先日、「SMBC日興証券社員らの相場操縦疑惑で、東京地検特捜部が捜査に乗り出した」というニュースが報じられました。
そこで今回は、相場の「不正操作」に焦点を当て、色々と考察してみたいと思います。
まずは近年に報じられた、いくつかのニュースについて振り返ってみます。
【EU、HSBCなど4行に外為不正操作で3.4億ユーロの制裁金】
上記は、昨年末に報じられたニュースです。
欧州委員会が、外国為替市場における不正操作を理由としてHSBC、クレディ・スイス、バークレイズ、ナットウエスト(旧社名RBS)の4行に計3億4400万ユーロ(3億9000万ドル)の制裁金処分を科したというニュースです。
チャットルームを通じた「スターリング・ラッズ」と呼ばれるカルテルがあり、トレーダーらが重要な情報や取引方針をやり取りし、時には協力して相場を動かそうとする計画を練ったといいます。
またニュースによると、2013年以降、米欧の規制当局は総額で110億ドルを超える制裁金処分をいくつかの大手行に下してきたとのことです。
そして、1年前には以下のようなニュースもありました。
【為替不正操作で銀行トレーダーは200のチャットルーム利用も―原告側弁護士】
上記は、投資ファンドや公的年金基金などが、バークレイズやシティグループ、JPモルガン・チェースなど銀行7行を相手取りロンドンの裁判所に起こした訴訟のニュースです。
最大200のオンラインチャットルームが、為替の不正操作に使われたのではないかとのことです。
一方で、2018年の終わり頃には以下のようなニュースもありました。
【為替不正操作の米公判、監視恐れぬトレーダー言葉を証人が解読】
ニュースでは、「ザ・カルテル」と呼ばれた英国の為替トレーダー集団について触れています。
「ザ・カルテル」もオンラインチャットを使っていたのですが、オンラインチャットが監視されていると気づいてからも、秘密の言葉でやりとりを続け、為替相場を不正に操作するための共謀をやめなかったとのことです。
そして、トレーダーらはロンドンで為替市場の重要な指標が決まる前の時間帯に、自らが望む相場水準やポジションをチャットで議論し、価格誘導で示し合わせて注文を入れたり、仲間内の誰かの損失になりそうな場合は注文を控えたりしたとのことです。
さらに以下、詳細についての言及は控えますが、相場における「不正操作」のニュースを紹介します。
【EU、為替不正操作で三菱UFJなど5行に罰金 計10.7億ユーロ】
【中国当局、為替市場の不正操作 「厳しく取り締まる」】
【米SEC、市場操作の兆候調査 「ミーム株」急騰で】
【不正な株取引を巡ってテクノロジーがぶつかり合う中国】
【JPモルガン、制裁金最大の960億円 貴金属取引で不正】
【VIX指数に不正操作の疑い、米当局が調査開始】
【銀行間金利LIBORで不正操作 米欧、摘発拡大も 英バークレイズ会長は引責辞任】
【英ナットウエスト、米国債不正操作への関与認める 3500万ドル支払いへ】
【ビットコイン急騰、半分は不正操作 教授らが指摘】
さて上記からも分かると思いますが、私達投資家は「相場の不正操作は日常茶飯事である」と認識する必要があります。
そして、このようなことを踏まえた上での「対抗策」を考えますと、以下のようなことを「改めて」考える必要があります。
・「損切り=不正操作側の利益」の可能性がある
一般的に、大きなポジションで短期売買を行う場合、特に「損切り」の重要性が説かれるものですが、不正操作だけでなく、AI(人工知能)やHFT(超高速取引)が跋扈(ばっこ)している現実についても考えますと、いわゆる「損切貧乏」にならないように十分気を付ける必要があります。
一方で、小さなポジションで中長期の売買を行う場合、時間を味方につけて勝つことも可能ですが、忍耐強さが必要です。
そのような中、近年はコロナ禍でも株高になるなど、何かと「滅茶苦茶」が続いていますが、そうであるがゆえに、今後も更なる株高になる可能性や、一転して大暴落する可能性など、どちらの可能性についても考えておく必要があると思います。
短期・中期・長期の「トレンド」をチェックする「マルチタイムフレーム分析」を念頭に置いて、リスク管理を怠らずに取り組むことが重要でしょう。
ところで先週、米国ではメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が暴落し、1日としては過去最大となる「時価総額の急減」を記録し、その額なんと「約29兆円」でした。
このように「過去最大」という言葉も、近年は「頻繁に聞かれる」言葉になってきました。
くれぐれもリスク管理を怠らずに、慎重に取り組んでいきましょう。