マスクやトイレットペーパーなどの買い占め、不足問題が日本各地で騒がれています。
世界でも同様の問題が起こっているようです。
つまりそれらを入手しづらい状況になっているということですが、もしも仮に「入手しづらいのに価格は1円」なんてことがありましたら、かなりおかしな状況だと言えます。
しかし、それに近いような状況が現在の「銀(シルバー)」で起こっています。
ドイツ最大の民間銀行「ドイツ銀行」の経営危機がかねてから囁かれていましたが、今回の「コロナショック」で、「ドイツ銀行もいよいよ危ないのではないか?」といった話が出てきています。
その影響でしょうか。
ドイツでは金(ゴールド)や銀(シルバー)を買い求める動きが活発化し、ドイツ4番目の都市ケルンでは、貴金属商の前に長蛇の列ができ、「銀(シルバー)は売り切れ」といったニュースが入ってきています。
またイギリスの貴金属取引大手であるブリオンボールトでは、「先月、銀需要が史上最大を更新した」と発表しています。
それだけではありません。
国際貴金属マーケットに関する調査分析を専門とするGFMS社から「WORLD SILVER SERVEY 2019」というレポート(英語版)が出ていますが、そのレポートでも「銀は6年連続で需要が供給を上回っている」ことが明らかになっています。
このような状況であるにもかかわらず、銀相場は近年ずっと下落し続けており、最近の急落によって、ついにこの10年間での「最安値」を付けたのです。
結果、「80」を超えると金融市場が「危険水域」にあるということで知られる「金銀レシオ(金価格÷銀価格)」は、あのリーマン・ショックの時でさえ「84」でしたが、先週は一時「129.46」まで上昇したのです。
もちろん、歴史上ただの一度も付けたことのない「値」であり、人類史5000年の中で最高水準だと報じられています。
銀価格が異常に安くなり過ぎた結果としての「値」なのです。
この背景には、いったい何があるのでしょうか?
一部の専門家も指摘していますが、私は以下のような見解が正しいと思っています。
直近では、新型コロナウイルスが世界中で大きな問題になっている中で、アメリカ政府にはかねてから「命綱のドルを防衛する」という目的のために、ドルのライバルとなり得る「金(ゴールド)」を下落させたい、という思惑がありました。
ちなみに昨年、世界の中央銀行は、こぞって「金」を買っており、さらにその「買い」の規模は1971年の「ニクソン・ショック」以来の最高水準に達していました。
しかしアメリカ政府としては、ドルを防衛するために「金」そのものを価格操作で下落させるよりも、「金」よりも圧倒的に割安である「銀」を下落させる方が簡単だということで、「銀」を下落させよう、となるのです。
すると「銀」につられて「金」も下がってくる、というわけです。
ちなみに、アメリカでは過去にJPモルガンに対して金・銀相場の不正操作の訴訟が起こされたことがありましたが、この時JPモルガンは「弊社はアメリカ政府の代理として価格操作をしただけ」との申立弁明をして、無罪放免となっています。
このような事実からも、価格操作の黒幕は「アメリカ政府」だと考えられます。
さて今後、「銀」はどうなるのでしょうか?
もちろん、もう一段値段が下がる可能性もありますが、世界三大投資家の一人と言われるジム・ロジャーズ氏は常々以下のように言っています。
「モノの価格は需給に応じて変化する。たったひとつの国のなかでも、何年にもわたって、政府が歪められた価格を維持することは不可能だ。大帝国であろうが、政府であろうが、需給の原則を覆した者はいまだかつていない」
つまり遅かれ早かれ、「銀」の急騰は必至だと思います。
かつて、銀価格は現在の「4倍」の価格を付けていたことがありましたが、今後、その水準まで上昇してもなんら不思議ではないと思います。
すると、「銀」につられて「金」も上昇してくると考えられます。
「有事の金・銀」で、上昇する方が自然な流れです。
結局のところ、今が有事であると考えますと、為替の場合でしたら「どこの国の通貨が安全か?」といった視点が重要です。
しかし現在、「安全な国は無い」と言っても過言ではないほど、新型コロナウイルスは世界中に拡散しました。
したがって「どこの国の通貨が安全か?」といった問いは、難しい問いかもしれませんが、昔から「有事の円」「有事のドル」「有事のスイスフラン」といったことが言われ続けています。
ですので、これらの国の通貨の「買い」を意識しつつ、究極のところは「負けなければ勝つ」ということで、「時間を味方につけて勝つ」というスタンスで取り組むのがよいと思います。
引き続き頑張りましょう。