相場が、かなり「滅茶苦茶」な展開になってきてました。
【為替、購買力平価と市場実勢の大幅乖離に関心=日銀3月会合】
上記は、先週ロイターが報じたニュースですが、現在の「円」が、購買力平価(実質的な価値)と大きく乖離していることが日銀内でも指摘されているようです。
ちなみに財務省の三村国際局長は、ドル円の購買力平価(実質的な価値)はIMF(国際通貨基金)の試算で、2024年4月時点で90円82銭と説明しました。
つまり、「90円82銭(実質的な価値)」と「153円89銭(5月6日時点)」ということで、約63円も乖離しているということになります。
これは、現在の「円」が、実に「約1.7倍」も低く評価されていることを意味します。
そのような中、先週は4月29日に「為替介入」が行われ、流動性が低い中で円相場は34年ぶりの1ドル=160円台から154円台まで急反発しましたが、わずか1日余りで157円後半と半値以上戻しました。
また5月2日の早朝も、同じような展開が見られました。
そして、このような展開を受け、市場はさながら「為替介入VS投機筋」といった対決の構図があると指摘されています。
しかし以前、記者団の取材に対し、神田財務官は、円買い介入(為替介入)の原資は「無限にある」と語ったことがあります。
現在、円安は「政府と日銀による究極の国民イジメ」と指摘されており、実際に物価上昇も引き起こしているわけですから、本当に円買い介入(為替介入)の原資が「無限にある」のなら、投機筋を叩き潰すつもりで、国民のためにも「1ドル=90円82銭」まで修正すべきでしょう。
ところが、先週もお伝えしたように、「空手家と思われる白人男性が、何度も何度も瓦割りをやると見せかけては、いつまでたっても瓦を割らない動画」が多数再生され、これが「日本の為替介入」だと揶揄(からか)われ、ようやく先週「為替介入」が行われましたが、あまりにも遅すぎたということで、海外勢からは「史上最悪の為替介入」と評価されたようです。
たしかに、為替介入がもっと早ければ、「1ドル=160円」を超えることはなかったでしょう。
そして現実は、この異常な円安に対しての報道が相次ぎました。
【異次元円安「予想超える変化」、輸出企業も戸惑い-業績にプラスでも】
【円安は通貨危機の様相、米当局も注視-口先介入強まるとオニール氏予想】
【休み返上の為替トレーダー、円に再介入リスク-GW後半も戦々恐々】
上記のように、円安でプラスになるはずの輸出企業でさえも、過度な円安進行はサプライチェーン(原材料の調達から製品の製造、配送、消費者への販売に至るまでの各段階)全体に影響する懸念があると考えており、急激な円安の進行は望んでいないようです。
また、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井会長兼社長は「日本で、円安になることを喜ぶ人はおかしいんじゃないかと思う」と話しています。
一方で、米金融大手ゴールドマン・サックスでチーフエコノミストなどを務めたオニール氏は、今の円安について、「通貨危機」のような様相を強めつつあるとの認識を示しました。
そして、このような状況を受け、通常は、GW中は取引量が減るものですが、休み返上で為替介入に備えた為替トレーダーも見られたようです。
いずれにせよ、神田財務官も言っていましたが、投機によって国民生活に悪影響が出るレベルにまで至った、現在の円安相場は異常だと言えるでしょう。
しかし、現実は、為替相場だけが異常なのではなく、株式相場も異常だと言えます。
例えば日経平均株価は、現在は1980年代のバブルの頃のようになっていますが、当時は「多くの人が今日より明日が良くなると信じていた」雰囲気がありました。
しかし今は、当時のような雰囲気があるでしょうか?
また1980年代のバブルの頃は、フルタイムの正規雇用が主流でした。
しかし今は、非正規雇用が全雇用の「4割」も占めています。
このような状態で、現状の株価だけが1980年代のバブルの頃のようになったとしても、はたして「まともだ」と言えるでしょうか?
逆に「異常だ」と判断できるでしょう。
結局のところ、現在のような、ある意味で「滅茶苦茶」な相場では、取り組む側も「滅茶苦茶」な展開を想定しておく必要があると感じます。
例えば、ドル円の値動きを振り返ってみます。
【直近1年】
高値160.22円 安値133.49円 高値と安値の差26.73円
【直近1か月】
高値160.22円 安値150.80円 高値と安値の差9.42円
上記を見ても、例えばドル円なら、この先一年で「26~27円」、この先1か月で「9~10円」は、十分に「動き得る」と考えておく必要があると思います。
そして実際に、それだけ動いたとしても、逆にそれ以上動いたとしても対応できるように、しっかり頭を使って逆算しながら取り組むべきだと思います。
さらに、相場が上昇し始めたら「上昇トレンド」になるかもしれない、相場が下落し始めたら「下落トレンド」になるかもしれないと考え、買値も売値もポジション量も、すべてに注意しながら取り組むことが大事です。
相場は引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。