先週のコラムで「気象観測の史上初が相次いでいる」と言っていたら、今度は台風12号が東から西に横断するという「異例のコース」です。
「こんな経路は初めてだ」「これまでの経験が通用しなくなっている」といった声が上がっており、本当におかしい事が次々と起こります。
異常気象について、CNNで「聖書の黙示録に描かれた終末の前兆だと考える米国人が3分の1強を占める」と報じられたのが数年前ですが、当時よりも今は「おかしく」なっています。
相場の世界の「おかしさ」も続きますが、相場において警戒すべきは「金融危機」です。
ではもしも今後「リーマン・ショック」級の金融危機があるとしたら、その震源地はどこになるのでしょうか。
私は中国やEU(欧州連合)が怪しいのではないかと思っていますが、今回は中国について言及してみたいと思います。
中国では現在、企業の社債デフォルト(債務不履行)が急増しているといいます。
ブルームバーグが報じるところでは、社債デフォルトは過去最悪になっているそうで、企業利益の悪化や景気減速が原因のようです。
またP2P(ピア・ツー・ピア)金融の相次ぐ倒産も報じられています。
P2P金融とは、インターネットを介して個人や中小企業の資金を融通する金融サービスの事です。
これらの倒産も、企業利益の悪化や景気減速が原因だと言われています。
さらに通信大手ZTE(中興通信)の経営破綻の噂も流れるなど、予断を許さない状況となっています。
企業利益の悪化や景気減速、通信大手の経営破綻の噂は株価にも影響を与え、上海総合指数は2007年に付けた最高値6124ポイントの半値以下、3000ポイントを割り込んでいます。
また中国は香港・マカオを除くと31地域で構成されているのですが、25地域が財政赤字に陥っているといいます。
そのような中、「習近平降ろしが始まった」「人民解放軍に暴走リスクが高まっている」「クーデター未遂があった」「人民の不満が爆発している」・・・と報じられており、習近平国家主席の失脚も噂されているようです。
ここでさらに追い打ちをかけるのが米国の存在で、トランプ大統領は中国から輸入する年5000億ドル(約56兆円)強の輸入品すべてに関税を課す考えを強調しています。
一方で、現在は世界各国で中国批判が高まっているとも言われており、オーストラリアではスパイ防止強化の法案が可決したそうです。
これは中国によるスパイ活動や内政干渉の阻止を目的としているようです。
ニュージーランドでも、太平洋で軍事力を増強しつつある中国に対抗する目的で、米国製の哨戒機4機の調達と、米国やオーストラリアとの連携を発表しました。
マレーシアもマハティール新首相が反中国に傾いており、中国主導の大型鉄道プロジェクトの中止を決めました。
このような中国の現状について考えてみますと、前述のように、「リーマン・ショック」級の金融危機があるとしたら、その震源地が中国になる可能性が高いのではないかと思います。
「米中貿易戦争でどちらが勝つか」と言われたりもしていますが、「貿易戦争に勝者はいない」というのが、歴史が教えてくれる答えです。
先日アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたG20(20ヶ国財務大臣・中央銀行総裁会議)でも、貿易戦争それ自体が世界経済にマイナスだとする声が相次ぎました。
したがって今回の米中貿易戦争が、中国を震源地とする金融危機の「きっかけ」となってもおかしくない、と思われるのです。
では、いざ「金融危機」が現実になった場合、相場がどうなるかという事ですが、過去の例からも「株の暴落」「円の急騰」という展開になると思われます。
また4月のコラムでもお伝えしましたが、金市場に40年携わっている専門家は「米中貿易戦争で金価格が天空まで高騰する」と語っており、金の暴騰も予想されます。
このような状況となっていますが、今の相場はどちらかというと、方向感のない動きが続いています。
しかし米中貿易戦争は継続中で、いつ何があってもおかしくありません。
「株の暴落」「円の急騰」「金の暴騰」を意識しつつ、取り組んでいただければと思います。