「2008年秋にリーマン・ショックが起きたが、その前にアイスランドやアイルランドで金融危機が起きていた。世界の大多数の人は、それらは小さな問題だと考え、気も留めていなかったが、振り返ると大きな危機が起きる予兆だった」
「すべての危機は小さなものから始まるものの、やがて大きなものに発展し、最終的には、リーマン・ショックのような大きな経済崩壊へとつながる」
「中東は、次に大きな戦争が起きる場所になる可能性が非常に高い。(中略)サラエボというバルカン半島の聞きなれない小さな都市で火花が起こり、それが第一次世界大戦につながった。だから中東でも、人々が聞いたことのない場所で衝突が起き、それが大きな戦争へと発展する可能性がある」
上記は、世界3大投資家の一人であるジム・ロジャーズ氏の発言です。
小さな問題、多くの人が気にも留めないこと、聞きなれない場所での紛争・・・
このようなことが「大きな経済崩壊」や「大きな戦争」へつながるという主張です。
さて、このような観点で最近の世界の動きに注目してみますと、私個人的には以下のようなニュースが気になっています。
・トルコが内戦中のリビアへ介入を強めている。
・リビアの内戦がトルコやロシアなどの軍事支援で代理戦争の様相を強めている。
・エジプトがリビアに軍事介入を警告した。
・地中海でリビアへの武器禁輸違反が疑われた輸送船を検査しようとしたフランスの艦隊に対し、トルコ軍の艦船が攻撃用のレーダーを照射した。
・リビアは石油資源が豊富で、各国が影響力確保に躍起になっている。
・トルコがイラク北部に対しても軍事侵攻を開始した。
・イエメンのフーシ派(反政府武装組織)がサウジアラビアに大規模な攻撃を行った。
・イエメンのフーシ派(反政府武装組織)はイランやトルコの支援を受けている。
・ナイル川の巨大ダムをめぐり、エジプトとエチオピアの対立が深まっている。
・インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方の大型開発プロジェクトが、関係各国の溝を深めている中、中国とパキスタンの合弁会社が同地域でダム建設を進めることになり、インドが強く非難している。
・インド軍が、越境を巡り中国軍とにらみ合いが続いていた国境付近で衝突が起き、兵士20人が死亡したと発表した。
・河野防衛相が、北朝鮮の金正恩氏の健康状態が「疑われる」と述べた。
・アメリカのシアトルに「自治地区」が出現し、警官が撤退し、市民が自警をしている。
・トランプ大統領がCNNを改ざんした動画をシェアし、その動画には「問題はアメリカではない、フェイクニュースだ」と表示されており、CNNを皮肉った。
上記のようなニュースは、当事国を除いては多くの人々は気にも留めないことかもしれません。
しかし、ジム・ロジャーズ氏の言うように、これらがきっかけとなって「大きな経済崩壊」や「大きな戦争」へとつながる可能性はゼロではないと思います。
ちなみにジム・ロジャーズ氏は、ラトビアの銀行破綻、ドイツ銀行の経営危機、アルゼンチン経済の危機、インド経済の危機、中国経済の危機、ベネズエラ経済の危機、アメリカが抱える巨額の借金問題、ブレグジット(イギリスのEU離脱)によるイギリス解体の可能性、EUから離脱する国が増えるリスク、香港の暴動・・・と、他にも多くのことに対して警鐘を鳴らしています。
そのような中、先日IMF(国際通貨基金)も警鐘を鳴らしました。
日米の株価が1から100の数値化で、なんと100に近い「大幅割高」と断じたのです。
今の実体経済と株価があまりにもかけ離れている、というわけです。
実際、多くの人々も指摘していますが、今の実体経済と株価があまりにもかけ離れているのは間違いないと思います。
しかしコロナ禍の現状においても、なお株価は上昇傾向にあります。
極めて危うい感じがします。
私達投資家は、十分注意すべきだと思います。
ジム・ロジャーズ氏が、小さな問題、多くの人が気にも留めないこと、聞きなれない場所での紛争・・・といったことが「大きな経済崩壊」や「大きな戦争」へとつながると指摘しているように、投資家の観点で考えますと、今後の「強烈な逆回転」を想定しておくことが正解だと思います。
それは、株の暴落、円高・ドル高、金高・銀高を想定しておくということです。
十分に注意して取り組んでいきましょう。