先月のコラムでは、著名投資家のウォーレン・バフェット氏の動きをお伝えしていました。
ウォーレン・バフェット氏といえば「株が暴落する前に売り、株が暴落すると買う」という「究極の逆張り投資家」として知られていますが、バフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」が、現在手元の現金が過去最高の「約12兆円」に達しており、明らかに今後の暴落に備えた動きだと思われるという内容です。
今そのような中、上記に加えて、さらに「気に留めておくべきだ」と思われる2つのリスクがあります。
1つが「リセッション(景気後退)」で、先週だけで以下のような報道がありました。
・米経済は2021年までにリセッション入りへ、米エコノミストの74%予想
・ドイツ経済にリセッションのリスク、2四半期連続縮小も
・【先週の新興国市場】リセッション懸念強まる
・「次の景気後退は1年以内」との予言
・円高ドル安進む?世界リスクは山積み!香港、アルゼンチン、米中、リセッション…
・アメリカもマイナス金利国へ加速 景気後退リスク上昇、当局に阻止圧力
・米大手行の時価総額が急減、景気後退サインか
上記報道のように、「リセッション(景気後退)」がかなり注目されてきていることが分かります。
しかもニューヨーク・タイムズでは、「2008年のリーマン・ショックでは、各国の協調体制があり危機に対応できたが、いまのナショナリズム(自国民を重視する考え)が高まる状況では、こうした協調体制を望むことができないので、次に起こる金融危機はリーマン・ショック以上に激しいものになるだろう」と報じています。
バフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」の手元現金が過去最高の「約12兆円」に達しているのも、このあたりに理由があるのではないかと思います。
そして2つ目が「米中衝突リスク」です。
「米中貿易摩擦」については連日のように報道が続いていますが、最重要問題はAIなどをめぐる「知的財産権」の問題だと言われています。
アメリカのアップルやインテルなどの大企業に中国人スパイが送り込まれ、そこで先端技術が盗み出され、素早く中国企業で同類製品を作り上げる行為などが問題視されているようです。
このような背景がある中で、香港では参加者が170万人とも言われる大規模な抗議デモが行われているわけですが、先週のコラムでもお伝えしたように、「政権転覆のスペシャリスト」として知られる米外交官のジュリー・イーデ氏とデモ隊の主要メンバー達がホテルのロビーで会っている証拠写真がメディアに掲載されるなど、米中の争いは香港のデモにも関連しているとみられています。
しかもトランプ大統領は、「もし中国政府が暴力的に天安門事件のようなことをやるなら、ディール(取引)は非常に難しくなるだろう」と、中国を牽制するような発言を繰り返しています。
このようなトランプ大統領の発言に対し、「あくまでも香港は中国のものだ」と主張する中国にしてみれば、トランプ大統領の発言は「内政干渉」に当たります。
そして事実、中国は香港問題を巡りアメリカに対し内政干渉しないよう要請しました。
同様に、台湾についても「あくまでも台湾は中国のものだ」というのが中国のスタンスですが、この度アメリカは台湾にF16戦闘機を売却すると発表し、中国の反発が必至だとみられていました。
そして予想通り、中国はアメリカに対しての報復を示唆しました。
つまり現在、米中はお互いに「絶対に譲れない」といった状態になりつつあり、これは非常に危うく、要警戒だと思われるのです。
先週末も、トランプ大統領が「米国企業が中国に替わる相手先を見つけるように命令する。企業を米国に戻し、製品は米国で製造せよ。中国への追加関税は午後に発表する」と発言し、ダウが623ドル安となりました。
以上のように、「リセッション(景気後退)」と「米中衝突リスク」が、今後も特に気に留めておくべきだと思われる2つのリスクになります。
おそらく、バフェット氏は「リセッション(景気後退)」に加えて「米中衝突リスク」についても意識しているのではないでしょうか。
そのようなバフェット氏の動きからも予想できますが、やはり今後は「株の暴落」に備えるべきではないかと思います。
そしてリーマン・ショックのときもそうでしたが、「円の急騰」や「金・銀の急騰」も今後の展開として予想できると思います。
したがって当面は、このようなイメージを持って取り組むのが良いのではないかと思います。
引き続き頑張りましょう。