ビッグマック指数

 

先週を振り返りますと、NYダウは月曜日が2013ドル安、火曜日が1167ドル高、水曜日が1464ドル安、木曜日が2352ドル安、金曜日が1985ドル高と、凄まじい乱高下を繰り返しました。

 

そして、緊急避難的な取引停止措置である「サーキットブレーカー」が何度も発動される事態となりました。

 

木曜日には過去最大の下落、金曜日には過去最大の上昇と、またもや「過去最大」を更新しました。

 

 

 

為替はドル円が月曜日に一時101.17円を付けましたが、金曜日には一時108.49円を付けていました。

 

 

 

トランプ大統領は、先週金曜日に非常事態を宣言しました。

 

 

 

「非常事態」といえば、「80」を超えると金融市場が「危険水域」にあるということで知られる「金銀レシオ(金価格÷銀価格)」を見ましても、現在が「前代未聞の非常(異常)事態」であると言えます。

 

あのリーマン・ショックの時でさえ「84」だった金銀レシオは、本日「105.82」を付けました。

 

歴史上ただの一度も付けたことのない「値」であり、今がいかに異常であるかを物語っています。

 

 

 

そのような中で、今回のコラムでは、「為替市場はどれくらいが適正レートなのか?」ということを「ビッグマック指数」から考えてみたいと思います。

 

 

 

「ビッグマック指数」とは「同じモノは同じ値段で買えるはずだ」という「購買力平価説」が基になっており、約30年前からイギリスの経済誌「エコノミスト」が発表しています。

 

世界の多くの国で購入できるマクドナルドのハンバーガー(ビッグマック)の価格を比較することで、「適正な」為替レートを算出しようというものです。

 

 

 

例えば日本では今、ビッグマック1個の値段が390円しますが、アメリカでは5.67ドルとなっています。

 

現在の為替レートを1ドル=107.00円としますと、日本では390円で買えるビッグマックが、現在のアメリカでは607円(5.67ドル)出さないと買えないということです。

 

 

 

しかし「同じモノは同じ値段で買えるはずだ」という考え方(購買力平価説、ビッグマック指数)からすると、「現在の1ドル=107.00円という為替レートは、1ドル=68.78円(390÷5.67ドル)に向かって修正されていく方が妥当ではないか?」ということになります。

 

 

 

今年に入り、最新の「ビッグマック指数」(注:202023日付)が発表されましたので、FXで馴染みのある国を参考に見てみたいと思います。

 

 

 

 

 

1位:スイス      (739円) (6.71ドル) (6.57スイスフラン)

 

3位:アメリカ     (624円) (5.67ドル)

 

5位:カナダ      (570円) (5.18ドル) (6.97カナダドル)

 

9位:ユーロ圏     (504円) (4.58ドル) (4.19ユーロ)

 

11位:オーストラリア  490円) (4.45ドル) (6.74豪ドル)

 

12位:イギリス    (485円) (4.41ドル) (3.43ポンド)

 

14位:ニュージーランド(473円) (4.29ドル) (6.74NZドル)

 

26位:日本      (390円) (3.54ドル) 

 

54位:トルコ     (243円) (2.21ドル) (13.43トルコリラ)

 

55位:ロシア     (242円) (2.20ドル) (141.79ル-ブル)

 

56位:南アフリカ   (237円) (2.15ドル) (32.51ランド)

 

 

 

 

 

ここで、前述の「1ドル=68.78円(390÷5.67ドル)に向かって修正されていく方が妥当ではないか?」という考え方(購買力平価説、ビッグマック指数)に従いますと、上記の国の通貨について、以下のようなことが言えます。

 

 

 

 

 

・「トルコリラ円」「ルーブル円」「ランド円」は、少なくとも今よりも「円安に進む」方が妥当

 

 

 

・他の通貨については、少なくとも今よりも「円高に進む」方が妥当

 

 

 

 

 

さてここで、私が気になった最近のニュースを整理してみます。

 

 

 

 

 

・中国の武漢市で再び大規模感染が勃発している。

 

 

 

・イタリアで新型コロナウイルスの死者が急増しており、全土で移動制限になった。

 

 

 

・フランスでリーステール文化大臣が新型コロナウイルスに感染し、全土で休校宣言が出され、飲食店なども休業になった。

 

 

 

・スペインで非常事態宣言が発令され、全土で原則外出禁止になった。

 

 

 

・イギリスで保健・社会福祉政務次官が新型コロナウイルスに感染し、イギリス独自のウイルス対策が「国民の命を危険に」と多数の科学者に反対されている。

 

 

 

・アメリカで非常事態宣言が発令され、欧州26カ国を対象に始まった入国制限を、イギリスとアイルランドにも広げると発表した。

 

 

 

・アメリカで、トランプ大統領やペンス副大統領が参加した集会の参加者にも感染者が出た。

 

 

 

NYダウが「過去最大の下げ幅」と「過去最大の上げ幅」を記録し、緊急避難的な取引停止措置である「サーキットブレーカー」が何度も発動された。

 

 

 

WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルスの感染者が確認された国が114カ国に拡大したと発表し、テドロス事務局長は「欧州が今やパンデミック(世界的大流行)の中心だ」と発言した。

 

 

 

 

 

このように、次から次へと新たなニュースが入ってきていますが、今が「非常事態」であることは間違いなく、株式市場もそのために乱高下しています。

 

 

 

そのような中で「今後の為替市場については何を指針としたらいいのか?」といった時に、上記の「ビッグマック指数」がひとつの参考になると思います。

 

「同じモノは同じ値段で買えるはずだ」というのはひとつの立派な考え方だと思いますし、為替市場においては、少なくとも「円高」や「円安」の方向性の参考になるものだと思います。

 

大事なのは「大局観」を持って、振り回されずに取り組むことです。

 

 

 

引き続き頑張っていきましょう。