先々週、先週と続き、市場では引き続き中国恒大集団(不動産開発会社)に注目が集まっています。
しかし、その市場では中国恒大集団を巡る懸念はやや後退したとの見方が強まり、先週末は日経平均、NYダウともに大幅上昇(木曜日大幅上昇、金曜日小幅上昇)となりました。
ところが、本当にこの問題を「楽観視」していいのかどうか、私達投資家はきちんと考える必要があります。
ここで改めて、中国恒大集団に関する情報を以下に記します。
・創業者の許家印(シュー・ジアイン)氏は、中国3位の大富豪で、世界でも22位の大富豪である
・フォーチュン・グローバル500(米経済誌フォーチュンが選定した世界500大企業)で122位の大企業である
・単なる不動産開発会社ではなく、不動産、不動産管理、中古不動産・中古車、EV(電気自動車)、インターネット番組、テーマパーク、ヘルスケア、ミネラルウォーター、プロサッカー(サッカー広州FC)と、幅広い経営を行うコングロマリット(複合企業体)である
さて、上記のように、中国恒大集団は巨大企業であり、コングロマリット(複合企業体)であるのですが、放漫経営も重なって、負債総額は33兆円まで膨張したと言われています。
その結果、今回の「破綻危機」騒動へと至っています。
ここで、今回押さえておくべきキーワードが「オンショア(国内)」と「オフショア(海外)」の2つです。
どういうことかと言いますと、中国恒大集団の「破綻処理」は、「オンショア(国内)」と「オフショア(海外)」に分離して、「オンショア(国内)」は政府系企業の下で再編を目指すことで国内の金融システムを保ち、「オフショア(海外)」は最終的には破産させるというスキームが噂されているのです。
つまり、一言で言うと「海外投資家の切り捨て」です。
実際、先週末は以下のような報道がありました。
【中国恒大の一部オフショア債保有者、米国時間23日期限までに利払い受けず=関係筋】
【中国恒大、ドル建て債利払いで沈黙続ける-投資家の不安くすぶる】
これは、危険な兆候と考えられるのではないでしょうか?
デフォルト宣言(債務不履行宣言)の可能性があると解釈できるからです。
また、以下のような報道も気になります。
【中国当局、中国恒大の破綻の可能性に備えるよう地方政府に指示-報道】
【中国恒大集団のEV部門、資金繰りショートを警告 当局は沈黙】
【中国恒大の第2位株主、全保有株の売却を計画】
【中国「恒大集団危機」取引先8000社に走る激震】
やはり、これらの報道からも「危険な兆候」が伝わります。
さらに、先々週のコラムでもお伝えしたように、世界3大投資家の一人であるジョージ・ソロス氏はFT(フィナンシャル・タイムズ)に寄稿文を載せ、「中国株は暴落するだろう」という警鐘を鳴らしています。
そして、習近平国家主席も【灰色のサイとブラックスワンに備えよ】と党に指示を出したことが、今年に入ってからのニュースで報じられています。
ちなみに、「灰色のサイ」とは、大問題に発展する可能性が高いにもかかわらず軽視されているリスクのことで、「ブラックスワン」とは、全く予想外の出来事が発生すると、確率論や経験、常識が通用しないため、社会や市場に極めて大きな衝撃を与えるというものです。
このような様々なことを考慮しますと、中国恒大集団を巡る問題を「楽観視」している投資家達は、いずれ痛い目にあうかもしれないと思います。
「リーマン・ショック再来」とのリスクも指摘されているからです。
一方で、未だ「史上最高値圏」にあるのが米国株です。
しかし本当に、米国株は「実体経済」を反映した上での「史上最高値圏」なのでしょうか?
ちなみに、米国では「治安悪化」や「犯罪の増加」を伝える報道が止みません。
CNNの世論調査によれば、アメリカの成人の69%が「この国では事態が非常に悪い方向に進んでいる」と回答しているそうです。
したがって、米国株が本当に「実体経済」を反映した上での「史上最高値圏」にあるのであれば、このような回答にもならないでしょう。
やはり、今の相場は歪(いびつ)であると認識しておくことが、投資家としての正しい「あり方」だと思います。
前述のジョージ・ソロス氏は「市場は常に間違っている」との発言でも有名ですが、「間違った相場はいずれ修正されてくるので、修正される方向で勝負をすることで、利益を上げることができる」と述べていますので、現状の相場についてもそう捉えておくべきでしょう。
相場は、いつかどこかで株の大暴落、円高・ドル高への大幅修正が起こることが必至であると認識し、あくまでも慎重に取り組むべきだと思います。
引き続き頑張りましょう。