投資は期間に応じて「短期」「中期」「長期」と分ける事ができます。
しかし「どこまでが短期で、どこからが中期なのか?」といったように、一見ややこしく思われるかもしれません。
人によって感覚も違いますし、明確な定義もないからです。
しかし国債においては、明確に定義がなされています。
償還期間1年以下の国債を「短期」、1年超5年以下を「中期」、5年超10年以下を「長期」、10年超を「超長期」と呼びます。
したがってニュース等で「中長期」という文言が出てきた場合は、「1年~10年」と捉えるのが妥当ではないかと思います。
このような時間感覚で捉えた時、相場における「スキャルピング」や「デイトレード」などは、「超短期」と言っても過言ではありません。
さて今回このような話をしていますのも、前回のコラムでご紹介した書籍「シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国」(東洋経済新報社)にも、時間軸に関する「もっともな」記述があったからです。
投資家として重要なのは、近視眼的にならない事になります。
「目先の事だけにとらわれて、大局を見通せず」といった状態に陥らないようにしなければなりません。
それでは、以下に上記書籍の記述を見てみましょう。
・2050年という遠い未来について、完全な予測などありえない。客観性を損なわない範囲でできることは、せいぜい今後5~10年先の将来について最も可能性の高い見通しをすることだ。
・経済予測も5~10年を超えたものになると、信頼性が大幅に低下する。
・まず日々の、あるいは四半期ごとの一時的な数字の変化に無駄なエネルギーを消耗してはならない。
・ウォール街には、昔からの諺がある。偏執症と適応者だけが生存を許される、というのだ。私はこれをもう少し別の言葉で言い換えてみたい。成功の秘訣は、良い意味での偏執を生き残りのためにいかに活用できるかだ。
・2008年の金融危機以降、ウォール街では損失の拡大を恐れて、大物投資家たちは投資収益を年単位よりも月単位でチェックするようになった。そのプレッシャーでファンドマネージャーはただの1ヵ月でもマイナスの月が出ぬようにと、頻繁に取引を行うようになった。取引回数の少ない投資家ほど投資収益が高くなることが明らかになっているにもかかわらずだ。
最後の「取引回数の少ない投資家ほど投資収益が高くなることが明らかになっている」に関して、過去コラムでも紹介をした事がありますが、書籍「錯覚の科学」(文藝春秋)にも同様の記述があります。
これは要するに、忙しなく売り買いを繰り返している人ほど、ドツボにはまっているという事なのです。
したがってこれらの事を踏まえますと、投資家として「あるべき姿・態度・心構え」は以下のようになると思います。
・5~10年先の相場観を持って取り組む
・「目先」に振り回されない
・良い意味での「こだわり」(負けなければ勝つ、時間を味方に付ける等)を持って、生き残る(強制決済、相場退場を避ける)事を重視する
・ポジポジ病(頻繁にポジションを持つ、相場動向を無視してポジションを持つ)に陥らないように注意する
結局、これらを一言で表現するならば「ドンと構える」という事になるかと思います。
避けるべきは強制決済や相場退場ですので、ポジション量には注意を払わねばなりませんが、あとは「ドンと構える」が正解だと思います。
相場というと、どうしても「切った張った」のイメージがある世界ですが、長く生き残っている投資家というのは、例外なくドンと構えているものです。
引き続き頑張りましょう。