先週はポンドの暴落がありました。
ポンドドルの先週高値が1.2946ドルに対し、安値は1.1646ドル、差は0.13ドルです。
一方、ポンド円の先週高値が132.22円に対し、安値は124.61円、差は7.61円です。
特に7日(金)の朝方の暴落が目立ちましたが、国慶節の休暇明けを前に、中国勢が大きく売ってきた可能性が言われています。
大口の投げ売りがストップロスを次々に誘発したようです。
ポンドドルは1985年以来31年ぶりの安値を付けました。
以前のコラムで、イギリスのEU離脱に関して、以下のようにお伝えしていました。
【今回、イギリスはなぜEU離脱を選択したのでしょうか?
それは、多くのイギリス国民が、移民が増え過ぎたことに対する不満を持っていたからです。
移民が増え過ぎたとは、すなわち人口が増え過ぎたという事です。
人口が増え過ぎた結果どうなったかと言いますと、仕事が無くなる、賃金が低下する、子供が急病になっても4時間待たされる病院、机が足りなくなってしまった学校、住宅不足から家賃が高騰、いつも満員の電車など、生活の質がどんどん低下していったわけです。】
【今回EU離脱を選択したイギリスですが、当然ポンドも売り優勢と判断する方が賢明です。
イギリス国内では、首都ロンドンが国として独立し、単独でEUに再加盟するという話が出てきていますし、スコットランドも国として独立し、ロンドン同様にEUに再加盟しようという話が出てきています。
一方で、離脱派が多かった北アイルランドやウェールズでは、イギリスからの独立を求める動きが出てきています。
このような状況ですから、イギリス自体が非常に不安定になってきているという事で、不安定であるならポンドは売り優勢と判断するのが妥当です。】
上記のような状況ですので、今後もポンドは売り優勢だと思います。
ただし、対ドルや対円での売り優勢という意味で言っています。
逆に対ユーロでは、今後ポンドは買い優勢に転じるのではないかと思っています。
理由として、イギリスはEUを離脱しましたが、マイナス面ばかりではなく、プラス面もあるからです。
プラス面としましては、例えば今年7月の輸出金額は前年同月比で10.3%急増しています。
EU離脱後に大きくポンド安となったからです。
また、ポンド安になった事によって、外国人による「爆買い」も発生しているようです。
明らかに、ポンド安が消費を刺激している事が分かります。
ポンド安となりますと、輸入インフレ、つまり輸入金額の増加が気になるところですが、実際にはさほど影響が出ていないようです。
しかも、今後仮にイギリス経済が危機に瀕した場合ですが、メイ新首相率いる新政権は、緊縮財政路線を破棄し、財政出動によって経済の下支えを行う方針を明らかにしています。
このように見ていきますと、イギリスのEU離脱は必ずしもマイナス面ばかりではなく、プラス面もある事が分かるかと思います。
ですので、今後気をつけるべきは、むしろユーロだと思います。
先週コラムでもお伝えしたように、世界の危険な銀行ランキングで上位を占めているのは欧州の銀行ばかりです。
さらに、様々な国々が集まったユーロ圏は、決して一枚岩ではありません。
テロのリスクも高いですし、常に危うい感じがします。
相場見通しとしましては、遅かれ早かれ1ユーロ=1ドルの時代がくるのではないかと思っています。
今は、ドル円とユーロ円の価格は違いますが、いつの日か、ほぼ同じ価格になる日がくるだろうという事です。
今後は、ポンドやユーロの動向には特に注目をしていただけたらと思います。