数字以外のことも観察すべき

 

 

 

東京オリンピックは、メダルラッシュとなりました。

メダル総数は2016年のリオデジャネイロオリンピックを上回り、過去最多の58個となりました。

内訳は金27、銀14、銅17個となっています。

 

 

 

さて、アノマリー(明確に根拠はないけれどもよく当たると言われる経験則)としては、(日本の)総獲得メダル数が【30個】を超すと日経平均株価が上昇するのが、これまでの「パターン」です。

 

 

 

そして日経平均株価が上昇するのであれば、為替は「円安」「ドル安」へと推移する傾向にあります。

 

 

 

一方で現在は、世界中が「コロナ感染拡大」という非常事態にあります。

そのような中、はたして今回も「アノマリー」通りに相場は動くのでしょうか?

 

 

 

個人的には、相場については、やはり「上がる可能性」も「下がる可能性」も、両方の可能性を意識して慎重に取り組むべきだと思います。

 

 

 

そして、このような「考え方」からブレないためにも、過去にあった以下のような「出来事」について知っておくことが役に立つと思います。

 

 

 

 

 

2007年、米金融大手ゴールドマン・サックスの運用するファンドが「わずか1週間で」25%の損失を出した。当時のCFO(最高財務責任者)は、損失の原因を「数日間連続で、25標準偏差の動きが続いたからだ」と説明した。ちなみに「25標準偏差の動き」というのは、身長9メートルの人を探したり、宝くじ1等に連続21回当たったりするようなことである。つまり、「あり得ない」ことが現実になったということである。

 

 

 

2008年、米ユナイテッド航空の「破産申請」が報じられた。ユナイッテッド航空の株価は暴落し、その日に「取引停止」となった。ところが、これが、なんと「誤報」による下落だということが後から分かった。

 

 

 

2013年、AP通信のツイッターアカウントから【速報 ホワイトハウスで2回の爆発 オバマ大統領負傷】という投稿があった。すると、瞬時に株価が暴落し、その後回復したが、このツイートはシリア反政府組織「自由シリア軍」が流した「ニセ情報」だったことが後から分かった。

 

 

 

2015年、中国の太陽光パネル製造大手「漢能集団」の株価が【よく分からない理由で】暴落し、李河君会長は【わずか1秒足らずで】140億ドル(約15400億円)の資産を失った。

 

 

 

 

 

さて、上記はあくまで「一例」ですが、相場の世界では、しばしば「訳の分からないこと」が起こるものです。

 

 

 

しかも、今はコロナ禍です。

それこそ「訳の分からない」という観点で考えますと、今は、かつてないほど「訳の分からない」時代になっているのではないでしょうか。

 

 

 

したがって、上記のようなことを「例外」とは考えずに、今後も「あるかもしれないこと」として意識しておくことが大事だと思います。

 

 

 

そのような中、先週の米雇用統計は、予想を上回る「良い数字」が発表されました。

その結果、NYダウは、またもや「史上最高値更新」となりました。

 

 

 

しかし私達投資家は、本当に「米国は好調だ!」と、真に受けていいのでしょうか?

 

 

 

故ハンス・ロスリング(医師、世界保健機関でアドバイザーを務めた)の著書で、100万部突破の大ベストセラーで、『ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(日経BP)では、【数字だけがすべてではない】として、以下のような話が紹介されています。

 

 

 

 

 

1999年から2004年までモザンビークの首相を務めたパスコアル・モクンビは、モザンビークが急激な経済発展を遂げているとわたしに教えてくれた。どうしてそう断言できるのですかと尋ねてみた。モザンビークの経済統計はあまりあてにならなかったからだ。ひとりあたりのGDPがわかるんだろうか?

「もちろん、数字は見ているよ」と首相は言う。「でも、数字が間違っていることもある。だから毎年メーデーのお祭りをしっかりと観察することにしたのさ。モザンビーク最大のお祭りだからね。市民の足元を見て、どんな靴を履いているかを観察するんだ。裸足か、ボロ靴か、それともいい靴を履いているか。それで前の年と比べてみる」

「国中を回るときにも、建築現場を見る。新しい土台に雑草が生えていたら、よくないしるしだ。どんどんレンガが積み上がっていたら、カネを投資に回す余裕があるとわかる」

賢い首相は数字も見るけれど、それ以外のことも観察している。

この世の人生のすべての機微を数字に表すことなんて絶対にできない。

数字がなければ、世界は理解できない。でも、数字だけでは世界はわからない。

 

 

 

 

 

さて、上記の話の中で「モザンビークの経済統計はあまりあてにならない」とありますが、個人的には「米国の経済統計もあまりあてにならない」と思っています。

 

 

 

なぜなら、米国の各種経済統計は「国家ぐるみの粉飾である」と指摘する専門家達が少なからずいるからです。

 

 

 

実際に、先週は、米雇用統計が予想を上回る「良い数字」が発表されましたが、その同日に【米国の市民権を放棄する裕福な米国人の数が過去最高】という報道もありましたし、以前から、その他多くの報道からも、以下のような「米国の現状」が伝えられているからです。

 

 

 

 

 

・国民の分断と相互の憎しみが激しく、暴力事件が激増している。

 

 

 

・米国の将来に希望を持っている人々は、むしろ少数派ではないか?

 

 

 

・殺人事件、銃撃事件、車上荒らし等が激増している。

 

 

 

 

 

私達投資家は、前述のモザンビークの首相のように、数字以外のことも観察する必要があるでしょう。

つまり、米国の株高をはじめ、相場全般についても、数字以外のことが「きっかけ」となって、急変する可能性があることを十分に意識しておくべきだと思います。

 

 

 

 

このような、数字以外のことも含めた全体像をしっかりと意識した上で、相場には引き続き「慎重に」取り組んでいきましょう。