不可解

 

米国の週刊投資情報紙「バロンズ」が、米国株について「気味が悪いほど落ち着いた上昇」と語ったのは今から3ヶ月前の事です。

 

そして今も、連日のように史上最高値を更新する展開が続いています。

 

これがなぜ「気味が悪いほど落ち着いた」という表現になるのかですが、「とても地味な値動き」の積み重ねによる上昇であって、熱狂感が無いからです。

 

日経平均も選挙に絡んでか、なんと57年ぶりの14連騰となりましたが、それだけの熱狂感がある感じはとてもしません。

 

先週は一週間かけて200円程度の上昇、実態は年金や日銀の「買い」による上昇から「ドーピング相場」等と言われています。

 

本日上昇すれば「史上初の15連騰」ですが、やはり熱狂感はありません。

 

 

 

相場の世界には昔から「アニマルスピリット」という言葉があります。

 

元は、20世紀最大の経済学者とも言われるジョン・メイナード・ケインズが述べた言葉です。

 

「アニマルスピリット」を簡単に説明しますと、人は必ずしも合理的に行動するわけではなく、時に不合理な行動をする事もあり、そういった行動の背景にある「心理」や「感情」を指して「アニマルスピリット」と言います。

 

つまり、時に相場は「意味不明」と思われる値動きをする事がありますが、「これはアニマルスピリットによるものだろう」と言われたりするわけです。

 

 

 

さてそのような中、今年のノーベル経済学賞を受賞したのが「行動経済学」を専門とするリチャード・セイラー氏になります。

 

セイラー氏は現在72歳、シカゴ大学の教授です。

 

「人は必ずしも合理的な行動をしない」という事に興味を持ち、40年前から「人のおかしな行動をリストにして書き出し続け、なぜ人はそのような行動をするのかを研究した」そうです。

 

この40年間の研究成果が今年のノーベル経済学賞受賞に繋がったという事です。

 

 

 

そして最近、そのリチャード・セイラー氏が昨今の相場について言及をしたのです。

 

さらに、その事が市場で話題となっています。

 

なぜなら、セイラー氏が昨今の相場を「理解不能」と語ったからです。

 

 

 

「理解不能」と語ったのは、以下のような理由からでした。

 

 

 

・世の中が危険な状態(北朝鮮問題や世界各地で相次ぐ紛争・テロ等を指していると思われる)なのに、株式市場が連日のように史上最高値を更新しているから

 

 

 

・長期に渡ってずっとボラティリティ(価格変動の度合い)が低いままだから

 

 

 

「人のおかしな行動」や「なぜそのような行動をするのか」という事に関して、誰よりも詳しいはずのリチャード・セイラー氏が「理解不能」と言うからには、昨今の相場は「やはりおかしいという事だ」という話になっているのです。

 

 

 

私が思うに、「人ではないAI」が相場に多大な影響を与えるようになってきた、世界のどこかでボラティリティの不正が行われている(VIXの不正操作)といった事が原因であると思います。

 

さらに、年金や日銀による「買い」もあります。

 

 

 

前述の「アニマルスピリット」のように、昔からおかしな値動き自体はいくらでもありましたが、一過性のもので、すぐに修正されたものでした。

 

ところが、特に今年の相場は「いつまで経っても修正されない」のが特徴となっています。

 

今の世の中、AI化の流れが止まる事はないでしょうが、ウォール・ストリート・ジャーナルでも報じられていたように、VIXの不正操作については真剣に取り締まっていただきたいと思います。

 

また、年金や日銀も国民の事を考えた誠実な行動をしていただきたいと思います。

 

最近、神戸製鋼の不正問題が騒がれましたが、なんとこのタイミングで日銀が神戸製鋼債を買ったという事で(460億円と観測)、市場で批判が相次いでいます。

 

 

 

このような現状において、私達投資家が向き合わなければならないのは「理解不能な相場でいかに勝つか」です。

 

これまでのコラムでも語ってきたように、「勝つまで耐える、勝ってから利益を確定させる」というのが合理的な対策になるかと思います。

 

 

 

ところが、昨今の相場は「いつまで経っても修正されない」という問題を抱えています。

 

しかし、これについては希望が出てきているのです。

 

2008年のリーマン・ショック時は、世界中で多くのヘッジファンドが潰れましたが、当時大きく資金を増やした複数のヘッジファンドがあり、それら複数のヘッジファンドが「これから大きな値動きが起こる」と予想を出したからです。

 

しかも「数十年に一度のチャンス到来」と言っています。

 

 

 

もし相場が修正されるのであれば、以前のコラムでも語ったように「有事の円」「有事のドル」「有事の金」に従って、これらが大きく買われる事になるでしょう。

 

逆に、これまで買われてきたユーロや株は大きく売られるはずです。

 

 

 

先週のコラムでも述べたように、トランプ米大統領は「嵐の前の静けさ」「そのうち分かる」と言いました。

 

対して、北朝鮮は先日「予期せぬタイミングで、あり得ない攻撃を約束する」と警告しました。

 

さらに、ここで皆さんにも考えていただきたいのですが、日経平均の「57年ぶりの14連騰」「史上初の15連騰」をどう思うか、です。

 

私は「相場の大幅修正はいつ起こってもおかしくない」と思います。

 

注意を払って相場に向き合いましょう。