最近、市場では「インフレ」の話題が尽きません。
昨年あたりから、特に頻繁に話題に上るようになってきました。
一般的には物価の上昇のことを「インフレ」と言いますが、厳密には「通貨の価値が下がること」です。
つまり、通貨の価値が下がった結果として、相対的に物価が高くなるのです。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各国の中央銀行が進める量的緩和(マネーのジャブジャブ、マネーのバラまき)は、通貨の価値を下落させ、相対的に物価を高くすると考えられます。
またそれに加え、他にも、必要物資が思ったように供給されず、品不足から物価が上昇するという形の「インフレ」もあります。
そんな「インフレ」ですが、近年は米国で特に顕著になっています。
報道によると、米国での「インフレ」は、以下のような上昇となっています。(対前年比)
・ガソリン ・・・ 42.7%アップ
・中古車 ・・・ 31.9%アップ
・航空運賃 ・・・ 6.7%アップ
・家庭用食品・・・ 3.0%アップ
ちなみに米国の賃貸住宅の中央値も、今年2月よりも7月の方が11%も高くなっているそうです。
そして他にも、車のコンピューター部品からホリデーシーズンの買い物リストに入っているギフトやおもちゃまで、あらゆる製品の価格が上昇しているそうです。
そんな米国では、過去30年で、最も高水準の「インフレ」が進行しているそうです。
ところが、FRB(米連邦準備理事会)は「インフレは一時的だ」との説明を繰り返しています。
はたして、本当にFRB(米連邦準備理事会)の見解は正しいのでしょうか?
ここで、FRB(米連邦準備理事会)と真逆の見解を示しているのが、米金融大手のバンク・オブ・アメリカです。
バンク・オブ・アメリカは、米国がこれから「超インフレ」になって、それが最長で4年間続き、FRB(米連邦準備理事会)は物価に対する統制力を失うと予測しています。
ちなみに、「超インフレ」とは、年率10%以上の「インフレ」のことです。
ここでの最大の問題点は、「超インフレ」が続くと、特に貧困層の生活苦がひどくなることです。
なぜなら、最低限の生活に必要な食料や日用品の物価高騰は、特に貧困層を直撃するからです。
では、バンク・オブ・アメリカは、何を根拠に「インフレ」を主張しているのでしょうか?
実はバンク・オブ・アメリカによると、S&P500企業(米国の代表的な500社)の決算報告会において、今年は前年に比べて、企業が「インフレ」について言及する数が、なんと「800倍」にもなっているとのことです。
だからこそ、「インフレ」を主張しているわけです。
そしてこれには、さすがのウォール街も震撼したようです。
なぜなら、「インフレ」を抑制するのはFRB(米連邦準備理事会)の役割であり、「インフレ」を抑制するためには、量的緩和(マネーのジャブジャブ、マネーのバラまき)という、現在の金融政策の変更を余儀なくされることになるからです。
そしてそれは、バブル崩壊の「引き金」になり得るからです。
実際、日々の報道においても、以下のような報道が続いています。
【債券と株式の同時売り、インフレ持続で頻発するリスク-JPモルガン】
【ムニューシン前米財務長官、インフレリスクや米10年債3.5%を警戒】
【ECB、より大幅な資産購入縮小を協議 インフレ懸念強調=議事要旨】
【英企業、1年後の予想インフレ率が上昇=中銀調査】
【世界の食料インフレ深刻 指数10年ぶり水準】
上記のように、「インフレ」は米国だけでなく、欧州や英国も含め、世界的な問題となっています。
しかし日本では、未だに「デフレ体質が根強い」等と言われ、まだ「インフレ」になっていないのでピンとこないかもしれませんが、世界では「インフレ」が深刻な問題になっているのです。
そして、前述のように、【インフレ ⇒ 金融政策の変更 ⇒ バブル崩壊】という流れが警戒されているのです。
そのような中、「インフレ」以上に警戒されるのが「スタグフレーション」です。
つまり、不景気での物価高です。
冷静に考えれば、確かにそうでしょう。
世界は昨年から新型コロナウイルスが猛威を振るっています。
どう考えても、世界経済にもたらすのは「好景気」ではなく、「不景気」になるでしょう。
したがって、今後は「スタグフレーション」も念頭に置いておくべきなのです。
ちなみに歴史的には、「スタグフレーション」の状況下で有効なのは、金(Gold)や銀(Silver)へ投資することだと言われています。
さてこのように、今、世界では「インフレ」や「スタグフレーション」が警戒されています。
最終的には、現在の「株式バブル」は崩壊するでしょうし、そのタイミングで、為替も「ドル高」や「円高」へ大幅修正されると思います。
金(Gold)や銀(Silver)への投資も功を奏することになると思います。
このような全体像を踏まえ、引き続き慎重に取り組んでいきましょう。