FX会社が提供するマーケットニュースで先週の相場(値動き)を振り返りますと、以下のような文言が繰り返されていました。
方向感が出ていない、方向感のない取引が続いた、総じて方向感がない、もみ合い、神経質な値動き、小動き、さえない、値動きが鈍い、様子見ムードが強い、値動きが細い、一進一退の動き・・・
確かに上記のような一週間だったと思います。
相場における利益や損は「ポジション量×値幅」で決まりますから、値動きの少ない時はどうしてもポジション量を大きくしたいという誘惑に駆られがちです。
しかし、このような時こそ注意が必要なのです。
「東洋経済ONLINE」で、投資銀行家の「ぐっちーさん」こと山口正洋さんが、本当の「暴落」について的確に語っておられましたので、以下に紹介したいと思います。
まさに阿鼻叫喚、昨日までニューヨークのヨットクラブでクルーザーを乗り回していたりした奴が突然ヨットをおいたまま夜逃げするとか、それはもう、あり得ないことが連日起きるのが「経済恐慌的暴落」、というわけであります。
「金融機関の一つや二つは吹っ飛ぶ、それこそ株式市場の大暴落が来るぞ」と書いていたところ、リーマン・ブラザーズは本当につぶれてしまい、在籍していたモルガン・スタンレーも倒産寸前で、株価は1ドルまでたたき売られ、私自身、まじで、路頭に迷うかと思ったほどです。多くの友人が行方不明になりました。これがまさに「大暴落」。
クルーザーという事であれば、リーマン・ショックの年だったか、その前のサブプライム・ショック(パリバ・ショック)の年だったか忘れましたが、私にも思い出があります。
ある日職場仲間の1人が所有するクルーザーで、10数名でクルージングをし、昼間はバーベキューなどを楽しんだことがありました。
しかし、なんと夜になってクルーザーが座礁してしまったのです。
要するに海上でクルーザーが動けなくなってしまったのですが、もはや助けを求めるしかないだろうという事になり、全員がライフジャケットを装着し、海上保安庁の救助を待つ事となりました。
そして海上保安庁に救助され、ようやく陸地にたどり着いたと思ったら、たくさんのフラッシュを焚かれました。
それは某新聞社のカメラでした。
翌日、本当に小さな記事ですが、私達が救助されたというニュースが掲載されました。
ちなみに余談ですが、海上保安庁の救助を待っている間、クルーザーに乗っていた10数名全員が夜空にUFO(未確認飛行物体)を目撃しています。
時が経ち、今では懐かしい思い出となっていますが、前述の「ぐっちーさん」の言うように、私も職場仲間(クルーザーを所有していた)が今どこで何をしているのかさっぱり分かりません。
そしてクルーザー所有に関わらず、当時派手な生活をしていた人達については「今どこで何をしているのか」さっぱり分かりません。
逆に今でも連絡がつくのは、当時から堅実に生活をしていた人達です。
このような事については過去のコラムでもお話をしましたが、清武英利氏の「プライベントバンカー」という書籍の中の以下の文章を肝に銘じておきたいところです。
「相場の世界はひどいんだよね」と彼は言う。
「本当に見てられないくらいひどい。青山にマンション買ったりしてた奴なんか、今はもう乞食のようになっちゃって。みんな相場でやられていなくなった」
本心を言えば、マーケットは好きではない。胃が痛むのだ。若いころと違って、あえて臆病に運用するのが彼のスタイルだ。男気のあるディーラーというのは結局、死ぬのだという。
相場が動かない時というのは、歯痒い思いがするものです。
動かない事にはどうしようもないからです。
しかし「何月何日に暴落する」という事が前もって分かるわけではありません。
ブラックマンデーにせよ、ITバブル崩壊にせよ、リーマン・ショックにせよ、それはある日突然やってきます。
だからこそたとえ値動きが少なくても、ポジション量を大きくしたいという誘惑には抗うべきなのです。
「めったにない」を常に考え、その計算に基づいてポジション量を決めるべきなのです。
現在は「イラン・イスラエル戦争」など、中東情勢の行方を懸念する声が大きくなっています。
今後どうなるかは未知数ですが、やはり「めったにない」は常に考えておく必要があります。
そして「めったにない」を考えたポジション量で臨んでいるのであれば、あとは希望を持って取り組むべきです。
それが相場における本当の意味での「楽観し過ぎず、悲観し過ぎず」です。
引き続き頑張りましょう。