【再び為替介入か 数分で4円前後の激しい動き】
先日、各種報道でこのように報じられたのですが、これは10月21日(金)と10月24日(月)の「ドル円相場」のことでした。
そんなドル円相場は、「4円」動くこと自体が、1週間の値動きとしても「稀」なことです。
さらに1か月の値動きとしても、今年の1月・2月は、4円も動いていません。
そういう意味で、数分で4円前後の値動きというのが、いかに激しい値動きなのか分かりますが、報道の通り、その「きっかけ」は為替介入でした。
そして、先週のコラムでお伝えしたように、現在の為替相場は「介入肝試し相場」などと言われており、神田財務官も「円買い原資は無限にある」と語りましたので、今後も「為替介入」の可能性を意識しておくべきだと思います。
また、先月も以下のような報道がありました。
【アングル:波乱の為替市場、トレーダーからは「まるでカジノ」】
一言で言うと、今の為替市場は「滅茶苦茶」ということです。
ランダム過ぎる値動き(「買いサイン」「売りサイン」を無視した)だったり、過度な変動も頻繁・・・ということです。
先日の報道にもありましたが、現在、世界の為替取引は1日平均7.5兆ドル(約1100兆円)もあり、「投機筋 対 投機筋」や「AI(人工知能) 対 AI(人工知能)」という構図もある中で、値動きが「滅茶苦茶」になっているのだと考えられます。
そのようなことを踏まえて、鈴木財務相は「私どもは投機筋と厳しく対峙している」と述べましたが、まさに市場は投機筋やAI(人工知能)によって攪乱(かくらん)されていると考えられます。
そのような中、米金融大手のモルガン・スタンレーは、「何かが壊れるのを警戒すべき時期があるとすれば、今がそうだろう」との見方を示しました。
すると、「何かが壊れる」に伴って相場で「大損」しないためには、防御が大事になります。
具体的には、【損益=ポジション量×値幅】ですから、常に「ポジション量」と「値幅」が適正になっているかどうかを考える必要があります。
また、冒頭で述べたように、為替介入に伴って、数分で4円前後の値動きもあり得るのが今の為替相場ですから、特にポジション量に気を配ることが大事だと思います。
このように、常に「防御」を固めながら臨まないと、まるでカジノのような相場では「退場」となってしまうでしょう。
ところで、モルガン・スタンレーの言う「何かが壊れる」ですが、世界の現状はどうなっているのでしょうか?
直近のニュースを基に、個人的に気になっていることを挙げてみます。
・「円」の「実質的な価値」を示す「実質実効レート」が、52年ぶりの低水準(過去最低水準)になっている。
・岸田内閣の支持率が26%となり、全年代で不支持率が支持率を上回った。
・米国で、2年国債の金利が30年国債の金利より高い「逆イールド」で、3カ月国債も10年国債の金利より高い「逆イールド」になっている。
(例えば、「今日借りて明日返す」といったケースを想定すると分かりやすいが、借りている期間が短いほど金利が低くなるのが普通で、逆転すること自体が異常なこと)
・米金融大手ゴールドマン・サックスは「米株が底を打つ条件は整っておらず、大幅な下落余地がある」と述べた。
・OPEC(石油輸出国機構)プラスが大幅減産を決定したことで、バイデン政権とOPECの盟主で元は親米であったサウジアラビアが激しく対立し、関係が悪化している。
・米中間選挙(11月8日投開票)を控え、バイデン大統領の与党・民主党に逆風が吹いている。
・かつて「ゆりかごから墓場まで」と言われた福祉国家の英国において、現在の激しい物価高が原因となり、英消費者団体が行った調査では、国内世帯の半数が「食事回数を減らしている」と答え、同じく半数が「健康的な食事をするのが以前より難しくなった」と回答し、80%近くが「経済的に苦しい」と答えた。
・欧州各地で「戦争をやめて国民の生活を救え!」と、EU、NATOに対する抗議デモが多発している。
・世界金融大手クレディ・スイスの「破綻」の噂が流れる中、取り付け騒動があり、1.8兆円超が流出した。
・外国人投資家が記録的ペースで中国株を売っている。
・中国の外務省(ロシアと連携する)が、在ウクライナ中国人に対して「非常事態に備え、速やかに国外への避難をするように」と異例の勧告を発令した。
さて、このように見ていきますと、まさにモルガン・スタンレーの言う「何かが壊れる」が、現実味を帯びてきます。
いつどこで何があってもおかしくありません。
そして、実際に「何かが壊れる」ことになれば、その際は株の暴落、ドルの暴落、円の暴騰・・・など、これまでとは「逆」に、つまり相場は「逆回転」することになるでしょう。
ただし、それまでの間は、前述の「まるでカジノのような相場」が続くと思います。
某機関のAIによるドル円相場予測では、年内「144円~158円」となっており、これが的中するかどうか分かりませんが、様々な値動きを想定しておくことが大事だと思います。
引き続き、頑張りましょう。