内閣支持率と円安

 

 

 

【内閣支持率29%に大幅下落  朝日】

 

 

 

【内閣支持率32%で過去最低 共同通信の世論調査】

 

 

 

【岸田内閣支持率25% 過去最低で横ばい 毎日新聞世論調査】

 

 

 

【内閣支持率34%2110月の岸田内閣発足以来最低に読売世論調査】

 

 

 

 

 

上記報道のように、最近は岸田内閣の支持率が各紙調査で「最低」を更新しています。

さらに、岸田首相が解散総選挙のタイミングを計るため、自民党が複数のリサーチ会社に依頼していた世論調査によれば、自民党は現在から41議席失うだろうとのことです。

 

 

 

ところで、これほどまでに岸田内閣の支持率が低下し、自民党の支持率が低下しているのは、間違いなく国民生活を圧迫している「物価高と円安」が理由の一つとしてあるでしょう。

 

 

 

そもそも今の「異常な円安」は、アベノミクスの名の下で大規模な金融緩和(マネーのジャブジャブ)が行われたことから始まりました。

 

 

 

その金融緩和を日銀がやってきたわけですが、その目的は通貨供給量を増やして景気を底上げしようということでした。

 

 

 

当時、黒田日銀前総裁と金融緩和の両方を指して「黒田バズーカ」と呼ばれ、2013年以降、2年で140兆円の緩和を行おうということで進んできました。

 

 

 

この動きを「きっかけ」に、株価が上がり、為替が大きく円安に振れてきたのですが、国民の生活実感としては「景気が良くなった」とは、ほとんどの人が思っていないような状況です。

いったい、なぜなのでしょうか?

 

 

 

それは、金融緩和で通貨供給量を増やしても、銀行にお金が渡るばかりで、多くの国民にお金が渡っているわけではないからです。

 

 

 

そして金融緩和は、通貨供給量を増やす一方で、そのために多額の国債を発行し、大量の借金を積み重ねる行為です。

 

 

 

そのような中、現在、主にネット上で岸田首相のあだ名が「増税メガネ」で定着しつつあります。

 

 

 

岸田首相は「財政健全化の旗は掲げ続けなければならない」「財政はやはり国の信認の礎だ」と言っていますが、「増税メガネ」のあだ名の通り、増税はするけれども、金融緩和で借金は増やすということで、完全な「論理矛盾」が指摘されています。

 

 

 

要するに、金融緩和といっても国民にお金を渡すわけではなく、日本全体の借金を増やしながら、増税はしようという話ですから、国民の生活実感としての「景気が良くなった」ということにならないのは当然の展開なのです。

 

 

 

このように、金融緩和でも銀行にお金が渡るばかりであって、多くの国民にお金が流れてこない状態を「豚積み」と言います。

 

 

 

そして「豚積み」は、銀行の資金は国民に渡らずに「国債を買う」等して滞留しつつ、日銀の当座預金(銀行から預かるお金)は積み上がっていく、という状態を指しています。

 

 

 

したがって、日本政府が「本気で景気を良くするつもりなんてない」ことは明白で、それは多くの国民の懐が潤わないことを意味しますから、内閣の低い支持率も当然の帰結だと思います。

 

 

 

そのような中、景気を良くするためには「銀行はどんどん融資をしなければペナルティー」という仕組みにしていかなければならないと、昔から専門家達に指摘されていました。

 

 

 

その結果導入されたのが「マイナス金利」で、銀行が日銀の当座預金に資金を積み上げていく状態、つまり「豚積み」に対してマイナス金利が適用されることになったわけです。

20161月に導入されました。

 

 

 

ところが、その結果は、景気が良くなるどころか、「物価高と円安」を招きました。

それも「異常な円安」となって跳ね返ってきました。

 

 

 

ですので、先週は、日経新聞で以下のようなニュースが報じられました。

 

 

 

 

 

【マイナス金利撤廃をためらうな 緩和は弱者を救わない】

 

 

 

 

 

このニュースのポイントは以下にあります。

 

 

 

 

 

・中小企業は円安に弱いところが多く、むしろ緩和で打撃を受けている

・緩和しても景気は良くならない

・マイナス金利が撤廃されたところで、日本で起きる金利上昇など高が知れている

・マイナスの金利をさらに下げたところで景気は刺激できない

 

 

 

 

 

結局のところ、かつて麻生太郎副総裁が財務相時代に述べたように、マイナス金利や緩和ではなく、景気対策としては「減税」が世界の潮流なのです。

先日、ようやく減税の話が出てきましたが、中途半端な中身のため、効果は早速疑問視されており、今後の展開には要注目です。

 

 

 

そのような中、今、市場参加者が注目しているのは「マイナス金利解除の時期」です。

そのタイミングで、為替は円高に振れる可能性があるからです。

 

 

 

先週、桜井元日銀委員は「年内にもマイナス金利政策を解除する可能性がある」との見解を示しました。

一方で、今は円相場が「1ドル=150円」に近づきつつあり、為替介入の可能性も高まっています。

さらには、中東情勢を巡る地政学リスクなどもありますし、来週は日銀の金融政策決定会合も開かれます。

 

 

 

要するに、いつ「円」が乱高下してもおかしくなく、通貨オプション・トレーダーはバタフライ戦略(3つのオプション契約を同時に組み合わせる高度な戦略)で備えているそうです。

 

 

 

政府・日銀の主導によって、今年の「円」は年初から対ドルで12%以上下落し、主要10通貨中最悪のパフォーマンスとなっていますが、もしかしたら今後、相場は急変するかもしれません。

 

引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。