米政府機関の一部閉鎖が過去最長になっています。
一部閉鎖に至った理由は「メキシコとの国境の壁建設費の予算計上をめぐり、トランプ大統領と議会が対立したから」とされています。
しかしアメリカにおいて政府機関の一部閉鎖は珍しい事ではなく、1981年、1984年、1990年、1995年、1996年、2013年、2018年にもありました。
そして現在の米政府機関の一部閉鎖は2018年12月から継続中で、今日で過去最長の25日目に突入です。
政府機関の一部閉鎖の問題は、社会に混乱を巻き起こしている事です。
例えば、アメリカの国立公園はゴミだらけになっているといいます。
政府機関の閉鎖によって、職員が清掃できないからだという事です。
またアメリカの刑務所においては、給料の支払いが止まっていることから様々な理由をつけて、多くの職員が職場を休んでいるそうです。
この状況が長引くと、囚人達が大量脱獄する可能性も否定できません。
そしてアメリカにはフードスタンプ(低所得者世帯に食料品購入のための費用を支給する食糧援助プログラム)がありますが、政府機関の一部閉鎖によってフードスタンプで生活している4000万人を超えるアメリカ人が食糧配給を受けられなくなる可能性も出てきており(3月分はまだメドが立っていない)、もしもそうなれば暴動が発生するのではないかと言われています。
他にも全米の空港で「病欠」の職員が増えている、といった情報もあります。
無給で働かざるを得ない状況が続き、欠勤が広がっているようです。
航空ダイヤの乱れは、運輸・観光業に痛手となります。
このように、あちらこちらに影響が出ていますが、この状況が長引きますと、経済に与える影響も大きくなってくるでしょう。
とはいえ、「最後はなんとかするのではないか」というのが市場の大方の見方のようです。
一方で、米政府機関の一部閉鎖以上に深刻な問題かもしれないのが「自社株買い」と「株価」の関係です。
自社株買いは文字通り、企業が発行している株式を自らの資金を使って市場から買い戻す事ですが、昨年1年間のアメリカの自社株買いは1兆3400万ドル(約108兆5500億円)に達しているといいます。
ところが、これだけ巨額の自社株買いが行われたにもかかわらず、昨年1年間でダウ工業株平均は5.6%、S&P総合500種は6.2%、ハイテク株が多いナスダックは4%、それぞれ下落したのです。
そして似たような事は日本にも当てはまり、昨年1年間で日銀が6兆円を超える株買いをしたにもかかわらず、昨年1年間で日経平均株価は12%下落しました。
昨年、米国株や日本株は「巨額の買いにもかかわらず下落した」という事であり、これは危険な暗示のように思えます。
そのような状況の中、最近イギリスにおいては、金融界が110兆円の資産をイギリスからEU他地域に移す計画であると報じられました。
フランスにおいては、黄色いベストの抗議運動が続いており、さらに「重機で政府庁舎襲撃、暴徒化が止まらない」と報じられ、政府報道官(副大臣)らが避難する事態となっています。
ドイツにおいては、ドイツ最大のドイツ銀行が「外部支援を受けなければ今の危機的な状況を脱することは無理」と言われるまで経営が悪化しています。
これらもやはり、危険な暗示のように思えます。
そしてこれら「危険な暗示」が、年始に起きたフラッシュ・クラッシュ(瞬間移動のような暴落)の第二弾、第三弾へと繋がっていくのではないかと思います。
タイミングは、いつ何時でもおかしくないと思います。
当面は円高の相場観を持ちつつ、慎重にやっていくのが良いのではないかと思います。