「酒田罫線法(さかたけいせんほう)」という相場の分析手法があります。
江戸時代の相場師、本間宗久(ほんまそうきゅう)が考案した手法です。
本間宗久の出身地が山形県の酒田市であったことから、「酒田罫線法」と名付けられたそうです。
本間宗久は大阪堂島の米相場で巨額の財をなし、現在の貨幣価値にすると1兆円を超えるお金を儲けたといいます。
「相場の神様」とも言われ、その活躍ぶりは「本間さまには及びもないが、せめてなりたや殿様に」といった唄が流行るほどであったそうです。
この酒田罫線法は江戸時代に考案された手法でありますが、「今でも使える」と言われているそうで、外国人投資家の中には「最新のテクニカル分析」として酒田罫線法を勉強している人達もいるといいます。
酒田罫線法の中でも特に酒田五法(さかたごほう)と呼ばれている手法が有名で、その名の通り、「三山(さんざん)」「三川(さんせん)」「三空(さんくう)」「三兵(さんぺい)」「三法(さんぽう)」といった5つの手法から成り立っています。
しかし酒田罫線法はこれら以外にもたくさんあり、「底値圏での買い」が18パターン、「上昇相場での買い」が14パターン、「天井圏での売り」が18パターン、「下落相場での売り」が13パターンあります。
ここで話は変わりますが、先月の株式市場で「不可解なストップ高」と言われるストップ高がありました。
「大塚家具」のストップ高です。
大塚家具は一時報道でも騒がれていたように、父と娘の確執、創業一族の確執があり、創業者である大塚勝久氏が追い出され、娘の久美子氏が社長に就任する事となりました。
しかしご存知の方もいると思いますが、その後大塚家具の業績は悪化の一途をたどり、遂には自力再建が困難、身売り交渉中と伝えられ、同社株式の「売り」が相次いでいる状況です。
そのような中、特段の材料も見当たらなかったにも関わらず、大塚家具がストップ高をつけたことから、市場では「不可解なストップ高」と言われました。
また少し昔の話になりますが、かつて東証ジャスダックに「クロニクル」という会社が上場していました。
宝飾品販売業の会社です。
この会社も、決算で「売上高53%減少、営業利益・経常利益ともに赤字」と発表された直後に株価が暴騰したことから、当時「不可解な暴騰」と言われていました。
このように、相場には「不可解」と言われる展開がしばしばあり、最近は特に「不可解」な展開が多くなっていますが、酒田罫線法はそのような「不可解」な展開を予測できることもある、と言われているそうなので、私は「為替」「金・銀」「ビットコイン」について、酒田罫線法を使って過去の値動きを調べてみました。
その結果、分かった事は以下の通りです。
・見事に予測できたケースもあれば、外れて逆行するケースもあった
・「底値圏での買い」が18パターン、「上昇相場での買い」が14パターン、「天井圏での売り」が18パターン、「下落相場での売り」が13パターンの計63パターンの内、10パターンについては近年の相場では出現していない
・酒田罫線法のパターンには当てはまらないところで、突然の急騰や急落が起こっているケースが目立つ
ちなみに、ひとえに「テクニカル分析」といっても、その種類は100種類以上あると言われ、コンピュータでもない限り、全てをチェックしながら売買するのは無理があります。
また全てのテクニカル分析が「買い」や「売り」で一致するなどという事もなく、一方が「買い」を示しても、もう一方は「売り」を示している、といったところがテクニカル分析の真相です。
また多すぎる選択肢(判断材料)は、脳の混乱を招くことになります。
したがって投資(トレード)においては、一般的にも脳が混乱しない範囲で、「これだ」と決めたテクニカル分析(せいぜい数個)を使って取り組むべきだと言われています。
したがって酒田罫線法についても、もしも余裕があれば勉強してみる、というくらいのスタンスで良いと思います。
ちなみに「有事の金・銀」と言われている中で、最近はずっと売り込まれていた「金・銀」ですが、先月の末で、酒田罫線法では「買い」を示すようになりました。
現在、各方面から金融危機の警告がなされていますが、ここにきて「金・銀」が酒田罫線法で「買い」を示したのも、もしかしたら金融危機の「前触れ」を意味しているのかもしれません。
少し注意をしながら取り組んでいきましょう。