今年も残すところあとわずかとなりました。
相場は海外がクリスマス休暇ということで、流動性が低下し薄商いとなっています。
日本も年末年始に入るため、毎年のことではあるのですが、クリスマスを含む年末年始期間は取引参加者が減少し、マーケットの流動性が大きく低下するため、急激なレート変動が起こりやすくなっています。
さて、そのような中、相場においては様々な「予想」が出てきています。
【サクソバンク、2023年の「衝撃的予測10」を発表】
上記は、デンマークに本社を持つサクソバンクの来年予想になりますが、中でも注目は「金(Gold)の需要が高まり、1トロイオンス=3000ドルまで価格が上昇する」という予想です。
これまでのコラムで何度か言及した通り、現在、金価格は西側諸国(米国・欧州・日本など)以外の世界では「1トロイオンス=2700ドル」です。
ところが、西側諸国では「1トロイオンス=1798ドル(12月24日時点)」です。
したがって、金(Gold)の需要が高まって、上記の「1トロイオンス=2700ドル」に近づいていき、最終的には「1トロイオンス=3000ドル」まで価格が上昇しても不思議ではないと考えられます。
ただし、金価格「1トロイオンス=3000ドル」がどういうことかと考えますと、それは現在よりも「大幅なドル安」であると考えられます。
なぜなら、多くの識者も指摘するように、米国政府が「ドルの覇権=ドル高」を維持するために、これまでずっと金(Gold)を先物市場で売り崩して操作してきたからです。
金価格の大幅な上昇は、そんな米国政府のコントロールが効かなくなってきたということですから、大幅なドル安になると考えられるのです。
一方で、先週は以下のようなニュースがありました。
【日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に 事実上の利上げ】
このニュースが、市場としては驚きだったようで、「1ドル=137.47円」が「1ドル=130.57円」へと、7円近くも一気に円高に振れました。
そして、一般の国民にとっては「住宅ローンの金利が上がる」ということで、「住宅ローンの借り換えサービスにアクセスが殺到し、一時、サーバーがダウンする事態」というニュースも報じられました。
その後、やや円安に戻していますが、為替相場はこのまま「円高ドル安」へと進んでいくのでしょうか?
【日銀は来年1月に再び市場を驚かす可能性-「ミスター円」榊原氏】
上記はブルームバーグのニュースですが、「ミスター円」の異名を持つ榊原英資元財務官は、日銀が10年物国債利回りの上限を「次回の会合(来年1月)」で再び引き上げる可能性があるとの見方を示し、為替相場は「1ドル=120円」まで上昇するとみているそうです。
一方で、同じ専門家でも、佐々木融氏(機関投資家が選ぶ「為替アナリストランキング」で、4年連続で1位となった、JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長)の見方は違っています。
【コラム:日銀ショックで円独歩高、その後に表面化しそうな円売りの構図=佐々木融氏】
上記はロイター通信のニュースですが、佐々木氏によると「今回の円高の動きは一時的なものに終わる可能性も高そうだ」とのことです。
また「意外に早く円は売り戻されてしまうかもしれない」とし、「円高基調が続くことを予想するのは難しい」とのことです。
このように、専門家でも見方が異なる中、ブルームバーグでは以下のようなニュースも報じられました。
【コラム:2023年予想にご用心、異例の不確実性-ジョン・オーサーズ】
ブルームバーグの市場担当シニアエディターのジョン・オーサーズ氏によると、来年の相場は異例の不確実性に満ちているそうです。
また前述の例からも想像できますが、専門家の相場予想も、ここ10年余りで最もばらつきが大きいようです。
では、このような不確実性に満ちた相場で、個人投資家はどう対処したらよいのでしょうか?
昔の相場師で、林輝太郎(はやし てるたろう、1926年10月17日―2012年2月28日)氏が金言(きんげん)を残しています。
・相場は予想するな
・相場は心理戦である
・相場は、値動きにどう対処するかという「技術」の世界だ
上記を要約すれば、値動きを見て、振り回されない程度に相場の「波乗り」に努め、心理戦であるからこそ、心理で負けないように「余裕を持った資金管理」で臨むべきだと言えるでしょう。
これらの金言を噛み締めつつ、引き続き頑張っていきましょう。