トルコがソブリン格付けをジャンク級に引き下げられ、ドイツ銀行株が最安値を更新し、FRBも慎重策をとって利上げを見送るなか、今月も注意して臨んだ方が良さそうです。
10月は元々注意した方が良い月として知られています。
1929年の暗黒の木曜日や1987年のブラックマンデーも10月でした。
そんななか、今回は個人的に気になる2つのリスクについて言及したいと思います。
1つは前述のようにドイツ銀行です。
以前のコラムでもお伝えした事がありましたが、IMFが発表したいわゆる世界の危険な銀行ランキングでドイツ銀行がトップとなっています。
ドイツといえば欧州最大の経済大国で、ドイツ銀行はドイツ国内最大の銀行でもあります。
そんなドイツ銀行株の株価は過去最安値を更新し、ヘッジファンドが資金を引き揚げていると報じられ、経営不安が囁かれています。
イギリスがEUから離脱したブレグジット後に、著名投資家ジョージ・ソロスがドイツ銀行株を大量に空売りしているとも報じられています。
懸念されるのはドイツ銀行発のリスクが他の銀行群に伝染する展開です。
しかも、前述の世界の危険な銀行ランキングで上位を占めているのは欧州の銀行ばかりですので、この点だけを見ましても、ユーロが現在の水準を保っているのが不思議なくらいです。
おそらくテクニカル要因なのでしょうが、遅かれ早かれユーロの暴落が現実になる日が来るだろうと思います。
さて、2つ目ですが、ドイツ銀行が経営不安に至る要因ともなった、ありとあらゆる違法行為です。
米司法省が1兆4000億円の罰金支払いをドイツ銀行に要求していますが、ありとあらゆる違法行為に対する罰金支払いとなっています。
直近では、「罰金が54億ドルにとどまる可能性」と報じられていますが、本当に減額されるのか、まだ分かりません。
ちなみに、違法行為は以下のようなものです。
・為替相場の不正操作
・HFT(超高速取引)での不正操作
・インターバンクレートの不正操作
・LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作
・サブプライムローンでの不正操作
・貴金属市場での不正操作
・株式市場での不正操作
・国債市場での不正操作
まだ他にもあるようですが、ありとあらゆる違法行為が行われていたという事です。
問題は、これらの違法行為は決してドイツ銀行だけが行っていたわけではなく、ありとあらゆる世界中の銀行が行っていましたし、現在も行っているだろうという事です。
以前のコラムで、【最近の相場に関しましても、プロトレーダー達の間で「何だか変」「おかしい」「不可解」「価格操作か?」「価格操作だとしたら由々しき問題」等の声が実際に挙がっています】とお伝えしました。
そして、それらを裏付けるかのように、最近はヘッジファンドの運用成績が低迷し、資金が大量に流出していると報じられています。
「ヘッジファンド業界はかつてない困難な時代に直面」とブルームバーグでも報じられました。
本来、マーケットは公平で公正であるべきですが、ありとあらゆる違法行為が価格形成を歪め、その影響はプロであるヘッジファンンドにも及んでいます。
このように、ドイツ銀行発のリスクや価格操作等のリスクが個人的に気になっているリスクです。
同時に、昨今増えているテロのリスクも気になります。
したがって、個人投資家としましては、何よりも「慎重さ」が大事になってくると思います。
今後の明暗を分けるのが、「慎重さ」であると言っても過言ではないと思います。
「二度に買うべし、二度に売るべし」という相場格言があります。
いくら自信があっても、相場の未来は不確定です。
したがって、慎重さが大事だという意味の相場格言が「二度に買うべし、二度に売るべし」です。
くれぐれも冷静に、かつ慎重に臨みましょう。