一昔前に比べると、為替市場の値動きが非常に小さくなっています。
相場ですので、もちろん「上がったり下がったり」はしますが、同じような価格帯を「行ったり来たり」しているような印象です。
したがって、値動きを分析する、情報を提供することを仕事とする「外為アナリスト」が、近年の為替市場が膠着しているため、仕事がなくて干上がっている、といったような話も聞きます。
また、人づてに聞いた話でも、欧州系某投資銀行(世界最大規模の投資銀行の1つ)のアナリストが「最近の為替市場は訳が分からなさすぎる」と語っていたといいます。
それこそ、為替市場だけではありませんが、相場は世界中の金融機関やヘッジファンド等の機関投資家達、そして個人投資家達が参加していますし、近年はAI(人工知能)も台頭してきていますので、結果として「訳が分からない」値動きになるのかもしれません。
さらに、しばしばニュースにもなっていますが、いつまでたっても無くならない「価格の不正操作」問題もあるため、余計に「訳が分からない」値動きになるのかもしれません。
それに加えて、近年は新型コロナウイルス問題まであります。
新型コロナウイルスは、感染が収まったかと思えば変異株が登場し、再度感染が広がるケースも多々あります。
要するに、不透明要因が多いのが特徴なのです。
このように、いくつもの要因が複雑に絡まって、今の相場、今の為替市場は形成されているわけです。
では、このような相場に対して、どのように勝算を見出したらよいのでしょうか?
先週、日経新聞が興味深いニュースを報じていました。
【異次元緩和下で最大の円買い 逆張り個人投資家の勝算】
上記のニュースを簡単に解説しますと、当面の為替相場は「行ったり来たり」を繰り返すと予想するミセス・ワタナベ(個人のFX投資家、語源は日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家)が、円安にブレーキをかけ、円高で利益を狙っているという話です。
たしかに、そのような見方は間違っていないと私も思います。
したがって、当面は「上がったら売る、下がったら買う」を徹底することで、勝算を見出すことができると思います。
ただし、注意点があります。
それは「値動きが非常に小さいのなら、ポジション量を大きくして利益を狙おう」というスタンスで取り組みますと、万が一の際には「大打撃」になりかねないということです。
広く知られるブレグジット(イギリスのEU離脱)が決まった2016年6月24日は、わずか1日で以下のように動きました。
ドル円: 106.79円 → 98.88円 高値と安値の差「7.91円」
ユーロ円: 121.95円 → 109.52円 高値と安値の差「12.43円」
ポンド円: 160.06円 → 133.16円 高値と安値の差「26.90円」
また、2015年1月15日の「スイスフラン・ショック」も有名ですが、この時は「1ユーロ=1.2スイスフラン」⇒「1ユーロ=0.8517スイスフラン」となりました。
これは、ドル円に例えると「1ドル=120円」⇒「1ドル=85.17円」に相当する値動きですから、わずか1日の値動きとして「尋常でない」ことが分かると思います。
このような激しい、尋常でない値動きの時は、仮にストップ(損切り)を設定していても、値動き自体が「瞬間移動」のように動きますから、ポジション量が大きい場合は、思わぬ「大打撃」になりかねないのです。
したがって、いつだってポジション量に留意することが重要です。
そのような中、最近報じられたニュースで、気になるニュースがあります。
【「ブラック・スワン」の著者、住宅価格は最大45%下落も】
上記は、2008年の金融危機(リーマン・ショック)を予言した「ブラック・スワン」の著者の警鐘です。
当時の著者の予言は見事に当たったわけで、今回も著者の予言するように、住宅価格が最大45%も下落となれば、株式市場も為替市場も「大荒れ」となるのは必至でしょう。
しかも、その後サマーズ元米財務長官までが、【米住宅急騰は「恐ろしい」ことだ】と警鐘を鳴らしています。
このような現在の相場環境や、その背景までも考慮しますと、やはり当面は以下のような「戦略」が有効だと思います。
・常にポジション量に留意する
・「上がったら売る、下がったら買う」を徹底する
そのような中、先週、米国株がまたもや史上最高値を更新しました。
しつこいくらいに上昇が続きますが、まるで「ロシアンルーレット」のようだと私には思えます。
「誰が天井をつかむのか?」と思うのです。
そして様々な専門家も、現在の相場には何度も警鐘を鳴らしています。
くれぐれも「慎重に」取り組んでいきましょう。