「今後の相場対策」について考えてみたいと思います。
ところで、年末が近づいてきましたが、市場関係者の予想(来年)も出てきています。
【円のビッグショート、2023年は劇的なUターンへ-市場関係者が予想】
上記はブルームバーグの記事ですが、以下のような内容が書かれていました。
・「円」は現水準から「7%余り」上昇する可能性があると、バークレイズと野村ホールディングスが予想。
・フォントベル・アセット・マネジメントは適正価格を「1ドル=100円未満」と見積もる。
・ステート・ストリート・グローバル・マーケッツは「円」が急反発すると予想。
・ティー・ロウ・プライスは「恐らく、ドルに対する円の弱さはピークに近づいている」と分析。
・日銀が2023年4月以降に「新総裁」の下で政策を調整するとの観測も「円反発」に拍車をかけそうだ。
・アバディーン・スタンダード・インベストメンツは「円」が「1ドル=130円」まで上昇すると予想。
・ジュピターは「1ドル=120円」近辺まで上昇する可能性を見込む。
少し前には、米金融大手のモルガン・スタンレーが、ドル円相場について、この四半期(2022年10月~12月)がピークになり、来年は下落すると予想していましたが、上記の記事や、その他の報道からも、市場関係者の予想としては円高(ドル安)予想の方が多い印象です。
つまり、今年は「円安」に行き過ぎたということでしょう。
ここで、今年の値動きを改めて振り返ってみます。
【2022年】
(年始)1ドル=115.05円 (高値)1ドル=151.94円 (現在)1ドル=136.58円
上記をもとに計算しますと、ドル円は年始から「36.89円」も円安に動いたということです。
そして、その後は急転換し、高値から「15.36円」も円高に動いての現在値となります。
さらに、この間も「一直線」で動いたわけではなく、乱高下しながらの上昇、乱高下しながらの下落を繰り返して現在値に至りました。
ちなみに、今年の高値(1ドル=151.94円)と安値(1ドル=113.47円)の差は「38.47円」です。
そして、直近の10年間では、ドル円の年間高値と年間安値の差の「平均」が「13.54円」です。
つまり、今年のドル円は例年よりも「3倍」極端に動いたということであり、結果、50年ぶりの円安にも至りました。(実質実効レート)
ある意味「滅茶苦茶」とも言える値動きだったわけで、やはり直近でも荒い値動きが続いています。
そして、ドル円と同様かつ、ドル円につられて、他通貨も荒い値動きが続いています。
したがって、前述の「円高予想」は的中するかもしれませんが、今後も乱高下しながらの上昇、乱高下しながらの下落を繰り返すことが十分に考えられます。
これらを踏まえますと、例えば、相場格言「損切りは早く、利は伸ばせ」にも注意が必要です。
・「損切りは早く」・・・乱高下があるため、気を付けないと「損切り貧乏」になりやすい。
・「利を伸ばせ」・・・・乱高下があるため、気を付けないと「利益」が無くなる。
このように、従来と「相場付き(値段の動き方)」が変わってきている上に、ストップ狩りという名の価格操作もありますので、この相場格言についても熟考する必要があります。
実際のところ、この相場格言は「嘘だ」と断定する専門家もいるからです。
そして、相場格言といえば、他にも「人の行く裏に道あり花の山」という格言もあります。
意味としては、相場で利益を得るためには、他人とは逆の行動をとらなくてはならないという意味になります。
この「人の行く裏に道あり花の山」という格言を、今後の相場対策として、「行動」と「心理」で考えますと、以下のようなことが言えると思います。
・「行動」・・・売買を行うに際しては、「専門家の予測」や「先入観」にとらわれ過ぎないように気を付ける。
・「心理」・・・「短期で大きく儲けたい」のが人情だが、焦らずドンと構えるのが「他人とは逆」になるので正解。
さて、改めて日本の「円」について考えますと、日本の対外純資産は「31年連続で世界最大」となっており、それにもかかわらず、ブラジルの「レアル」、タイの「バーツ」、中国の「元」、韓国の「ウォン」よりも価値が低くなっている現状は「異常」と言えます。
したがって、今後は前述の「円高予想」が的中してもおかしくありませんが、例年よりも「3倍」極端に動くような相場が続いていますので、このような値動きを意識したリスク管理を心掛け、心理面でも振り回されないように意識しながら取り組んでいきましょう。