現在、不動産市場に焦点を当てますと、様々な問題が浮かび上がってきます。
もしかすると、リーマンショックの再来が現実となり、為替相場は「1ドル=100円割れ」というような、強烈な円高になる可能性もあると思います。
日本のバブル経済とその崩壊を思い返してみても分かりますが、上がり過ぎた株価は暴落しますし、上がり過ぎた不動産価格も暴落します。
そのような中、「バブル研究」に関して、世界で「第一人者」として知られる米資産運用会社GMOのジェレミー・グランサム氏は、現在の株式相場をスーパー・バブルと指摘し、現在の「住宅バブル」についても「乗り切れない」と述べました。
そして現在、以下のようなニュースがあります。
【米銀破綻、不動産投資に影 証券化商品、上乗せ金利急騰 資金繰り悪化の懸念】
【米地銀破綻で身構える不動産所有者、債務9000億ドルへの圧力強まる】
【米銀破綻、中堅行のオフィス融資に市場警戒 REITも苦戦】
【建て売り4社、在庫が4割増】
【建材、だぶつく在庫 住宅・中小ビルの停滞映す】
【住友不動産、2年4カ月ぶり安値 投資判断引き下げに嫌気】
【欧州株式市場=反落、利上げ長期化懸念で不動産株下落】
【コロナ禍でカリフォルニアの「不動産価格」に暗雲…2023年「リーマンショック」再来はあるか?】
【中国で2番目に大きい不動産企業が「不渡り」を招いたワケ。バブルに住宅を乱立も「ほとんどが空室…」悲痛な実態】
一言で言えば「危うい」と思います。
そして、その「危うさ」を加速させたのが「米地銀の破綻」でした。
では、米地銀はなぜ破綻したのでしょうか?
現代社会は、すっかり「ネット社会」となっていますが、米地銀破綻の「引き金」は、なんと「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の投稿の拡散」だったと言われています。
「経営が悪化しているのではないか?」「破綻するのではないか?」といった噂が拡散され、それが「引き金」になったそうです。
具体的には、Twitter(ツイッター)による拡散だったそうですが、リーマンショックの発生した2008年当時はSNSの影響力はまだ小さく、1日のツイート数は5,000件から1万件程度だったのに対し、現在はなんと5億件を突破しているそうです。
したがって、今回の米地銀破綻の件からも分かるように、現在のSNSの影響力は甚大です。
今後は、さらに影響力が加速するかもしれません。
そのような中、イエレン米財務長官は「しっかり管理していても、SNSなどをきっかけに銀行は破綻の危機にさらされる可能性がある」と発言しました。
要するに、破綻は、実際の経営状態に関係なく、どんな銀行にも起こりかねないということです。
実際に、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、先日破綻した複数の米地銀だけでなく、同様のリスクにさらされる可能性のある銀行が、なんと200行近くもあると報じました。
はたして、今後どうなるのでしょうか?
そのような中、周知のとおり、現在の世界はインフレ(物価上昇)が進んでいます。
そして、世界の中央銀行はインフレを抑制するため、最大規模の「利上げ」を実施しています。
そのような「利上げ」で、最も深刻な影響が出るのが「不動産市場」です。
住宅ローン金利が高騰すれば、不動産需要が激減するからです。
それが、前述のように、実際に「ニュース」となって報じられてきたのが現在の状況です。
いわゆるデリバティブ(金融派生商品)も、不動産が元になっているものが多く、不動産市場に異変が生じると、世界の金融市場全体に負の連鎖が波及する可能性があるのです。
その時に、本当に「危機を抑え込めるのか?」ということなのです。
何せ、SNSの拡散で銀行が破綻するような時代です。
不動産市場も怪しくなってきた現在、平穏無事な金融市場が今後も続くとは思わない方が賢明ではないでしょうか?
すると、相場に取り組むにあたって、大事なのが「リスク管理」になります。
相場格言には「損切りは早く、利は伸ばせ」という格言もありますが、不安定な相場では、気を付けないと高確率で損切りがヒットし、利益も早めに確定しておかなければ、あっという間に無くなってしまうので注意が必要です。
また相場は「心理戦」でもありますので、心理的に振り回されないように、リスクを取りすぎない、といった慎重さも必要でしょう。
ところで先週末、欧州株式市場では、銀行株が急落しました。
相次ぐ銀行の経営危機がさらに拡大するのではないかとの懸念がくすぶったようです。
このように、危機は「現在進行中」です。
相場においては、リスク管理に焦点を当てながら取り組んでいきましょう。