マネーゲームと認識

 

 

 

毎日新聞の世論調査によると、「物価高が生活に影響している」と回答した人が92%にも達したそうです。

また、7月の白物家電の「出荷額」については、前年同月比14%減で、エアコンは22.8%減、洗濯機は16.1%減、冷蔵庫は4.6%減だったそうです。

そしてこれも、やはり「物価高が生活に影響している」ことに関連しているようです。

 

 

 

ところで、このような物価高に「円安」が拍車をかけているのは間違いないところですが、先週は以下のようなニュースが飛び込んできました。

 

 

 

 

 

【ゴールドマン、1ドル155円まで円安進むと予想-日銀ハト派堅持なら】

 

 

 

 

 

米金融大手ゴールドマン・サックスは、なんと「1ドル=155円」を付けると予想したのです。

 

 

 

ただし、日銀がハト派的な姿勢(金融緩和、マネーのジャブジャブ)を堅持すれば、という条件付きでの予想です。

 

 

 

このような「1ドル=155円」という予想は、的中すれば、さらなる物価高に繋がるでしょうし、多くの日本国民にとっても的中しない方がよいでしょうが、肝心の日銀が、ハト派的な姿勢(金融緩和、マネーのジャブジャブ)を堅持しているので、的中してしまうかもしれません。

 

 

 

そのような中、最近以下のようなニュースも報じられました。

 

 

 

 

 

【日銀コア物価指標が過去最高、将来予測の有効指数は3.3%上昇-7月】

 

 

 

 

 

つまり、日銀の分析によるインフレ率(物価上昇率)は「過去最高」であり、3.3%になるということなのですが、その一方で、肝心の植田総裁は「基調的インフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている」などと、先月の米国のパネル討論会で発言していました。

 

 

 

これには、さすがの専門家達も「訳が分からない」と言っています。

 

 

 

そして「意地でも円安へ誘導したいのか?」という批判の声まで上がっているのですが、植田総裁はハト派的な姿勢(金融緩和、マネーのジャブジャブ)を堅持しているので、そういうことなのでしょう。

結局のところ、このような現状に向き合った時に、過去のコラムでも述べたように、以下の2点を考えないことには説明がつかないと思います。

 

 

 

 

 

・日本が米国に貢いでいる。

 

 

 

・米国の巨額の財政赤字の穴埋めに、日本の資金を使っている。(米国債を買う)

 

 

 

 

 

つまり、上記2点の結果として、異常な円安と物価高、物価高が生活に影響していると回答した人が92%、という現状に至っていると思います。

 

 

 

では、肝心の米国はどうなのかと言えば、これまた「マネーゲーム」で滅茶苦茶な出来事がありました。

 

 

 

 

 

【ビンファスト株急伸、時価総額27.8兆円に拡大-ゴールドマン上回る】

 

 

 

【ベトナムEVビンファスト、時価総額で車メーカー3位に】

 

 

 

 

 

「不採算」のベトナムのEV(電気自動車)メーカー、ビンファストが米国株式市場(ナスダック)で、わずか半月で7倍近い急騰を記録し、今や、時価総額で米金融大手ゴールドマン・サックスやボーイング(世界最大の航空宇宙機器開発製造会社)を上回るというニュースになります。

そして、なんと、自動車メーカーの時価総額で米テスラとトヨタ自動車に次ぐ3位につけたのです。

 

 

 

ところが、そんなビンファストは、前述のように「不採算」です。

 

 

 

しかも、2022年世界販売台数はわずか2万4000台で、フォルクスワーゲン(8262800台)やフォード・モーター(4231000台)にも遠く及びません。

さらに、今年13月(第1四半期)の純損失は約6億ドルもあります。

 

 

 

これは、あまりにも、おかしいのではないでしょうか?

すると、案の定、以下のようなニュースが飛び込んできました。

 

 

 

 

 

【新興EVビンファスト株が急反落、時価総額約12兆円減少】

 

 

 

 

 

今度はビンファスト株が急落しました。

直近の株価急騰を「正当化するのは難しい」と判断されたのが、その理由です。

これぞ、まさに「マネーゲーム」です。

 

 

 

しかし、考えると、NYダウも、この30年余りで10倍以上になっています。

 

 

 

では、「米国社会が、この30年で10倍豊かになったのか?」と考えると、先週も【米国の低所得者層、食費捻出にも苦労-生活の苦境浮き彫り】というニュースが報じられており、とてもそうは思えません。

 

 

 

一方で、日経平均株価も33年ぶりの高値となっていますが、1995年から行われている国民生活基礎調査によると、国民の年収中央値は100万円も下がっています。

これだけでも、実態を反映していない株高と言えるでしょう。

 

 

 

同様に、ドル円相場も「購買力平価説」で考えれば「1ドル=81円」になるところが、現実には「1ドル=146.27円」(92日時点)となっており、実態を反映していない「ドル高円安」と言えるでしょう。

 

 

 

結局のところ、昨今の相場については、取り組む際には「マネーゲーム」と認識する必要があり、トレンドに追随すること、ロング(買い建て)の高値掴み・ショート(売り建て)の安値掴みに気を付けること、資金管理・リスク管理に気を付けることが重要だと言えます。

 

 

 

 

これらをしっかり意識して、引き続き、根気強く取り組んでいきましょう。