最近の米国は「歪んでいる」というよりも、もはや「持続不能」になっているのではないか?
私は、このように思います。
しかし、周知の通り、世界GDPランキングにおいて1位は米国です。
そして、2024年最新の世界GDPランキングは以下のようになります。
1位 米国 27兆9666億ドル(約4390兆円)
2位 中国 18兆5600億ドル(約2913兆円)
3位 ドイツ 4兆7009億ドル(約739兆円)
4位 日本 4兆2862億ドル(約673兆円)
5位 インド 4兆1054億ドル(約644兆円)
ちなみに、米国マグニフィセント7(壮大な7つの企業群)の1社であるアマゾンは、現在の時価総額が1.88兆ドル(約295兆円)で、日本最大のトヨタ自動車(53兆9700億円)の約5.5倍となっています。
ところが、そんな超巨大企業のアマゾンについて、先日報じられたのが以下のニュースです。
【アマゾン従業員の生活苦、調査で浮き彫りに-食事抜きや住まいの不安】
これは、アマゾンの中でも時給で働く倉庫労働者の話ですが、その半数が、食費や住む場所の確保に苦労していると報じられました。
そんなアマゾンは、長い間、従業員、特に倉庫で箱詰めや出荷作業に携わる従業員の待遇について批判されてきましたが、今回もそれを裏付けるような報道となりました。
その一方で、アマゾンを含むマグニフィセント7(壮大な7つの企業群)については、先日以下のような報道がありました。
【米ハイテク「マグニフィセント7」、幹部や取締役の自社株売りが加速】
そして、米国野村証券出身、現在は国際ジャーナリストの堤未果氏が『国民の違和感は9割正しい』(PHP新書)で次のように述べています。
「投資の神様」の別名を持つウォーレン・バフェットや、投機によってアジア危機の原因を作ったと言われるジョージ・ソロス、メタ創業者のマーク・ザッカーバーグやアマゾン創業者のジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツなど、まるで泥舟から一早く逃げ出すかのように、今、みなさん揃って「何十兆円」相当もの株を大量に手放しています。
つまり、上記のニュースも、これを裏付けるような内容となっており、実際に「アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏やメタのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)に追随する動きだ」と報じられています。
そうかと思えば、以前【米大富豪「ほとんど納税せず」=米ウェブメディア】と報じられたこともあるように、米国の大富豪らは所得税をほとんど支払っていないと言われています。
その一方で、先日以下のような報道もありました。
【米国の24年大卒組、試練重なる-パンデミック直撃の大学生活に就職難】
米国の2024年の大卒組は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で、オンライン授業とキャンパス閉鎖の中で大学に入学し、その多くが、就職さえも困難になっているというニュースです。
ちなみに、CWUR(世界大学ランキングセンター)が発表した世界大学ランキングで、13年連続で世界最高の大学に選ばれたのが「米ハーバード大学」ですが、2023年には以下のようなニュースも報じられました。
【ハーバード卒でも厳しい今年の就職戦線、米労働市場の冷え込み映す】
さて、このように見ていきますと、最近の米国はGDPランキング1位と言っても「強欲資本主義」と言えるような中身であり、冒頭で述べたように、「歪んでいる」というより、もはや「持続不能」ではないかと思います。
そして、持続不能といえば米国の「債務」ですが、以下のような報道が相次いでいます。
【米財政状況は「持続不可能な軌道」-ダドリー前NY連銀総裁が警告】
【米債務膨張、「持続不可能」に 財政赤字、10年後に6割増―健全化の道筋描けず】
【米政府債務は持続不可能-100万通りのシミュレーションで結論は一つ】
【ゴールドマン社長、米財政に警鐘-借り入れは「持続不可能なペース」】
そのような中、著書『ブラック・スワン』(ダイヤモンド社)で2008年のリーマン・ショックを予言したナシーム・ニコラス・タレブ氏は、1987年に起きたブラックマンデーの暴落を切り抜けたことでも知られていますが、米国の債務問題は「死のスパイラル」にあると述べました。
では、前述の、マグニフィセント7(壮大な7つの企業群)の幹部や取締役の自社株売りが加速している件も踏まえると、どのように考えられるのでしょうか?
これはもう、遅かれ早かれ「金融危機」が発生すると思っておくべきではないでしょうか?
ちなみに、日本では、帝国データバンクが「円安による企業への影響」についてアンケート結果をまとめ、適正な為替レートは「1ドル=110円─120円台」との回答が半数を占めたことが分かっています。
つまり、現状の「持続不能」とも言える「歪み」は、最終的に「株の暴落」や「円の暴騰」を引き起こすのではないでしょうか?
逆に、そうでなければ、現状の「持続不能」とも言える「歪み」が解消されることはないでしょう。
相場については、乱高下を想定した上で、引き続き慎重に取り組んでいきましょう。