近年、世界は「富裕層と貧困層の二極化が進んでいる」と言われています。
また昨年からのコロナ禍で、さらに二極化が進んでいると言われています。
そのような中、先日、象徴的なニュースが報じられました。
【“人類未到のお金持ち”イーロン・マスク、個人資産がトヨタ自動車の時価総額上回る】
上記のニュースによると、現在、世界一のお金持ちはイーロン・マスク氏で3152億ドル、日本円にして35兆9279億円だそうです。
一方で、日本トップの時価総額を誇るトヨタ自動車が2893億ドル、日本円にして32兆9757億円となっています。
つまり、イーロン・マスク氏という、たった1人の起業家が、トヨタ自動車(連結社員数36万人)を約3兆円も上回る資産を築き上げたということなのです。
この背景には、イーロン・マスク氏が率いるEV(電気自動車)メーカー、米テスラ株の驚異的な上昇があります。
そして先週の4日(木)、テスラ株は1243.49ドルを付けたのですが、年初来の上昇率は約75%となっています。
ブルームバーグのまとめによれば、アナリストの目標株価は平均764ドルだったそうで、テスラ株の上昇は、アナリストの予想をも大幅に上回ったということなのです。
ちなみに昨年の話になりますが、テスラの生産台数は30万で、トヨタ自動車の生産台数は1000万と報じられていました。
つまり、両者の生産台数には圧倒的な「差」があるわけです。
ところが、そんなテスラの時価総額は、現在1兆ドルを突破しており、トヨタ自動車の時価総額を3倍以上も上回っているのです。
はたして、テスラの株価は本当に「妥当」と言えるのでしょうか?
たしかにEV(電気自動車)は、世界的な脱炭素の流れから次世代車として注目を浴びています。
しかし、トヨタ自動車の豊田章男社長が「EV(電気自動車)は、電力供給や生産過程で二酸化炭素が排出される」と述べているように、たとえ「世界的な脱炭素の流れ」とはいえ、電力供給や生産過程で排出される二酸化炭素も無視してはならないでしょう。
そのような中、「Well to Wheel」といって、自動車からの二酸化炭素排出量を、石油を採掘するところから車輪を回すところまで、すべての部分で見ていこうという考え方があります。
この考え方に基づき、マツダが論文を発表しているのですが、それによると、EV(電気自動車)の二酸化炭素排出量は、11万1511km(地球約3周)も走らないことにはガソリン車の二酸化炭素排出量よりも少なくならないそうです。
したがって、このような細部についてまで考えてみますと、やはりテスラの株価は「妥当」とは言えないでしょう。。
むしろ、イーロン・マスク氏の個人資産がトヨタ自動車の時価総額を上回るということ自体、極めて「異常」と言えるのではないでしょうか?
そして「異常」と言えば、そんなテスラ株の驚異的な上昇を実現してしまう、今の米国株式市場全体も「異常」と言えるのではないでしょうか?
世界3大投資家の一人であるウォーレン・バフェット氏が用いている、株の割高、割安を判断する「バフェット指数」は、「100」を超えると警戒水準とされ、リーマン・ショック時でさえ「116」であったのにもかかわらず、現在は「210」を付けています。
まさに「前代未聞」で、その影響は、為替市場等、他の市場にも及んでいると考えられます。
そのような中、先週金曜日、ロイターは「新型コロナウイルスの感染者は世界全体で2億4856万人を超え、死者は526万915人となった」と報じました。
ところが、同じ先週金曜日、米国株は、またもや史上最高値を更新しました。
要するに、コロナ禍でも株価は異常に高く、前述の「富裕層と貧困層が二極化している」ということも含めて、ある意味、社会も相場も「極めて歪(いびつ)になっている」と言えるでしょう。
では、相場については、「歪(いびつ)な相場に、どう対応していくか?」を考えるべきです。
近年、多くの相場には「特徴」があります。
・「上がったり下がったり」しながらも、しつこく上がる
・「上がったり下がったり」しながらも、しつこく下がる
上記のような「特徴」があり、株は、しつこく上がっています。
一方で、為替については、通貨によってバラバラですが、しつこく上がっているもの、しつこく下がっているものがあります。
今後の相場ですが、以下の3点がポイントになるでしょう。
・「しつこく上がる」「しつこく下がる」が継続する可能性
・「しつこく上がる」⇒「しつこく下がる」に転換する可能性
・「しつこく下がる」⇒「しつこく上がる」に転換する可能性
上記のような「可能性」があるわけで、これに対応しようと思えば、第一に、上昇傾向や下落傾向などの「トレンド」に敏感でなければならないでしょう。
またトレンドの「転換」についても、出遅れることのないように、直近24時間のトレンドに気を配る等、やはり「トレンド」に敏感でなければならないでしょう。
つまり「トレンド」を意識することこそが、今後の相場の「鍵」と言えそうです。
引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。