今年に入り、各種報道において「リスク」という言葉が目立っています。
その中でも、相場に影響する可能性があると思われるニュースを、以下に時系列でみていきます。
【ウォール街「砕かれた野望」、中国リスクの圧縮急ぐ-米中対立も懸念】
軍事とも密接に関わる先端技術をめぐり、米中の覇権争いが激化しているのは知られるところですが、昨年から中国株(上海総合指数など)の下落が止まらず、外国人投資家が次々と撤退しています。
おそらく、2007年2月、2015年6月、2015年8月、2016年1月と、過去に4度のチャイナショック(中国を発端とし、世界の金融市場を大混乱に巻き込んだ出来事の総称)がありましたので、不動産不況(前年比マイナス9.6%)もある中で、中国経済に対する投資家の警戒感が高まっているのだと思います。
次に、以下3つのニュースをみてみます。
【24年の10大リスク「米国の分断」が首位 大統領選で拍車】
【世界の金融市場、ゴルディロックス相場の反転リスク-HSBCが警鐘】
【「世界的大惨事」のリスク上昇、AI偽情報や異常気象に警鐘 世界経済フォーラム調査】
国際情勢を専門とする米調査会社ユーラシア・グループが発表した2024年の世界の「10大リスク」によると、1位に「米国の分断」が挙げられています。
報告書では、米国について「どの民主主義国よりも機能不全。24年にはさらなる弱体化に直面する」と厳しく指摘しています。
一方、英金融大手HSBCは、世界の金融市場にゴルディロックス相場(適度な状況にある相場)の反転リスクが生まれていると指摘しています。
また、世界経済フォーラムが今月の10日に発表した世界のリスクに関する年次調査報告書では、「AI(人工知能)が増幅させる偽情報や、気候変動の壊滅的な影響により、人類の未来に危険が差し迫っている」と指摘されていました。
これらを踏まえた上で、世界がこの先何事もなく推移するのかどうか、要注目です。
そして、以下6つのニュースをみてみます。
【英外相「グローバルリスクは赤信号」と警告-フーシ派を再攻撃の用意】
【地政学が今年最大のリスク、市場や世界経済に-ゴールドマン顧客調査】
【日本株ETFに中国の投資家殺到-運用会社のリスク警告も無視】
【地銀を「非常に懸念」、複数のリスク-グッゲンハイムのウォルシュ氏】
【1月ロイター企業調査:24年最大のリスクは「為替」、原材料高で値上げ続く】
【「恐怖指数」が11月以来の高水準-金利不透明感や地政学的リスク警戒】
現在、親イラン武装組織フーシ派が紅海で船舶を攻撃し続けています。
一方で、現在イスラエル軍はパレスチナのガザ地区への攻撃を続けており、昨年10月には米国、ドイツ、英国、フランス、イタリアの首脳がイスラエルへの「揺るぎない結束した支持」を表明しましたが、これに対し、フーシ派は「イスラエルがガザの兄弟達に対する攻撃を止めるまでイスラエル船が紅海を航行するのを阻止し続ける」と発言しています。
そして英国のキャメロン外相が、「これほど多くの危険と不安、不安定さが世界に存在した時期がこれまでにあったとは、とても思えない」「グローバルリスクレベルの赤信号が点滅している」と語ったのが現在の状況です。
また、英国のキャメロン外相と同様に、「市場と世界経済にとって今年最大のリスクは地政学」ということが、米金融大手ゴールドマン・サックスの顧客調査でも明らかになっています。
そのような中、日本株に連動するETF(上場投資信託)には中国の投資家が殺到しており、それに対して「やみくもに投資すれば多額の損失を被る可能性がある」と警告が発せられ、先週17日には取引が一時停止される事態となりました。
一方で、昨年の米国では、SVB(シリコンバレー銀行)、シグネチャー・バンク、ファースト・リパブリック・バンクといった地銀の経営破綻がありましたが、米大手資産運用会社グッゲンハイム・パートナーズのCIO(最高投資責任者)は、引き続き「地方銀行について非常に懸念している」と発言しています。
さらに、1月のロイター企業調査(日本企業への調査)では、2024年最大のリスク要因を聞いたところ、半数が「為替」を挙げたといいます。
現状は、円安が続く中での原材料高への懸念が根強いですが、今年は米国の利下げを受けた円高も予想され、輸出型企業やインバウンド関連企業などから影響を心配する声が聞かれているようです。
そして、ウォール街のVIX(恐怖指数)は、米金融当局の政策金利動向を巡る不透明感や地政学的リスクを警戒して、じりじりと上昇しているのが現状です。
さて、このように、「リスク」という言葉に着目してニュースを時系列でみていきましたが、このようなニュースを踏まえたときに、例えば、バブル後最高値を更新し続ける日経平均株価に合理的な理由はあるのでしょうか?
帝国データバンクの調査によると、2023年の企業倒産は前年比33.3%増で、増加率はバブル崩壊後で最大とのことですが、それでも、バブル後最高値を更新し続ける日経平均株価に合理的な理由はあるのでしょうか?
まともに考えれば、狂気の沙汰だと思いますし、一部では「売り抜け(保有株を相場が下がる前に売却して、取引から離脱すること)の環境整備ではないか?」とも言われています。
そのような中、前述のように、中国株の下落もあって、東証の時価総額が3年半ぶりアジア首位となっていますが、バフェット指数(米著名投資家のバフェットが用いている、100を超えると割高とされる)はバブル期に付けたピークの140を超え、155まで上昇しています。(16日時点)
相場には「石が浮かんで木の葉が沈む」という格言があり、あり得ないことが相場では起こるという意味ですが、いつだって「まともに考える」ことは重要です。
引き続き、各種報道に注意を払い、慎重に取り組んでいきましょう。