「ワールドカップとAI」というテーマで考察してみたいと思います。
ところで先日は、サッカー日本代表が優勝4回を誇るドイツ代表を2-1で撃破しました。
(その後、コスタリカには敗戦)
「衝撃!」「大番狂わせ!」「大金星!」と、日本のメディアだけではなく、各国メディアも一斉に報じました。
いずれにせよ、日本の歴史的勝利であることに間違いありません。
さて、今回のワールドカップでは、主審・副審の他にVAR(ビデオアシスタントレフェリー)という映像を基に判断を下す審判がおり、同技術を使いながらオフサイドの判断などを行っています。
データをAI(人工知能)に分析させているとのことです。
一方でAIといえば、前回2018年のロシア大会(ワールドカップ)では、米金融大手のゴールドマン・サックスがAIを使って、大会の結果予想を出していました。
なんと【20万もの統計モデルを使い、100万回ものシミュレーションを行って】予想を出したとのことでした。
ところが、この予想が「大外れ」となったのです。
しかも、予想は途中で2回も「変更」し、それらの予想までもが「大外れ」となりました。
具体的には、以下のようなことでした。
・ロシアはグループリーグを突破できない(予想) → ベスト8(結果)
・サウジアラビアはグループリーグを突破する(予想) → グループリーグ敗退(結果)
・ドイツが準優勝する(予想) → グループリーグ敗退(結果)
・変更前、変更後(1回目)と、ブラジルの優勝(予想)→ フランスの優勝(結果)
・変更後(2回目)は、ベルギーの優勝(予想) → フランスの優勝(結果)
・変更後(2回目)は、イングランドの準優勝(予想) → クロアチアの準優勝(結果)
・スペインはベスト4になる(予想) → ベスト16(結果)
まだ他にもありましたが、上記のように、予想が「大外れ」となったのでした。
しかし、普通は「ゴールドマン・サックス」「AI」「20万もの統計モデルを使い、100万回ものシミュレーションを行った」と聞けば、なんだか凄そうな気がするものです。
ところが、現実は「大外れ」となったのです。
このためか、今回のカタール大会(ワールドカップ)では、ゴールドマン・サックスは予想を出していないようです。
いずれにせよ、AIは決して完璧ではありません。
実際のところ、相場に目を向けましても、某機関のAIによるドル円相場予測は、年内「144円~158円」となっていましたが、このように予想した直後に、ドル円相場は「130円台」に突入しており、予想が外れました。
しかし、ここで投資家として真剣に考えた方がいいことがあります。
それは、このような、ある意味「不完全」と言っても過言ではないAIが、近年の相場を売買によって「主導」しているということです。
前述のゴールドマン・サックスは、2000年にニューヨーク本社の株式トレーダーが600人だったのに対し、2017年1月にはわずか2人に減少したと報じられていました。
トレーダーが、人間からAIに置き換わったのです。
これによって年間2.5億ドル(約350億円)の人件費削減に成功したとのことでした。
ところが、相場が、このような「不完全」なAIによる売買主導の相場になっていくにつれ、必然的に「訳の分からない値動き」が増えることになります。
AIは賢そうであって、ある意味「賢くない」からです。
AIの専門家で、NII(国立情報学研究所)のセンター長の新井氏も「AIが文章の意味を理解することは不可能に近い」と語っていますので、AIには人間のような「相場分析」は、できるはずがないのです。
では、そんなAIによる売買主導の相場に対して、私達投資家は、どう対処したらいいのでしょうか?
私は以下のように考えます。
・各種の予想に対しては、あくまで「参考程度」に留めておく
・自分で、きちんと分析して予想したとしても、忍耐強く取り組むことが重要
・いっその事、予想は止めて、できるだけ波(上昇・下落)に乗るように努める
上記のような対処方法が考えられますが、一言で言うと「前のめりになり過ぎない」スタンスで臨むことが大事だと思います。
そして予想といえば、先日NHKが【どうなる?来年の為替相場 25人の専門家が予測】と報じていましたが、それら専門家の予測では【1ドル=120円~150円】となっていました。
もちろん、あくまで「予測」ですから、実際には「1ドル=100円」を割るような円高や、反対に「1ドル=150円」を超えるような円安もあるかもしれません。
このような現状を踏まえた上で、引き続き慎重に取り組んでいきましょう。