プラザ合意再来か?

 

「市場ではアメリカとメキシコがNAFTA(米自由貿易協定)再交渉の合意で、為替条項が盛り込まれたことをきっかけに、アメリカによる為替介入の思惑が台頭している。複数のアメリカ金融大手や欧州金融大手が顧客向けのレポートで、介入可能性の議論が高まっていることに言及している。」

 

 

 

「いつもありがとうございます。為替条項は確かに気になりますね。ドルはメキシコペソに対して、数年前と比べると1.5倍に上昇していますし、介入の話が出てくるのでしょうね。」

 

 

 

「知り合いのワシントンに近い筋からもその様な話を聞いているのでね。まあ、要注意で参るのがいいでしょう。」

 

 

 

 

 

上記は、私が普段お世話になっている方と私との「やり取り」の一部なのですが、最近になって「為替介入」の話が出てきているようです。

 

さらに具体的には「プラザ合意の再来か?」といった話も出てきているようです。

 

 

 

「プラザ合意」は中学校の教科書にも載るほど、歴史的な合意になります。

 

概要を簡潔に言いますと、1980年代前半、世界中の投機マネーがアメリカに集中しており、ドル相場が高く推移していました。

 

その結果、アメリカは貿易赤字の増大に拍車がかかり、とりわけ日本との間での貿易赤字が顕著だったことから、「円高ドル安に誘導せねばならない」という事になり、アメリカのニューヨークにあるプラザホテルで会議が開かれました。

 

当時会議に参加したのが、アメリカ・日本・イギリス・フランス・西ドイツの5か国で、1985922日に合意内容(円高ドル安に誘導)が発表されました。

 

これが「プラザ合意」の概要となります。

 

 

 

そしてこの「プラザ合意」によって、為替介入(各国が協力し合う協調介入)が行われ、当時ドル円相場は1年で240円から160円と急激な円高ドル安に誘導されたのです。

 

 

 

最近になって「プラザ合意の再来か?」といった話が出てきているのも、トランプ政権が「貿易不均衡の是正」を公約に掲げており、さらに11月には中間選挙を控えているからです。

 

トランプ大統領としては、中間選挙で与党共和党の議席を減らしたくはないですし、そのためにも貿易相手国に対して強硬姿勢を強めるとみられています。

 

強硬姿勢に関しましては、今もすでにトランプの「恫喝(どうかつ)外交」と言われており、だからこそ「プラザ合意の再来か?」といった話も出てきているのです。

 

 

 

ちなみにアメリカと日本との間では、アメリカの貿易赤字のおよそ70%を自動車が占めています。

 

そのため日本としては「日本車への制裁(関税引き上げ)」が特に懸念されるわけですが、9月の日米首脳会談では、新たな通商交渉を始めようという事になり、いったん「日本車への制裁」棚上げで合意しました。

 

 

 

しかしトランプ大統領は「二転三転のトランプ」と言われるくらい、これまでも発言が二転三転していますので、再び制裁を持ち出す懸念は拭えないと言われています。

 

 

 

さらにアメリカは中国と貿易戦争を繰り広げており、中国が人民元安を誘導していることから、米中通貨安戦争といった展開も懸念されています。

 

 

 

このような背景があるからこそ、アメリカによる「ドル安誘導」、すなわち「ドル売り介入」の可能性や「プラザ合意の再来」が警戒されているのです。

 

 

 

先週のアメリカ雇用統計では、失業率が3.7%と発表され、これは196912月以来の低い数字で、驚異的とも言えます。

 

したがって長い目で見た時には「ドル買い」で問題ないと思われますが、現状では前述のような背景によって、いったん「ドル売り」に傾く可能性があります。

 

 

 

一方でユーロはイタリアの財政運営に対する不安が非常に高まってきており、市場では「売り優勢」との見方が強まっているようです。

 

 

 

すると、現状では「円高に推移する」と予想するのが自然な流れで、実際にプロ達の間でも円高予想が増えてきているようです。

 

 

 

したがって、当面は「円高」を念頭に置いて取り組むのが良いのではないかと思います。