相場は何とも奇妙な展開が続いています。
現在、世界各地で大規模なロックダウン(都市封鎖)が行われていますが、この流れを受けて、IMF(国際通貨基金)は世界恐慌(1929年~1930年代後半)以来最も深刻な景気後退に陥るだろうと発表しました。
またアメリカについては、「42州3億人超が外出禁止に」「NYがロックダウン(都市封鎖)を延長」「失業者が2200万人超え」「過去10年に創出した雇用が1カ月で消失」「新型コロナウイルス死者3.3万人突破」・・・等と報じられました。
しかし、これらのニュースを受けてもNYダウは500ドル超上昇、700ドル超上昇といった展開となり、現状を完全に無視したような株高となりました。
コロナ危機の世界の現状を考えれば、常軌を逸したような株高だと思いますが、おそらくアメリカがマネーを「ジャブジャブ」に溢れさせている結果としての株高です。
そして日本も「国内感染1万人超」だと報道された一方で、先週末の日経平均株価は607円高と、こちらもよく分からない展開となっています。
NYダウ同様、日経平均株価もマネーを「ジャブジャブ」に溢れさせている結果としての株高でしょう。
一方で最近の為替は、しばらく「ポンド」ばかりが買われる展開が続きました。
イギリスは、ジョンソン首相が退院したものの、格付け会社フィッチに格付けを「ネガティブ」に引き下げられ、「(新型コロナウイルスで)欧州で最悪級の、下手をすると最悪の被害を出す」と報じられ、「ロックダウン(都市封鎖)を最低3週間延長」、さらに「4月~6月期のGDPがマイナス35%になる」「貧困層300万人が空腹の窮状」・・・等とも報じられました。
しかしそれでも「ポンド」ばかりが買われましたので、このような背景があることを踏まえますと、株高同様、やはり奇妙な感じがします。
何と言うか、最近は相場全体が「無法地帯」のような、まるで説明のつかないような値動きが頻繁に起こっていると感じます。
さて1992年に、当時割高とされていた「ポンド」に目をつけ、100億ドルに上る大掛かりなポンド売りをしかけ、イギリス中央銀行は「買い」で対抗したものの、ポンドは下げ止まらず、「イギリス中央銀行を負かした男」としてその名を世界にとどろかせた「ジョージ・ソロス」という著名投資家がいます。
「世界三大投資家の一人」とも言われている投資家です。
そんなジョージ・ソロス氏は、「市場は常に間違っている」という発言でも有名です。
「市場は常に間違っている」とは、市場では「上がるべき場面で下がる」「下がるべき場面で上がる」「高すぎる」「安すぎる」といったことが常態化しているということです。
しかしジョージ・ソロス氏は、これらはいずれ修正されてくるので、修正される方向で勝負をすることで、利益を上げることができると語っています。
したがって、「まともに考えると、今の相場はどうなのか?」といった視点を、私達投資家は常に意識しながら取り組むことが大事だと思います。
そして、「高すぎるから売るチャンスだ」「安すぎるから買うチャンスだ」といったような捉え方も常に意識しておくことが大事だと思います。
すると、現在は「感染拡大」「不況」「恐慌」・・・といった報道が相次いでいるにもかかわらず、株価ばかりが上がるのは「異常」だと分かりますので、「高すぎるから売るチャンスだ」と考えるのが賢明な考え方だと思います。
同様に、株価の影響を受けつつ、これまで一方向に動き続けた為替についても、常に修正の可能性を意識しておくのが賢明だと思います。
ところで最近の相場の「不可解さ」の背景には、間違いなく、世界各国のマネーの「ジャブジャブ」「投機筋の暗躍」「アルゴリズム売買(AI)」があると思います。
そしてそのような中、先週に引き続き、日本の金投資第一人者として知られる豊島さんは以下のような発言をされました。
・金(Gold)が上がらないわけがない
・まずは、命と健康を守ることが必須。次に金(Gold)で財産を守ることも必須。これは、儲け話ではない。
豊島さんの「これは、儲け話ではない」という発言は、今のマネーの「ジャブジャブ」が引き起こす未曽有の財政赤字、そして「その先の世界の姿」が念頭にあります。
つまり将来、借金の実質価値を減らすために、「未曽有の財政赤字」からインフレに繋がっていく流れが不可避である、ということなのです。
したがって、「儲かる、損する」ではなく、「上がらないわけがない」と考えられる金(Gold)に投資することで財産が守られる、ということなのです。
つまり、これからの投資戦略としては、前述のジョージ・ソロス氏のように、「市場は常に間違っている」を意識しますと、株も為替も常に「修正」の可能性を意識して取り組むことが鍵となってくるはずです。
また金(Gold)、そして銀(Silver)についてもですが、日々の上げ下げはあるものの、将来不可避と考えられるインフレを意識しますと、上昇トレンドで捉えていくのが正解となるでしょう。
このようなイメージで取り組むのがよいと思います。
引き続き頑張りましょう。