やり過ぎ

 

先週のコラムでは、以下のニュースをお伝えしていました。

 

 

 

・海外勢の日本株保有比率がアベノミクス前まで急低下した

 

・軍事企業ランキング世界1位のロッキード・マーティン社が「治安上の脅威」を理由に、イラクに駐在しているスタッフ全員の即時撤収を決定した

 

・アメリカ軍がイランに対応するためにカタールへF22機を配備した

 

 

 

 

 

するとその後、立て続けに以下のニュースが流れてきました。

 

 

 

・米副大統領、「緊急事態」でニューハンプシャー州でのイベントキャンセル

 

・米副大統領報道官『ペンス副大統領がワシントンに戻る必要性のある「何か」が起きた』

 

・プーチン大統領が予定されていたイベントを抜け出し、ショイグ国防相と「緊急会談」へ

 

 

 

 

 

状況から考えて、「これは、いよいよ戦争か何かの有事が発生したのではないか?」と私は思いました。

 

これらのニュースについては市場も同様の反応を示したようで、円高が進み、「金」が買われていきました。

 

 

 

ところが、プーチン大統領とショイグ国防相については「潜水艦事故」についての件だったそうで、市場はそのことが分かると落ち着きを取り戻しました。

 

 

 

一方、ペンス副大統領の「緊急事態」については報道官が「心配ない」と言うだけで、未だに詳細が「謎」のままです。

 

「緊急事態」だったはずなのに、「心配ないとはいったいどういうことなのだろうか?」ということで、市場では様々な憶測が広がっています。

 

「本当に何もないのか?」ということです。

 

 

 

 

 

続いて今度は、以下のニュースが流れました。

 

 

 

・米ADP民間雇用者数、市場予想を下回る、2010年以来の低い伸び

 

・米新規失業保険申請件数、予想外に増加

 

・米貿易赤字、5月は555億ドルと予想以上に拡大

 

・米ISM非製造業指数、市場予想を下回る-雇用が大幅低下

 

・トランプ大統領が「中国と欧州が大きな為替操作ゲームをしている」と発言

 

 

 

 

 

これらのニュースを受けた市場の反応は「米株式市場、ダウ・ナスダックともに過去最高値更新」です。

 

 

 

もう何というか、「滅茶苦茶だな」といった感じがします。

 

過去最高値を更新するようなニュースとは「真逆」のニュースばかりが流れたにも関わらず、過去最高値更新となったからです。

 

 

 

一方で、先週末の米雇用統計は市場予想を上回り、市場の反応は「株式市場の下落」でした。

 

 

 

これらの値動きについては「利下げ期待の前進、後退」が要因だったと言われていますが、「悪いニュースは良いニュース、良いニュースは悪いニュース」ということなので、本来あるべき姿から考えますと、不自然だと言えます。

 

 

 

そのような中、為替については先週のコラムでもお伝えしたように、ロイターが「外為市場、異例のボラ低下は嵐の前の静けさか」と報じている通りで、相変わらず、ほとんど動いていない状態が続いています。

 

 

 

このような最近の「相場の流れ」を踏まえて、最近、特に市場関係者の間で頻繁に出てきている言葉が「やり過ぎ」です。

 

「合理的」からはあまりにも程遠い値動きが「日常」になっているからです。

 

 

 

実際に、私も多くの市場関係者が言うように、「やり過ぎ」は間違いないと思っています。

 

 

 

そして最近はブルームバーグでも、「何でもありの市場に警戒を」などと報じられています。

 

やはり、「合理的」からはあまりにも程遠い値動きが「日常」になっていることで、「何でもありの市場」と言われるわけです。

 

 

 

しかしここでシンプルに考えるべきなのは、最近の相場が「まともだと思いますか?」「まともでないと思いますか?」ということだと思います。

 

 

 

もちろん「やり過ぎ」発言、「何でもありの市場」からも分かりますが、「まともでない」ということになります。

 

 

 

そのような「まともでない」中でも、前述のように、「いよいよ戦争か何かの有事が発生したのではないか?」という際の市場の反応は、円高が進み、「金」が買われたということです。

 

この「事実」をしっかりと押さえておくことが大事だと思います。

 

 

 

そして次にシンプルに考えるべきなのが、最近の世界情勢を踏まえた上で、「この先何もないと思いますか?」「この先何かがあると思いますか?」ということだと思います。

 

 

 

これについても、「この先何かがある」と考えるべきでしょう。

 

例えば前述のように、ペンス副大統領の「緊急事態」報道を巡って「本当に何もないのか?」という憶測が市場に広がっているのは事実ですし、イラン問題についても、「英がイランのタンカー拿捕、西側との対立激化の恐れ」「米、イランに制裁強化へ」「イラン、我慢の限界、ウラン濃縮レベル引き上げを明言」といった報道が相次いでいます。

 

さらに、先週のコラムや今回のコラム冒頭でお伝えしたような「その他複数」のニュースもあるわけです。

 

 

 

したがって、米株式市場の過去最高値更新についても、バブル崩壊前の「ババ抜き」のようなものであって、「まともでない」「この先何かがある」と考えることが大事だと思います。

 

そして最近の「その他の相場」に関しても、同様に考えるべきだと思います。

 

 

 

結果として、いざ何かが起これば、円高、金高が加速するでしょう。

 

 

 

このようなイメージを持って、取り組むべきだと思います。

 

引き続き頑張りましょう。