為替市場は、「細かいトレードが正解」というような値動きが続いています。
長らく同じような価格帯を「行ったり来たり」しているからです。
そして当面も「細かいトレードが正解」となる可能性がありますが、昨今の市場は「大暴落相場」や「大荒れ相場」を引き起こしかねない「爆弾」を抱えていると認識すべきです。
そんな「爆弾」について、今回は考えてみたいと思います。
以下に最近の「気になるニュース」を挙げてみます。
【米バフェット指数200%超 極まる割高化に懸念も】
【米住宅価格「先例のない上昇」4月、過去最高の15%】
【個人の投資熱に危うさ 日米中、借金による株買い拡大】
【SPACの上場、米国で急減速 当局が監視強化】
上記はいずれも、日本経済新聞が報じていたニュースです。
バフェット指数とは、これまでのコラムでも何度か言及しましたが、世界3大投資家の一人であるウォーレン・バフェット氏が用いている、株の割高、割安を判断する指数のことです。
「100」を超えると警戒水準とされ、リーマン・ショック時でさえ「116」であったのにもかかわらず、記事では【すでに218%にも達している】と報じられています。
まさに【異常なこと、この上ない】といった感じなのですが、もう少し詳しくみていきたいと思います。
以下、日本の上場企業に関するデータです。
・東証一部上場企業 2192社
・東証二部上場企業 474社
・マザーズ・JASDAQ等 1122社
・上場企業数合計 3788社
・日本の証券市場の時価総額 742兆8275億円
上記を踏まえた上で、米国の株式市場について考えてみます。
なんと、米国のハイテク株の代表格であるGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)5社の時価総額は、9兆ドル(約990兆円)を超えているのです。
つまり、日本の証券市場全体を上回っているということです。
GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)が巨大企業であるのは事実ですが、わずか5社で日本の上場企業3788社の時価総額合計を上回るというのは、理解不能なほど「狂っている」と思います。
そのような中、米住宅価格は「先例のない上昇」となっています。
そして現在の異常な株高の背景には、日米中と、個人の「借金による株買い拡大」があるという構図なのです。
報道によると、日米中の個人の「借金での投資残高」は過去最大となっており、総額125兆円にも達しているとのことです。
「借金による株買い」とは株式の信用買いのことですが、いったん株式市場が暴落すれば、現物株として保有している以上に悲惨な状況になりかねないということです。
そしてSPACです。
SPACとは特別買収目的会社のことで、現在「空箱上場」といって、企業買収のみを目的とした「空箱」の上場が特に問題視されています。
SPAC(特別買収目的会社)が資金を集め、問題のある企業でも「上場させる」ことを可能としているからです。
そんな問題のある企業といえば、ソフトバンクグループが出資する米シェアオフィス大手「ウィーワーク」の名前がよく挙がっています。
なぜなら、ウィーワークは昨年3480億円もの損失を出した会社だからです。
それが「空箱上場」によって、近く上場すると発表されているのです。
したがって、さすがに「こんなデタラメを許しておいていいのか?」と、多くの専門家も声をあげていたところ、米当局が腰を上げて、監視を強化することになったというわけです。
いずれにせよ、このような全体像から見えてくるのは、昨今の市場は「大暴落相場」や「大荒れ相場」を引き起こしかねない「爆弾」がいくつもあるということです。
そして忘れてはならないのは、今はコロナ禍だということです。
世界中で、新型コロナウイルスの感染力の強い「デルタ株」の感染が広がっているかと思えば、今度は「デルタ株」を超える「ラムダ株」といったものまで出てきています。
今後も死者が増えていくでしょうし、世界経済にも明らかに「マイナス」です。
ですので、このような状況下で株価の上昇が止まらないのは、どう考えても「自然の摂理」に反しています。
「こんな愚かなことが、いつまで続くのか?」と考えなければなりません。
株価は「買うから上がる」「上がるから買う」が繰り返された結果としての今なのでしょうが、すでにロシアンルーレットのような相場になっていると認識すべきです。
したがって、トレードの際は、ポジション量に十分留意する必要があります。
引き続き頑張っていきましょう。