに、トランプ氏は経済政策の柱として「減税」も掲げていますが、減税は消費需要を刺激して、やはりインフレを刺激します。
また、トランプ氏は、不法移民(1000万人以上と推計される)は残らず外国に追放するとのことで、軍を出動させると言っています。
すると、不法移民による「安価な労働力」が低下し、それを補うために「賃金上昇圧力」がかかり、やはりインフレを刺激することになります。
一方で、関税についてですが、第一次トランプ政権の時のように、関税をかけられた貿易相手国による「報復関税」もあり得ますし、貿易を有利にするための「通貨安競争」が始まることも考えられます。
このように、「トランプ2.0」では、米国のみならず世界に影響を与えるのは必至です。
そのような中、ロイターは【コラム:リスク性資産は「危険ゾーン」の瀬戸際か、難しい撤退時期見極め】と報じ、今は「強気派」さえ、米国の株と社債は「割高」になったと認めているようです。
そして、「投資の神様」と言われるウォーレン・バフェット氏についても、ウォール・ストリート・ジャーナルが【現金ため込むバフェット氏、何を示唆?】と報じています。
そんなウォーレン・バフェット氏といえば、「株が暴落する前に売り、株が暴落すると買う」という「究極の逆張り投資家」として知られていますが、バフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」は、現在手元の現金が過去最高の「約50兆円」に達しているそうです。
ちなみに、日本の財務省が、2023年度の国の税収を「約72兆円」と発表していますので、50兆円というのは凄まじい額です。
いずれにせよ、「トランプ2.0」では、相場においてはボラティリティー(価格変動の度合い)拡大が予想されており、警戒するに越したことはないでしょう。
そのような中、最近の日本や米国には「大きな流れ」のようなものが見えてきます。
以下に簡単に整理します。
・自民党総裁選では、1回目で1位になった高市氏を破って、決選投票で石破氏が勝利した
・衆院選では、自公連立与党は公示前の288議席から大きく減らし215となり、過半数の233を割り込んだ
・斎藤元彦・前知事が失職(県議会が知事に不信任を全会一致で可決)したことに伴う兵庫県知事選では、県内29市のうち22市の市長が稲村氏支持を表明したが、結果は斎藤氏が13万7000票の大差で圧勝した(その後、斎藤氏に公選法違反の疑い)
・米大統領選挙ではトランプ氏が圧勝し、連邦上下両院議会選挙ともに共和党が圧勝し、いわゆるオールレッド(共和党が大統領も議会も制覇)となった
さて、上記から見えてくる最近の日本や米国の「大きな流れ」とは、以下の2点に集約されると思います。
・オールドメディア(テレビや新聞)が肯定的な人物や政党が負け、オールドメディア(テレビや新聞)が批判的な人物や政党が勝つ
・多くの国民が「既得権益」に対する「嫌悪」を抱いている
ところで、これまでにも繰り返し述べてきましたが、世界各国の報道自由度ランキングで、日本は70位、米国は55位です。
そして、そんなオールドメディア(テレビや新聞)が肯定的な人物や政党が負け、オールドメディア(テレビや新聞)が批判的な人物や政党が勝つということは、多くの国民が「既得権益」に対する「嫌悪」を抱いている証左で、オールドメディア(テレビや新聞)こそが「既得権益」の権力基盤だという証左でもあります。
トランプ氏は「国民の最大の敵はフェイク・メディア(偽メディア)だ」と言いましたが、もっともだと思います。
そして、そんなトランプ氏は「FCC(連邦通信委員会)は検閲カルテルを解体する」と言っていますので、現在、世界各国の報道自由度ランキングで、日本は70位、米国は55位の現状が、今後どう改善していくのか要注目です。
しかし、既得権益側が、今後おとなしく引き下がるとは思えませんし、引き続き、各種報道を鵜呑みにするには注意が必要です。
例えば、相場においても、先週はブルームバーグが以下の2つのニュースを「30分差」で報じました。
【ゴールドマン、「金に投資せよ」-中銀の買いと米利下げが押し上げへ】
【輝きを失う金、トランプ氏勝利後のリスク選好高まりが逆風】
上記2つのニュースは言っていることが「逆」で、結果的に先週の金は上昇しましたが、どんな報道でも鵜呑みにするには注意が必要と言えます。
引き続き、相場は慎重に取り組んでいきましょう。