相場には「空売り(値下がりで利益を得る)」があるのだが・・・
本当に大丈夫か・・・?
私は最近、このようなことを頻繁に思います。
先月、日経平均株価は30年6か月ぶりに終値ベースで3万円を突破しました。
コロナ禍であり、緊急事態宣言真っただ中での出来事でしたので、「狂っている」「バブルだ」との声が引きも切らなかったようです。
その後、日経平均株価はいったん下がったものの、再び3万円台に近づいてきています。
そして、このような値動きを「正当化」する、一部の専門家達は次のように言います。
・日本企業に対する期待の高まりがある
・企業業績の回復感が強まって株の割高感はない
・中央銀行による金融緩和(マネーのジャブジャブ)でお金が余り、株式市場へ流入している
私が上記の説明で同意できるのは、「中央銀行による金融緩和(マネーのジャブジャブ)でお金が余り、株式市場へ流入している」という箇所だけですが、そこで冒頭で述べたようなことを思うわけです。
「相場には空売り(値下がりで利益を得る)があるのだが・・・」「本当に大丈夫か・・・?」と。
なぜなら、昨年の8月に金(Gold)が史上最高値の2000ドル台を付けた後、現在は1700ドル台まで下落していますが、原因は「空売り(値下がりで利益を得る)」にあるからです。
世界的な金(Gold)の調査・研究機関である「ワールド・ゴールド・カウンシル」の最新報告書で、あらゆる形態の金(Gold)に対する家庭の需要が「対前年比で80%以上増加している」と発表されているにもかかわらずです。
金(Gold)と言えば、私たちが使う1000円札・5000円札・1万円札と違い、よく「刷れるお札」と「刷れない金(Gold)」ということで比較されています。
つまり「刷れない金(Gold)」には希少価値があり、金融緩和(マネーのジャブジャブ)の状態では、それこそ「上昇するのが基本」です。
ところが、コロナ禍であり、緊急事態宣言真っただ中でも株価は上がり、希少価値のある「刷れない金(Gold)」は「空売り(値下がりで利益を得る)」によって下がるわけです。
「本当におかしな時代だ」と思います。
しかし、これこそが「おかしな時代」ですから、まだまだ株価の上昇は続くのかもしれません。
さてここで、教科書的な話になりますが、「株価と為替は、ある程度連動する」ということについて説明したいと思います。
ちなみに、日本の株式市場における外国人投資家の割合は、7~8割もいると言われています。
国内の投資家よりも外国人投資家の方が、高い比率を占めているわけです。
そんな外国人投資家の中心は、金融機関などの機関投資家になります。
そして、彼らは「株価が下落しても、為替でカバーする」ということを考えながら売買をします。
もしも日経平均株価が下がったら、為替でヘッジをするわけです。
つまり、円高で儲かるようにしておくのです。
分かりやすいように「ドル」で説明しますと、例えば日経平均株価が30000円で、ドル円相場が109円の時、日経平均株価は275ドルに相当します。
その後、仮に日経平均株価が29000円まで下落し、ドル円相場が105円45銭になったとすると、日経平均株価はやはり同じく275ドルに相当します。
つまり、日経平均株価が下落しても、為替が円高になれば、外国人投資家からすると株の損を相殺することができるわけです。
ですので、「株高になると円安になり、株安になると円高になる」というのが教科書的な話となります。
昨今は、為替も「かなりおかしな」値動きを続けていますが、株価の値動きがおかしいからこそ、為替の値動きもおかしくなるわけです。
あくまで「最初に株価ありき」なのです。
さて昨今はコロナ禍ですが、先日、帝国データバンクが発表した「2月景気動向調査」では、以下のことが分かっています。
ちなみに、調査では全国1万1000社余りを対象としています。
・マイナスの影響を受けたと回答した企業が約80%
・影響なしと回答した企業が約16%
・プラスの影響を受けたと回答した企業が約4%
これだけ見ても、株価が上昇するのは「おかしい」と分かります。
しかし、今は「おかしな時代」です。
「おかしな時代」だからこそ、コロナ禍でも株価が上がるわけです。
したがって、今後の採用すべき「投資戦略」は、以下の「どちらか」とすべきです。
・「異常」な相場の流れに乗る一方、明日にも起こるかもしれない「リーマン・ショック超え」の「金融危機」に備えて、投資可能額の10分の1程度で投資する。
・あくまで「リーマン・ショック超え」の「金融危機」を想定し、忍耐強く、株の暴落、円高・ドル高、金高・銀高の相場観を持って取り組む。
慎重さをキープしながら、取り組むべきだと思います。
引き続き頑張りましょう。