衆議院選挙の結果が出ました。
ところで今回の衆議院選挙に際して、ジャーナリストの田原総一朗氏が「安倍イエスマンの岸田新総裁。衆院選の苦戦は必至だ」と述べていました。
一方で、自民党は内部向けの報告書を作成しており、本来は公表されるものではありませんでしたが、一部のシンクタンクや独立系メディアが事前に内容をリークしていました。
それによると、自民党は276から約20議席程度減らし、260議席前後になるとの予測でした。
そのような中で、衆議院選挙の結果が出ました。
ちなみに、シナリオ別に考える相場の反応としては、当初、専門家達の間では以下のようなことが言われていました。
(※衆議院解散時の議席数は、自民276、公明29、与党305)
・与党が議席数3分の2(310議席)確保なら株高・円安になる。
・与党の議席数の減少につれ株安・円高に振れやすくなる。
結果は、自民党の内部向け報告書の予測通りで、今回、与党の議席数が減少しましたので(自民261、公明32、与党293)、今後は株安・円高の展開になるのでしょうか?
今後の展開には要注目ですが、本日の株式市場については、大幅高となっています。
さて、今から1か月程前ですが、2013年にノーベル経済学賞を受賞し、米国内の景気指標としても重視される「S&Pケース・シラー住宅価格指数」を開発した、イェール大学のロバート・シラー教授が以下のような発言をしました。
・投資家は明らかに「慎重になるべき時」だ。
・株式・債券・不動産は「すべてが極度に高い」と断じる。
まさにシラー教授の言う通りだと思います。
今後、たとえ更なる株高・円安の展開になっても、投資家は明らかに「慎重になるべき時」だと思います。
そもそも、新型コロナウイルスの影響で、世界経済は大打撃を受けています。
現実に、今の世界は飛行機や新幹線にあまり人々が乗らなくなっていますし、工場やお店もよく閉まっています。
そのような中、各方面からも、景気の減速と物価の上昇が同時に進む「スタグフレーション」の前兆が度々指摘されています。
一方で、日経新聞が【個人の投資熱に危うさ 日米中、借金による株買い拡大】と報じたのが、今から約4か月前のことでした。
「借金による株買い」とは株式の信用買いのことですが、日米中の個人の「借金での投資残高」は過去最大となっており、総額125兆円にも達しているとのことでした。
また同時に、専門家が「相場下落の増幅を警告している」とのことでもありましたが、この4か月間、特に相場は崩れることなく現在に至っています。
一方で、為替相場については、ヘッジファンドなどの【投機マネーが円安に導いている】とのことでした。
したがって、このような全体像を踏まえて考えますと、たとえ相場が崩れていなくても、今後も要警戒に変わりないでしょうし、株安・円高の展開については、常に念頭に置いておくべきではないでしょうか。
そのような中、今後は欧州情勢にも要警戒です。
【ポーランド首相「EUの過度な “中央集権化”に反対」】
【「頭に銃突き付けられている」 ポーランド首相、EUに不満】
【「法の支配」めぐり対立激化 EU資金停止も視野―欧州委とポーランド】
上記はいずれも最近のニュースですが、ポーランドがEUに「宣戦布告」とも取れる態度を示しています。
そして、ブレグジット(Brexit、イギリスのEU離脱)に続き、ポレグジット(Polexit、ポーランドのEU離脱)なる言葉も出てきています。
ちなみに、ブレグジット(Brexit、イギリスのEU離脱)が決まった2016年6月24日は、わずか1日で以下のように動きました。
ドル円: 106.79円 → 98.88円 高値と安値の差「7.91円」
ユーロ円: 121.95円 → 109.52円 高値と安値の差「12.43円」
ポンド円: 160.06円 → 133.16円 高値と安値の差「26.90円」
上記のように、通常では考えられないような「値動き」があったわけです。
したがって、今後はポレグジット(Polexit、ポーランドのEU離脱)の可能性にも要警戒で臨むべきです。
このように、全体像を踏まえて考えますと、懸念材料はいくらでもあるのが今の世界です。
株高・円安など、近年の相場の「トレンド」には注意を払うべきですが、同時に「いつ反転してもおかしくない」という認識も維持しておくべきです。
引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。