有事

 

 

 

現在、様々な観点で、世界は「有事」だと思います。

個人的に気になるニュースはたくさんありますが、いくつかピックアップしてみます。

 

 

 

 

 

【米銀行200近くがシリコンバレー銀行と同じ運命をたどる可能性=調査結果】

 

 

 

 

 

先日、米銀16位のSVB(シリコンバレー銀行)が破綻し、シグネチャー銀行(米銀29位)やシルバーゲート銀行(米銀128位)も破綻し、世界各国で「銀行不安」が台頭していますが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同様のリスクにさらされる可能性のある銀行が、なんと200行近くもあるそうです。

その上で、次のニュースです。

 

 

 

 

 

【米国の銀行システムは安全ではない=米国の元財務次官補】

 

 

 

 

 

米国の米国の元財務次官補、ポール・クレイグ・ロバーツ氏は、「米国の銀行システムは安全ではない」「米国の5大銀行は世界GDP2倍の損失を被るリスクを負っている」と述べ、それは約188兆ドル(約24780兆円)にも上るとのことです。

 

 

 

そのような中、米国のトランプ前大統領は「1929年の世界大恐慌よりも、はるかに大きく強力な大恐慌が起こるだろう。その証拠に、銀行はすでに崩壊し始めている」と述べました。

 

 

 

しかも銀行といえば、米国の銀行のみが危機に陥っているわけではなく、スイスの金融大手「クレディ・スイス」の危機も再燃しました。

クレディ・スイスは、スイス国立銀行(SNB、中央銀行)から最大500億スイスフラン(約71000億円)を借り入れると発表し、いったんは危機が静まったかに見えましたが、その額は十分ではないようで、以下のような報道がありました。

 

 

 

 

 

【クレディS、約11兆円の債券にベイルインリスク-社債価格が織り込む】

 

 

 

 

 

簡単に言えば、たとえ7兆円投入しても、11兆円吹き飛ぶ可能性があるということです。

その後、UBS(スイスの金融大手)が4300億円でクレディ・スイスを買収し、歴史的銀行統合と発表されましたが、上記の債権の内、約2兆2800億円相当が無価値になりました。

 

 

 

このような状況ですので、各種報道にもあるように、「危機が国境を越えて飛び火」する可能性があるのが現在の状況です。

 

 

 

投機筋が、欧州銀行株に対する約160億ドルの売り持ちを積み上げている(値下がりで利益を狙う)といった報道もあります。

 

 

 

したがって、日本としても、うかうかしていられません。

 

 

 

 

 

【財務省 日銀など臨時会合 米銀行経営破綻などで緊密連携確認】

 

 

 

 

 

先週17日(金)の夕方、財務省と金融庁、それに日銀は幹部による臨時の会合を開きました。

 

 

 

米国の銀行の相次ぐ経営破綻や、スイスの金融大手「クレディ・スイス」の懸念がある中、日本経済や金融市場に及ぼす影響を注視し、緊密に連携していくことを確認したとのことです。

 

 

 

会合のあと、神田財務官は記者団に対し「日本の金融機関は、総じて充実した流動性や資本があり、金融システムは総体として安定している」と述べたようです。

 

 

 

したがって、このような全体像を勘案しますと、「ドル買い」「ユーロ買い」よりも「円買い」に分がありそうだと判断できます。

 

 

 

ところが、このような状況にもかかわらず、未だに「凄まじいほどの円安」が続いています。

 

 

 

 

 

1ドル=75.34円(最高値)  ⇒  1ドル=131.82円(2023318日時点)

 

 

 

・1ユーロ=88.96円(最高値) ⇒  1ユーロ=140.59円(2023318日時点)

 

 

 

 

 

一時より「マシ」になったとは言え、上記のように、最高値と比べると、未だに「凄まじいほどの円安」であることが分かります。

 

 

 

「円」の「実質的な価値」を示す「実質実効レート」は、50年ぶりの円安です。

 

 

 

はたして今後、この円安は修正されていくのでしょうか?

 

 

 

そのような中、現在は盛んに台湾有事(中国が台湾に軍事侵攻)が叫ばれています。

中国の習近平国家主席が台湾を併合する方針で、タイミングが「いつなのか?」ということに焦点が当たっています。

 

 

 

米国は中国の動きに対して、空母打撃群2群(中国本土を焦土にしてしまえるほどの攻撃力)を極東に展開することを予定しています。

中国が台湾併合に動けば、米国も黙っているはずがなく、米中直接対決という恐ろしいシナリオもあり得ます。

 

 

 

そのタイミングが「今年かもしれない」と言われる中、日本も戦場として巻き込まれ、日本がウクライナのようになる、と言う専門家達もいます。

 

 

 

それが杞憂であればいいのですが、もしも「台湾有事」が発生すれば、東日本大震災が発生した際にも円高が進んだように、相場の初期反応は「円高」となり、その後は「戦地に近い地域の通貨」ということで、「円安」に進むのではないかと言う専門家達もいます。

 

 

 

いずれにせよ、現在の世界は「有事」であると思いますし、そのことが実際に意識され、直近では金価格が上昇しました。

そうかと思えば、本日、FRB(米連邦準備制度理事会)や日銀など日米欧の6中央銀行が、米ドルの資金供給を毎日実施する拡充策で協調することを決定し、いったん相場は落ち着いています。

 

 

 

しかし、世界を国別で考えますと、完璧に「安全」で「健全」な国は存在しません。

 

したがって、今後も引き続き、相場は「決め打ち」することなく、慎重に取り組んでいきましょう。