ユーロがいよいよ危うい雰囲気となってきました。
先月末のコラムで、「アメリカや日本よりもヨーロッパの金融崩れが先に起きそう」と述べましたが、いよいよユーロが売られ始めました。
個人的には、もっと早くユーロが崩れるものと思っていましたが、ようやく売られてきました。
今年はドナルド・トランプ氏が大統領に就任した米国だけではなく、欧州にも世界中の注目が集まる一年となりそうです。
現在の欧州において、気になるポイントを挙げてみたいと思います。
まずはオランダです。
オランダでは来月に総選挙が行われますが、「オランダのトランプ」と呼ばれるヘルト・ウィルダース党首率いる極右政党「自由党」が首位の勢いとなっています。
次に、フランスです。
フランスでは5月に大統領選挙の決選投票が行われますが、オランダ同様に「フランスのトランプ」と呼ばれるマリーヌ・ルペン党首の支持率が急上昇してきています。
そのため、債券市場ではフランス国債が売られ、フランスの長期金利が急上昇しています。
フランス国債とドイツ国債の金利格差は、なんと5年ぶりの高水準です。
先週は「ルペン氏の対立候補マクロン氏に追い風」との報道で、一時ユーロが反発する場面もありましたが、再度売られてきています。
その次に、イタリアです。
イタリアでは、マッテオ・レンツィ前首相が昨年12月に憲法改正の是非を問う国民投票で敗れ、首相を辞任しましたが、この度、民主党の党首も辞任しました。
このため、イタリアでは「与党が窮地に」と報じられ、「ユーロ離脱」を掲げる野党が早期総選挙を求めていると報じられています。
そして、ギリシャです。
財政不安は相変わらず続いており、先日ユーロ圏財務相会合が開かれましたが、依然として先行きが危ぶまれています。
最後にドイツです。
欧州の指導者達にとって、ユーロ以前の自国通貨の名前を口にすることはタブーだったのですが、なんとメルケル首相自身がそのタブーを破りました。
きっかけは、トランプ米大統領が「ドイツはユーロの甚だしい過小評価を利用して、利益を得ている」と発言をした事でしたが、メルケル首相はこれに対し、「ユーロが安いのはECBのせいであり、通貨が以前のマルクであったなら、為替はもっと高かった」と発言したのです。
これは、いよいよユーロ崩壊が近づいてきているサインではないかと思います。
さらにドイツは、米国やフランスに保管している金地金を自国にどんどん回収しています。
これも、ユーロ崩壊が近づいてきているサインではないかと思います。
以上、気になるポイントを挙げてみましたが、「アメリカや日本よりもヨーロッパの金融崩れが先に起きそう」が現実になってきているように思います。
したがって、今後の為替相場はユーロ売りを意識したいところです。
そして、元FRB議長のグリーンスパン氏も述べていますが、今後は金価格の上昇も意識した方が良さそうです。