米利下げとブラックスワン(2024/7/29)

 

 

 

【ブラックスワン・ファンドの運用者、FRBが利下げに転じた時を懸念】

 

 

 

【米利下げは市場暴落シグナル、「ブラックスワン」ファンドが指摘】

 

 

 

 

 

上記はいずれも以前報じられたニュースですが、FRB(米連邦準備理事会)が利下げに転じた時、「市場暴落」や「惨劇」が現実のものになると、一部のプロの間では懸念があるようです。

 

 

 

ちなみに、ブラックスワンとは、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味であり、全く予想外の出来事が発生すると、確率論や経験、常識が通用しないため、社会や市場に極めて大きな衝撃を与えるというものです。

以下、思いつくままですが、過去の「ブラックスワン」と思われる出来事を挙げてみます。

 

 

 

2000年のドットコムバブル崩壊

2001911日の米国同時多発テロ事件

20041226日のスマトラ沖地震

2008512日の中国・四川大地震

2008915日のリーマン・ショック

2011年初頭からの「アラブの春」

2011311日の東日本大震災

2015115日のスイスフラン・ショック

20156月から8月にかけてのチャイナ・ショック

2016623日のブレグジット(イギリスのEU離脱)

2020年からの新型コロナウイルスの世界的な流行

2022年からのウクライナ戦争

 

 

 

 

 

ここで、冒頭のニュースで触れられている「ブラックスワン」ですが、「リーマン・ショック」的な出来事が懸念されているということです。

 

 

 

したがって、ここで鍵となる、FRB(米連邦準備理事会)の利下げについて考えてみます。

ちなみに、 FRB(米連邦準備理事会)は12の地域の連邦準備銀行から構成されているのですが、これら連銀総裁等の最近の発言を以下に整理します。

 

 

 

NY連銀ウィリアムズ総裁】

足元のインフレ鈍化が続けば、数カ月以内に利下げを実施することが妥当になる可能性が高い。

 

 

 

【シカゴ連銀グールズビー総裁】

労働市場のより急激な悪化を回避するため、当局は近く利下げに動く必要がありそうだ。

 

 

 

【サンフランシスコ連銀デーリー総裁】

雇用やインフレに関する最近のデータを踏まえると、利下げが正当化される可能性が高い。

 

 

 

【ウォラー理事】

利下げが正当化される時期に近づいていると考えている。

 

 

 

 

 

このように、現在のFRB(米連邦準備理事会)は「利下げモードになっている」と考えられるわけですが、ここで「待った!」をかけたのがトランプ前大統領です。

 

 

 

【トランプ前大統領 “FRBは大統領選前に利下げすべきでない

 

 

 

 

 

要するに、利下げは「景気を刺激する策」なので、これは「選挙で現職有利になるからダメだ」ということで、トランプ氏は大統領選挙前に利下げを行うべきではないと主張したわけです。

 

 

 

しかし、パウエルFRB議長は「金融政策の判断に政治フィルターを用いることはないし、ただでさえ難しい舵取りをより複雑にする理由はない」と述べていますから、「はたしてどうなるのか?」ということで、今後の利下げに関する話が複雑になってきているのです。

 

 

 

そのような中、冒頭のニュースのように、本来は「景気を刺激する策」であるはずの利下げが、逆に「市場暴落シグナル」になると言っているのが、ブラックスワン的なイベントに備えるファンドを運用するユニバーサ・インベストメンツです。

ちなみに、同社に対しては、ベストセラーとなった著書『ブラックスワン』(ダイヤモンド社)で2008年の金融危機(リーマン・ショック)を予言したナシーム・ニコラス・タレブ氏が助言しています。

しかもタレブ氏は、1987年に起きたブラックマンデーの暴落を切り抜けたことでも知られています。

 

 

 

したがって、そういう意味でも、FRB(米連邦準備理事会)の利下げは、単純な「景気刺激策」ということではなく、警戒しておいた方がよいと思います。

問題は、選挙前か、選挙後かということですが、いずれにしても、利下げによる影響を警戒するに越したことはないでしょう。

 

 

 

一方で、先週は激しく株安と円高が進みました。

 

 

 

【日経平均株価、高値からの下落率10%超に-「調整局面入り」水準に】

 

 

 

【加速する円高、重要水準突破し世界的キャリートレード巻き戻しを主導】

 

 

 

 

 

上記のような報道もありましたが、問題は、株高にせよ、円安にせよ、本当に「調整局面入りしたのか?」ということです。

 

 

 

先週は激しく株安と円高が進んだとは言え、冷静に考えれば、未だに「歴史的株高」であり「歴史的円安」です。

本来は、このこと自体が、経済の実態を考えれば「おかしい」と思いますが、そんな「おかしさ」が長きにわたって続いた結果、今の「歴史的株高」や「歴史的円安」があるわけです。

したがって、調整局面入りしたと判断するには、もう少し様子を見る必要があると思います。

 

 

 

ただし、これだけ激しい値動きが続いている以上、ポジション量に留意することは重要です。

 

 

 

さらに、前述の「ブラックスワン」の観点から考えると、FRB(米連邦準備理事会)の利下げだけに注意を払うのではなく、今後は、あらゆることに注意を払う必要があります。

 

 

 

例えば、米大統領選挙はバイデン大統領が撤退を決定し、ハリス氏が民主党大統領候補に浮上した結果、相場は不確実性が増したと言われています。

 

 

 

 

このような全体像を踏まえて、相場は今まで以上に気を引き締めて取り組むようにしましょう。