相場の「上昇」や「下落」の理由に、ほとんど合理性がないと思われる展開が続いています。
個人的には「しっちゃかめっちゃか」という印象を抱いています。
要するに、滅茶苦茶だとしか考えられないような展開ということです。
では、なぜそのような展開になるのでしょうか?
それには間違いなく、様々な「強欲」による、相場への影響があると考えられるのです。
【米当局、元ドイツ銀の告発者に230億円報奨金】
上記は、ちょうど1か月前に日本経済新聞で報じられたニュースです。
米当局、CFTC(米商品先物取引委員会)が、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作問題に絡んで情報を提供したドイツ銀行の元従業員に、なんと「230億円」を支払ったというニュースです。
ところで一般の人々からすれば、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)と聞いても、ほとんどピンとこないと思います。
LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)とは簡単に言いますと、融資や社債の発行など多くの金融取引のベースになっている指標金利のことです。
世界の複数の主要行が提示する金利を基に算出する指標金利となっています。
しかし相場の世界においては、これが非常に重要で、かつてLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作問題は、世界で最も権威ある雑誌とされる『エコノミスト』で【史上最大の詐欺事件】と報じられたのです。
なぜ、史上最大の詐欺事件になるのかと言いますと、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が操作されると、株式、債券、為替、商品・・・と、あらゆる市場に大きな影響が出るからです。
しかも、それが「不正操作」で、その結果「歪められた相場」で損失を被った世界中の投資家達からすれば、たしかに「史上最大の詐欺事件」と言っても過言ではないでしょう。
では、なぜ、米当局の報奨金が「230億円」もの高額になるのでしょうか?
それは、日本経済新聞の記事でも説明されていましたが、CFTC(米商品先物取引委員会)が金融機関などから回収した罰金の1~3割を、有益な情報をもたらした内部告発者に支払う仕組みを設けているからです。
さらに「金融機関などから回収した罰金」ということからも分かるように、金融機関自体が罰金を科されるような行為(相場の不正操作)をしてきたということなのです。
これぞ、まさに「強欲」ではないでしょうか?
一方で、相場の不正操作ではないかもしれませんが、先週の水曜日、ブルームバーグで以下のようなニュースが報じられました。
【リビアン株急伸、時価総額でVW超える-EVマニア殺到】
リビアンとは、米アマゾンが出資している「電気自動車メーカー」です。
「第二のテスラ」とも言われ注目を集めていますが、リビアン自体は新興企業で、その電気自動車も、まだ「500台程度」しか売れていないそうです。
しかし、それがなんと、世界第2位の自動車メーカーであるVW(独フォルクスワーゲン)の時価総額を超えたのです。
このようなリビアン株の値動きが、はたして「合理的」な値動きと言えるでしょうか?
どう考えても「合理的」な値動きとは言えないでしょうし、投資家達による「強欲」こそが原因と言えるのではないでしょうか?
また他にも挙げればキリがないほどあるのですが、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作問題しかり、リビアン株の値動きしかり、私達投資家は、ありとあらゆる市場(相場)が「強欲」によって歪められていると認識する必要があると思います。
そして「強欲」といえば、皮肉なことに、「社用ジェット機を過去7週で7回も私的利用した」と報じられたことのある、米金融大手ゴールドマン・サックスのソロモンCEOが、先日以下のような発言をし、ニュースとなりました。
【ゴールドマンCEO、市場の強欲が恐怖を大きく上回っている】
ソロモンCEOは、「今のような状況は長くは続かない」と語ったそうです。
いずれにせよ、私達投資家は、ありとあらゆる市場(相場)が「強欲」によって歪められていると認識したうえで「戦略」を考える必要があります。
そして「歪められた相場」というのは、往々にして、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を無視するものです。
「上がり過ぎ」「下がり過ぎ」も常態化します。
このようなことを考えますと、先週のコラムでもお伝えしたように、今後の相場については、極端なケース(例:ドル円が200円~300円、ドル円が30円~50円)も想定しておいた方がよいでしょう。
「極端なケース」によって相場から退場となる事態を避けなければなりませんし、「極端なケース」でも利益を上げなければならないからです。
そのためにも、上昇や下落の「トレンド」及び「トレンドの転換」に神経を集中させる必要があります。
前述のソロモンCEOの発言のように、今のような状況が長くは続かないのであれば、トレンドの転換は近いということになりますし、それに備えておく必要もあります。
引き続き、「トレンド」及び「トレンドの転換」を意識して、慎重に取り組んでいきましょう。