前回のコラム(月1)では、昔の部下の事について少し触れました。
エジプト留学をし、アラビア語や英語が堪能だった部下の事です。
その部下は親が医者で、弟も医者になるべく医学部で学んでいましたので、「なぜこの業界(金融)に進もうと思ったのか?」と本人に尋ねたことがありました。
「落合信彦さんの『石油戦争』を読んだ事がきっかけです。金融の世界も石油の世界と同様で、グローバルな視点が重要だと思ったので、このような世界に浸ってみたいと思ったのが理由です」という事でした。
ちなみに落合信彦さんといえば、アメリカのオルブライト大学に留学し、その後テンプル大学大学院(国際政治学専攻)に進学し、石油事業で成功を収め、日本帰国後はジャーナリストや小説家として活躍している方です。
息子の落合陽一さんも、研究者、大学教員、博士、メディアアーティスト、実業家など複数の肩書を持ち、幅広く活躍しておられます。
最近はホリエモンこと堀江貴文さんと共著『10年後の仕事図鑑』も出されています。
さてそんな中、前述の落合信彦さんが昔何かの書籍で「国民性ジョーク」を紹介していました。
有名な「沈没船ジョーク」ですが、以下のような内容です。
【世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。しかし、乗客の数に比べて、脱出ボートの数は足りません。したがって、その船の船長は乗客を海に飛び込ませようとしますが…。さて船長が各国の人を飛び込ませるために放った言葉とは何でしょう?】
アメリカ人に対して・・・「飛び込めばヒーローになれますよ」
ロシア人に対して・・・「海にウォッカのビンが流れていますよ」
イタリア人に対して・・・「海で美女が泳いでいますよ」
フランス人に対して・・・「決して海には飛び込まないでください」
イギリス人に対して・・・「紳士はこういう時に海に飛び込むものです」
ドイツ人に対して・・・「規則ですので海に飛び込んでください」
中国人に対して・・・「美味しい食材(魚)が泳いでいますよ」
日本人に対して・・・「皆さんはもう飛び込みましたよ」
上記のジョークが各国の国民性を的確に表していると言われています。
そしてその国民性は、投資スタイルにも表れると言われています。
例えば銀行預金は別として、株式は世界中で投資比率が高いのですが、日本人が投資をする場合は「投資信託」「債券」が多く、先物取引やFXなどのデリバティブ取引の割合は低く、中東やアフリカの人達は「外貨」「金・銀」が多く、中国やインドの人達は「金・銀」が多く、アメリカやヨーロッパの人達は「投資信託」が多い、といったような特徴があると言われています。
また投資リスク許容度においては、日本人は「元本割れを受け入れられない」「変動が激しい金融商品を避けたい」と回答する人が他国の人達と比べて多いと言われています。
同時に、日本人は「世界で最も貯金が好き」とも言われています。
このように国民性の違いによる投資スタイルについて考えてみますと、「人の行く裏に道あり 花の山」という投資格言がありますが、「FXや金・銀に投資する」「リスク許容度を高め、リスクに対してはドッシリと構える」とするだけで、日本人の中では「その他大勢」から抜けられると思います。
またこのような事については、日本証券業協会のホームページでも「欧米ではリッチマンになりたければ孤独に耐えろと教えるのが通例」といった説明がなされています。
日本人としては、特に意識をしておきたいポイントです。
そしてこれらを踏まえた上で、参考になるのではないかと思う話があります。
先日ブルームバーグが報じていたのですが、「エジプト有数の資産家が、6250億円相当に上る資産の半分を金(ゴールド)に替えた」というニュースです。
この資産家が資産の半分を金に替えた理由は、「中東や世界の残りの地域を見てみると、現在は危機に満ちており、危機の間は金への投資が増える傾向にあるからだ」というものでした。
もしこのエジプト有数の資産家の言う通り、世界が危機に満ちているのであれば、昔から「有事のドル買い」や「有事の円買い」という言葉があるように、為替(FX)でしたら「ドル買い」「円買い」を中長期的な相場観として意識しておいた方が良さそうだと思います。
今後の投資戦略を考える上で、今回の話を皆さんの参考にしていただけたら幸いです。