【22年のFX取引、初の1京円超 為替で存在感増す個人】
上記は先日報じられた日経新聞のニュースです。
日本の個人による2022年のFX取引額は1京円超で、正確には「1京2074兆円」と、過去最大となったそうです。
そして記事では、2022年にFX取引を始めた20代の男性が「スワップポイントだけでも円売り・ドル買いは魅力的」と話し、三重県在住の30代のFX投資家が「依然として米国のインフレ水準自体は高く、2023年も円安傾向が続くだろう」として円売り・ドル買いの目線を崩さない、といった様子も紹介されていました。
また記事によると、短期売買を繰り返す個人も急増中だそうです。
しかし私は、このような「取引の過熱ぶり」に危うさを感じます。
何よりも、前述のような「1京2074兆円」という取引額自体が尋常ではないと感じます。
そのような中、先週18日は日銀の金融政策決定会合が開かれましたが、この日のドル円の値動きは以下のようになりました。
128.08円 → 131.58円 → 127.57円 → 128.89円
要するに、この日の高値(131.58円)と安値(127.57円)の差は「4.01円」あり、これは1日の値動きとしては「乱高下」と言えるレベルでした。
(2021年以前の直近10年間では、ドル円の年間高値と年間安値の差の平均が13.54円)
しかも事前の市場予想では「円高」が多かったのですが、実際には円安(128.08円 → 131.58円)に動いたため、巷では「死んだ!(大損した!)」と言う投資家の声も多く聞かれました。
したがって、このような相場において、相場格言「損切りは早く、利は伸ばせ」に則って短期売買をしますと、高確率で損切りがヒットします。
そして利益も早めに確定しておかなければ、あっという間に無くなってしまいます。
つまり、たとえ相場格言であっても「熟考」することが大事なのです。
ところで、この日は一時131.58円まで上昇したドル円でしたが、なぜ再び127円~128円まで下落したのでしょうか?
以下の記事にヒントがあると思われます。
【米国市況:株続落、低調な指標受け成長懸念が再燃-ドル128円後半】
上記はブルームバーグの記事ですが、一言で言うと、米経済がリセッション(景気後退)に近づきつつあるとの懸念が高まっているようです。
直近でも、イエレン米財務長官がリセッション(景気後退)を警告しました。
企業の動きを見ても、マイクロソフトが1万人を削減する計画を明らかにし、グーグルも1.2万人を削減すると発表しましたし、米金融大手バンク・オブ・アメリカも大半の部門で採用を凍結する動きとなっています。
さらに、米暗号資産(仮想通貨)企業のジェネシス・グローバル・キャピタルも破産申請を行う方向です。
要するに、米経済の調子が悪くなってきているわけで、そうであれば「ドル高」は不自然です。
したがって、前述の「131.58円まで上昇したドル円が、再び127円~128円まで下落した」動きに繋がったと思われます。
一方で、過小評価されているのが、我が国、日本の「円」です。
つい最近、メディア各社が報じていましたが、日本のパスポートは「5年連続で世界一位」です。
日本のパスポートはビザ(査証)なしで国外の193都市に行くことができ、これは世界最多なのです。
そして、これこそが「日本の信頼の証」で、海外からは以下のように評価されています。
誠実、親切、約束を守る、手抜きをしない、相手の立場で物事を考える努力をする・・・
このような日本人の「気質」や「行動」が評価されたからこそ、日本のパスポートは「5年連続で世界一位」なのです。
しかも、日本は経済面においても、対外純資産で「31年連続で世界最大」です。
ですので、50年ぶりの円安(実質実効レート)に至り、異常なまでの「円安」と言っても過言ではない現状には「こんなのおかしい!」と思っておく方が健全だと私は思います。
そして、このような異常な円安に至った原因こそ、米国の「歪み」にあると思われます。
【米で強まるデフォルト懸念 「ねじれ議会」で協議難航】
上記は先日の時事通信のニュースですが、現在、米国がデフォルト(債務不履行)に陥るとの懸念が強まっています。
だからこそ、近年はずっと日本に「しわ寄せ」が行って(日本は長年、米国の属国)、現在の異常な円安に至っていると考えられます。
ところで、米国のデフォルト(債務不履行)懸念自体は過去にも何度かあったのですが、専門家達は「当時よりも今の方が、状況が悪い」と身構えているようです。
したがって、今後は「円安ドル高になる」と決め打ちするのではなく、相場の大幅修正の可能性も考えて、慎重に取り組んでいきましょう。