昨年頃から、しばしば「マグニフィセント・セブン」という言葉が聞かれるようになりました。
本来、これは『マグニフィセント・セブン』という映画のことで、巨匠・黒澤明監督の傑作『七人の侍』と同作をリメイクした『荒野の七人』を原案にした西部劇です。
しかし、今話題になっている「マグニフィセント・セブン」は、株の銘柄の総称としての言葉になります。
日本語としては、「壮大な7つの企業群」といった意味になります。
そして、以下の企業が「マグニフィセント・セブン」です。
・アルファベット(グーグル)
・アマゾン・ドット・コム
・メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)
・アップル
・マイクロソフト
・エヌビディア
・テスラ
「マグニフィセント・セブン」という言葉が聞かれるようになる以前は、GAFAMと言って、上記の5つ(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)が有名でしたが、最近は半導体大手エヌビディアとEV(電気自動車)大手テスラが加わって、「マグニフィセント・セブン」としての7銘柄が有名となっています。
ここで、尋常でないのが、これら企業の時価総額です。
アルファベット1.91兆ドル(約283兆円)、アマゾン1.64兆ドル(約243兆円)、メタ1.01兆ドル(約150兆円)、アップル2.98兆ドル(約441兆円)、マイクロソフト3.00兆ドル(約444兆円)、エヌビディア1.51兆ドル(約224兆円)、テスラ0.57兆ドル(約85兆円)となっています。
「マグニフィセント・セブン」の時価総額を合計すると、なんと約1870兆円です。
ちなみに、日本のプライム市場(1656社)全体の時価総額合計が約888兆円ですから、1656社もあっても、「マグニフィセント・セブン」の7社の時価総額合計の半分にも及んでいないということになります。(1月27日時点)
しかし、このような現状が「まともなのか?」と考える必要があると思います。
たしかに、グーグルは検索エンジン、アマゾンはEC(電子商取引)、メタはフェイスブック、アップルはiPhone、マイクロソフトはWindows、エヌビディアはGPU(画像処理)技術、テスラはEV(電気自動車)・・・といったように、これら企業の象徴をすぐに思い浮かべることはできます。
ただし、実際の経済はこれらだけでは回りません。
例えば、東京証券取引所プライム市場上場企業一覧には33の業種区分があります。
水産・農林業、建設業、鉱業、不動産業、情報・通信業、食料品、サービス業、陸運業、小売業、卸売業、化学、繊維製品、ガラス・土石製品、輸送用機器、石油・石炭製品、金属製品、パルプ・紙、医薬品、精密機器、電気機器、ゴム製品、鉄鋼、非鉄金属、銀行業、機械、証券・商品先物取引業、その他金融業、保険業、その他製品、倉庫・運輸関連業、海運業、空運業、電気・ガス業・・・といった業種区分です。
このような33の業種区分があってこそ、実際の経済は回るものですし、また日本のプライム市場(1656社)全体について考えますと、「マグニフィセント・セブン」の時価総額合計が、日本のプライム市場(1656社)全体の時価総額合計を2倍以上も上回っている現状は、狂気の沙汰だと思います。
では、そんな現状は「いったい何なのか?」と考えますと、完全に「マネーゲーム」の結果だと思います。
ちなみに、最近の以下のニュースもマネーゲームの結果だと思います。
【日経平均株価、一時500円上げ 33年11カ月ぶり高値】
【上海上場の米国株ETF、一時売買停止 日本株ETFに続く】
【時価総額930兆円失った中国株、ようやく買い場と言えるのか】
【NYダウ終値、60・30ドル高で過去最高値を連日更新・・・FRB早期利下げの期待広がる】
【都心マンション、初の1億円超え 23年平均価格、超高額物件押し上げ】
【島がマネーゲームの舞台に? 地価上昇が止まらない沖縄で今何が・・・】
このように、株式市場も不動産市場もマネーゲームの様相を呈しており、他の市場もやはり同じようにマネーゲームになっていると考えられます。
そして、日本の現状の「円安」もマネーゲームの結果でしょう。
実際、日本の「円」の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」は50年ぶりの円安で、アジアの中においても、中国の「元」、韓国の「ウォン」、タイの「バーツ」よりも安くなっています。
しかし同時に、以下は日本の世界における最新のランキングで、本当に「現在の円安が妥当なのか?」と考えるべきだと思います。
・対外純資産・・・世界1位
・国家ブランド指数・・・世界1位
・パスポートランキング・・・世界1位
・GDP(国内総生産)・・・世界4位
・世界平和度指数・・・世界9位
上記のようなランキングを見ますと、日本の現状の円安は、前述の「マグニフィセント・セブン」の時価総額のように、狂気の沙汰だと思います。
ところが現実は、冒頭で紹介した「マグニフィセント・セブン」の人気が再び高まっていると報じられ、投資はさらに過熱し、マネーゲームの様相を呈しています。
相場の「大どんでん返し」を警戒しつつ、引き続き慎重に取り組んでいきましょう。