世界が「混沌」としています。
現在はトルコ問題などで揺れていますが、世界の現状について思いつくままに挙げてみたいと思います。
その上で、どのような相場観を持てばいいのかを考えてみたいと思います。
・トルコでは2016年にクーデター未遂事件があり、民間人を含め、死者が290人に及んだ。この時共謀したとの疑いで、米国人牧師のブランソン氏がトルコ当局に軟禁された。アメリカはブランソン氏の釈放を要求するが、トルコ政府はこれを拒否している。
・アメリカのイランに対する経済制裁をトルコは拒否した。
・NATO(北大西洋条約機構)は、名指しはされていないものの、第二次世界大戦終結後にロシアを締め出す(ソ連軍の侵略に対抗する)目的のために設立された。ところがトルコはNATO加盟国であるにも関わらず、ロシアから新型迎撃ミサイルを購入した。
・米国人牧師ブランソン氏の釈放問題で、アメリカはトルコ閣僚2人の資産を凍結した。するとトルコも報復として、アメリカ閣僚2人の資産を凍結した。
・アメリカがトルコの鉄鋼とアルミニウムへの追加関税を2倍にすると発表すると、トルコも報復として、アメリカの自動車やアルコールなどに対する追加関税を2倍にすると発表した。
・2010年にトルコと中国の間で「戦略的協力協定」が締結された。そして先日トルコのアルバイラク財務相は、中国の大手金融機関からの大型融資があったと発表した。
・ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国によるBRICS首脳会議にトルコも参加し、アメリカが仕掛ける貿易戦争に対抗するとした。
・トルコは上海協力機構(ロシア、中国、カザフスタン、キルギス、 タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国の協力機構)への加盟を示唆した。またASEAN(東南アジア諸国連合、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)やアフリカ連合(モロッコを除くアフリカの全53カ国)との協力関係の強化も模索している。
・アメリカのイランに対する経済制裁を中国が拒否し、アメリカは中国も制裁すると言い出している。
・アメリカは3月にイギリスで起きたロシア元情報機関員の暗殺未遂事件で、ロシアが化学兵器を使用したと断定し、ロシアに新たな経済制裁を発動すると発表した。
・日本は現在、アメリカによる輸入車関税に強い懸念を抱いている。
・アメリカによる輸入車関税は、ドイツ経済に今年最大200億ユーロの影響が生じると試算されている。
・アメリカはカナダにも懲罰的関税をかけている。
・9.11アメリカ同時多発テロ事件の首謀者とされるオサマ・ビンラディンの三男であるハムザ・ビンラディンは、アメリカ(ワシントン)、イギリス(ロンドン)、フランス(パリ)、イスラエル(テルアビブ)を標的に復讐すると宣言している。
・アメリカの著名経済ジャーナリストのマックス・カイザー氏は、金や銀の価格が一部のメガバンクによって不正操作されているとし、特にJPモルガンによる銀の価格操作は凶悪犯罪であるとし、「銀を買って、JPモルガンを潰そう!」運動を行っている。一部のメガバンクが意図的に先物のショート(空売り)で金・銀の値段を下げ、現物を退蔵しているため、これら金・銀を買う事で(値上がりによって)メガバンクの先物のショート(空売り)ポジションに壊滅的な打撃を与えよう、と呼び掛けている。
さて思いつくままに挙げてみましたが、こうやって見てみますと、「アメリカこそがトラブルメーカーだ」と思えてきます。
つまり、それはトランプ(大統領)でもあります。
これだけ世界中に敵を作ると、世界は反米色を強めるでしょう。
さらに世界中が反米で団結する流れにもなってくると思われます。
経済の面では、すでにロシアや中国、日本などが米国債の持ち高を減らし始めています。
だからこそ一部で言われているように、FRBやメガバンクやアメリカ財務省が組んで、ドル防衛のための「金・銀の値下げ」が行われているのかもしれません。
このような現状を踏まえた上で、どのような相場観を持てばいいのかですが、トルコリラについては先週のコラムでも述べたように、ブラックロック(世界最大の資産運用会社、運用資産額700兆円超)が、トルコ債の最大の保有者でかつ最近もトルコ債を買いに動いたことから、中長期的に強気でOKだと思います。
他の相場については「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれるレイ・ダリオ氏の投資行動が参考になると思います。
レイ・ダリオ氏は金を保有し(最近の下落でも手放さず)、日本株や欧州株を空売りしています。
つまり今後、金は上昇、日本株や欧州株は下落すると予想しているという事です。
これは為替でしたら、円高ユーロ安になるという事を意味します。
現在世界は混沌としていますが、今後は上記の相場観を参考に取り組んでいただければと思います。