今回は「相場における大事な考え方」をテーマに考察します。
ところで、江戸時代まで遡りますと、有名な相場師で、本間宗久(ほんまそうきゅう)という人がいました。
本間宗久氏は大阪堂島の米相場で巨額の財をなし、現在の貨幣価値にすると1兆円を超えるお金を儲けたといいます。
「相場の神様」とも言われ、その活躍ぶりは「本間さまには及びもないが、せめてなりたや殿様に」といった唄が流行るほどであったそうです。
ちなみに、本間宗久氏の出身地が山形県の酒田市であったことから、「酒田罫線法」と名付けられた有名な「相場の分析手法」がありますが、この手法は「今でも使える」ということで、外国人投資家達の中でさえも、酒田罫線法を勉強している人達がいるといいます。
私も、しばしば他の「サイン(分析手法)」と合わせて酒田罫線法もチェックする、といったような使い方をしています。
さて、そんな本間宗久氏の有名な発言が以下のものです。
【みんなが弱気のときは、価格が上がる理由を探せ。みんなが強気のときは、価格が下がる理由を探せ】
この、本間宗久氏と同じような発言をしているのが、著名投資家のウォーレン・バフェット氏です。
ちなみに、本間宗久氏も大富豪でしたが、ウォーレン・バフェット氏も世界長者番付で一位になったことのある大富豪です。
そんなウォーレン・バフェット氏の有名な発言が以下のものです。
【私の買いのルールは単純で、みんなが強欲になっているときは恐れ、みんなが恐れているときは強欲になるというものです】
先日のコラムでも言及しましたが、ウォーレン・バフェット氏が用いている、株の割高、割安を判断する「バフェット指数」というものがあります。
「100」を超えると警戒水準とされ、リーマン・ショック時でさえ「116」であったのにもかかわらず、ここ最近は【200を超えた状態】が維持されています。
本間宗久氏は【みんなが強気のときは、価格が下がる理由を探せ】と言っていますし、ウォーレン・バフェット氏も【みんなが強欲になっているときは恐れ】と言っているわけですから、現在の相場については、警戒するに越したことはないと言えるでしょう。
そのような中、有名な書籍で、『世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち』(文藝春秋)という書籍があります。
これは『マネー・ショート 華麗なる大逆転』というタイトルで、映画化もされています。
そして、この書籍で取り上げられて有名になった投資家が、マイケル・バーリ氏です。
マイケル・バーリ氏は、いわゆるサブプライム・ショック(2007年から2008年)において、徹底的にデータを分析し、サブプライム市場が暴落すると正しく結論づけた結果、大金を稼いだことで知られています。
そんなマイケル・バーリ氏が、最近以下のような発言をして注目を集めました。
【今のアメリカの経済状況は、史上最大のバブルだ】
【2021年中にバブルが弾ける】
ちなみに、【2021年中にバブルが弾ける】については、全く同じことを、世界3大投資家の一人であるジム・ロジャーズ氏も語っています。
すると、ここまでの話を踏まえますと、総合して以下のようなことが言えるでしょう。
【今は「買う」にしても、少額で、慎重に】
【暴落してからはじめて「強気」で買うべきだ】
一言で言うと、現在の相場は「警戒するに越したことはない」わけです。
他にも、アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授も警鐘を鳴らしていますし、世界有数の金融グループ「アリアンツ」で経済顧問をしているモハメド・エラリアン氏も警鐘を鳴らしています。
そして、他にも多くの専門家達も警鐘を鳴らしています。
さらに、そもそもの話になりますが、コロナ禍で、世界中で感染拡大が続いており、これを無視して「株高バブル」となるのは、どう考えても自然の摂理に反しています。
今回は「相場における大事な考え方」をテーマにしましたが、今の株高については「本当に強気になっていいのか?」と自問すべきだと思います。
その上で、さらなる株高が否定されるのであれば、これまで株高に「歩調を合わせてきた」為替相場(円安・ドル安)も否定されてしかるべきです。
すると、今後待っているのは「急激な円高」と「急激なドル高」になるでしょう。
しかし、前述のウォーレン・バフェット氏も「明日、株価に何が起こるか分かりません」と言っているように、肝心の「大暴落のタイミング」は誰にも分かりません。
それこそ「神のみぞ知る」です。
それでも「備える」ことはできます。
大暴落が起こるまでは慎重に、大暴落が起こってはじめて(徐々に)強気に転換する、といった姿勢で取り組むのが良いと思います。
特に8月は、相場が荒れることが多いと知られています。
2000年代に入ってからも、2007年、2008年、2011年、2015年、2019年は、様々な経済的・軍事的事件があったことから、8月の相場が「荒れ相場」となりました。
くれぐれも慎重に取り組んでいきましょう。