・景気は良いか? 悪いか?
・相場はファンダメンタルズ(経済状態)を反映しているか? 反映していないか?
相場に取り組むにあたって、上記のようなことは常に意識しておくべきだと思います。
しかし、深く考えなくても肌感覚で答えは分かると思います。
【4月の実質賃金3.0%減、13カ月連続マイナス】
【生活保護申請6・9%増 4年度、3年連続プラス】
【5月の企業倒産35%増 14カ月連続 物価高が重荷に】
【東証、3営業日連続でバブル後高値を更新】
上記はいずれも「先週のニュース」ですが、賃金が減り続け、生活保護の申請が増え、企業倒産も増えている日本において、株価ばかりが上昇しています。
一方で、米国の場合は少し複雑ですが、以下に最近のニュースを紹介します。
【5月の米雇用統計、市場予想を大きく上回る…就業者数の伸び2か月連続で加速】
【ハーバード卒でも厳しい今年の就職戦線、米労働市場の冷え込み映す】
【米ISM製造業景気指数、5月は7カ月連続50割れ 新規受注が急減】
【米ISM非製造業景況指数、ほぼ活動停滞の水準-仕入れ価格低下】
【米企業倒産急増、追加利上げのハードルになる深刻な構図】
【NYダウ続伸、701ドル高 米雇用統計を好感】
上記のように、米雇用統計が「良い」ということで株価が上昇しました。
しかし、一方で「ハーバード卒でも厳しい」という「米労働市場の冷え込み」が報じられています。
ところで、上記の米ISM製造業景気指数とは、ISM(全米供給管理協会)が公表している米国の「製造業」の「景気の良し悪し」を示す指数のことをいいます。
同様に、米ISM非製造業景況指数とは、米国の「非製造業」の「景気の良し悪し」を示す指数のことをいいます。
結論を言えば、米国の製造業は「悪化」しています。
そして、米国の非製造業も「活動停滞」となっています。
5月の米企業倒産は、なんと「前年同月比31%増」となっています。
ここで、私達個人投資家は、以下のようなことを考えるべきだと思います。
・製造業も非製造業も「悪化」や「活動停滞」となっており、米企業倒産も急増しているにもかかわらず、米雇用統計が「良い」というのは本当か?
まともに考えれば、米雇用統計の内容は「嘘」ではないでしょうか?
一部の専門家も指摘しているように、米雇用統計は「国家ぐるみの粉飾」ではないでしょうか?
そして、もしもそうであるなら、米雇用統計が「良い」ということで上昇した米国株も、日本と同様、完全に「マネーゲーム」の結果ではないでしょうか?
実際に、住宅バブルとも指摘されている米国ですが、中古住宅価格が「11年3か月ぶりの落ち込み」と報じられ、一部の専門家は「バブルが終ったのではないか?」と指摘しています。
現在の「株と不動産」もマネーゲームの結果と考えれば、今後は「株と不動産の暴落」という形で、米国のバブルが終焉する可能性があるでしょう。
一方で、不動産といえば、中国も酷い不動産バブルに直面しているようです。
今、中国では不動産価値がGDP(国内総生産)比414%にも達し、日本の不動産バブルのピーク時(GDP比391%)よりも深刻な状況に陥っているそうです。
ちなみに日本の不動産バブルのピーク時といえば、1980年代末、人々が1万円札をかざしてタクシーに乗っていたこと等が思い出されますが、中国は今、それよりも酷い不動産バブルに直面しているということですので、この先の展開には要注意です。
いわゆる「チャイナショック」が現実になれば、世界同時株安は避けられず、為替も一気に円高へと進むでしょう。
さらに、EU(欧州連合)も状況は深刻です。
【経済、移民、ウクライナ 問題山積のEUで財源枯渇が秒読み】
【ユーロ圏、1-3月成長率はマイナス0.1%に改定-リセッション確認】
上記のように、EUは「財源枯渇」や「リセッション(景気後退)」といった報道が続いています。
しかし、やはりと言うか、日米同様、株価は最高値圏にあります。
いずれにせよ、今の世界はかなり歪(いびつ)で、相場はマネーゲームの様相を呈しています。
しかし、こんな「ファンダメンタルズ(経済状態)無視の相場」が、未来永劫続くとは考えられません。
相場は、常に警戒を怠らずに取り組んでいきましょう。